快勝してしまうことが多いバルサにとって珍しい類の、息詰まる熱戦だった。しかし結末はいつもと同じ、バルサの勝利である。
お互いにとって重要な一戦に臨むにあたり、両チームの監督たちは先発に趣向を凝らしてきた。ウナイ・エメリはソルダードをベンチに座らせ、ペップ・グアルディオラはセルヒオとマスチェラーノを同時にピッチへ。ブスケツをセントラルに置いた、驚きの3バックである。
ゲームはまず、バレンシアが先手を取っている。慣れないシステムにやや様子を見るようなバルサに対し、"チェ"はいきなりエンジン全開。速いプレスとボール奪取によってバルサ陣内へと雪崩れ込み、試合への意気込みを見せた。
押し込まれはしていたものの、最初のビッグチャンスはバルサによる。9分、バレンシア守備陣の乱れに乗じてメッシがライン裏へと飛び出し、至近距離からのシュート3連発。通常であれば、どれかは決まっているはずなのだが、身体を張ったGKグアイタが2回、リカルド・コスタが1回跳ね返したことによりゴールとはならなかった。レオは30分にも1対1からバセリーナを放っているが、こちらも残念ながらクロスバーの上。彼が決定機を2度も外すとは、珍しいことだ。
クレが肝を冷やしたのは、20分、スペースへのパスにジョルディ・アルバが抜け出し、ピントも抜いて無人のゴールへボールを流し込んだ場面だ。だがイトゥラルデ主審はこれをオフサイドと判定。際どいジャッジに、今回はバルサが救われた。
この試合、バレンシアは主に右のアルベスをケアしており、左方面は比較的楽にボールを回すことができた。そこでカギとなったのが、再三前線に顔を出すことになったアドリアーノだ。何度かチャンスに絡んだアドリアーノの、前半最高のアシストパスは41分、ビジャへ送ったボール。だが決まったかと思えたこのシュートも、不運なことにグアイタの正面だった。
ハーフタイムが明けると、エメリ監督はバレンシアに修正を施してきた。マタの位置を下げ、ホアキンをベンチへ。代わりにソルダードを送り込んできたのだ。この修正は、なかなかに効果を発揮した。52分にソルダードが、54分と57分にはパブロ・エルナンデスが、上手く打っていたならネットを揺らしていただろうね、というシュートでピントを脅かす。これらが1つも入らなかったことは、バルサにとっては幸運だった。
ただし60分には、今度はメッシがチャンスを得るも、それを活かせず。するとグアルディオラは戦術の変更を決意し、マスチェラーノに替えてペドロをピッチへ送り込む。システムはいつもの4-3-3となった。
そして76分、バルサに待望の先制点が生まれる。どことなく"引き分けも止むなしか・・・"とのムードがクレの脳裏をよぎり始めたところへきて、いきなり仕事をしてくれるのがメッシだ。チャビからのパスを受けたアドリアーノが左サイドから切れ込み、エリア内にぽっかりと空いていたスペースへと送られたボールを、右斜め後方から詰めてきたメッシが一発。バルセロニスタを大きな安心感が包みこんだ。
その後も試合終了まで、バレンシアが勝負を諦めることはなかったのだが、その攻撃からは明らかに迫力が失われていた。バルサは慌てることなく冷静にそれらに対処。決定機を作らせることなく、0-1で勝利を手にしている。
来週のアーセナル戦、そしてリーガ終盤に向け、幾つかの意味で非常に重要だったこのメスタージャ決戦を制したことは、バルサにとって大きな意味がある。着実に近づいていっている、リーガ3連覇。このバレンシアに勝てたことは、選手たちにまたひとつ自信をもたらしてくれよう。そしてバレンシアはこのプレーをやれば、マドリーには勝てる!期待してます。がんば。
|