勝っていれば優勝戦線に一撃を与えられるところだったセビージャ戦だが、どうやらリーガはそう容易くバルサに勝たせるつもりはないらしい。勝つことも出来たろうが、いささかこの日はツキが不足しており、審判にも恵まれなかった。
ゲームは序盤より、バルサの支配にて進んでいる。セビージャはバルサの前になす術もないといった様子で、最初のゴールも程なくして訪れた。7分、好い位置からのフリーキックを、メッシが直接ゴール左端に突き刺したのである。ただ主審ペレス・ラサが在りもしないブスケツのファールを目にしたようで、無効としたのが残念至極。
まあこのバルサとセビージャであれば、それもさして問題ないとの印象はあった。チャビ、イニエスタ、ブスケツらは余裕をもってボールを回し、右サイドでは古巣相手にアルベスが非常に張り切る。無効にしようのないゴールも、時間の問題と思われた。しかしそんな矢先、13分にペドロが恥骨周辺に感じたという痛みによってピッチを去ってしまう。なんとなく、怪しい雲行き。
先制点は30分、そのペドロに代わって登場となったボージャンだった。イニエスタのパスを受けたアルベスがセビージャのライン裏を取り、折り返しのボールを受けたボージャンが、身体ごとゴールに転がり込んだのである。美しいかどうかはどうでもいい。ゴールは決まるのが大切。
地元でリードを奪われようとも、セビージャが血相を変えることはなかった。つまりはその後も同じ展開でゲームが進んでいくのだが、惜しむらくはこの間に、バルサが追加点を決められなかったことだ。特に40分、2009年のローマ決勝を彷彿とさせるメッシのジャンピングヘッドがクロスバーを叩いたシーンは惜しかった。ただバルサは圧倒的にボールを支配しながらも、実際はそれほど決定機を作れてはいない。セビージャは少々ラフといえる守り方にて、バルサの猛威を凌ごうとしていた。
しかし後半に入ると、ゲームはまた違った表情を見せることになる。バルサがどうも眠たそうにしていたところへ、セビージャが強烈なカウンターによってビンタをかましてくるのである。効いていたのが、ハーフタイム明けから登場していたカヌーテだ。48分にはいきなり、セビージャの同点ゴール。ネグレドがエリア深くへと粘りに粘って侵入し、折り返したボールをフリーのヘスス・ナバスが悠々と頭で押し込んでいる。
バルサもその後、徐々に本来のリズムを取り戻そうとはしていくのだが、そうはさせじとマンサーノ監督が送り込んだペロッティが、ペップチームにとって厄介な存在となっていた。熱狂的な地元ファンの声援を受け、頑張るセビージャ。もうひとつギアを上げていけないバルサ。やはり、チャンピオンズの後の試合ってのは厳しいものなのか。確かなことは、ゲームが非常にオープンな展開となり、どちらのチームにもゴールの気配が漂っていたことだ。サンチェス・ピスファンでの試合は、やはり一筋縄ではいかない。
バルサにとって決定的だったのは、75分のバルデスのパラドンである。ペロッティにサイドを突破され、左からのクロスに飛び込んだのがファーサイドのヘスス・ナバス。おおよそ決まっていておかしくはないプレーだったが、ここに立ちはだかったのが我らが守護神ビクトルだ。どうにか身体を踏みとどまらせ、残った足でボールを弾いたポルテーロ。ありがとう、助かった!
一方のバルサは、ドン・イニエスタが2つの決定機を作り出す。まずは84分、唸りを上げたミドルシュートがクロスバーを直撃。そして91分、メッシの個人技突破からのシュートがデフェンサに弾かれ、あとはねじ込むだけかと思われたイニエスタのこぼれ球も、ライン上でメデルがクリア・・・。最後まで勝利を目指したバルサであったが、土壇場での勝ち越しゴールは訪れず、ゲームはそのまま1-1で終了となった。
前日にマドリーが勝利していたため、2チームの差は5ポイントへと縮小した。首都方面は案の定喜んでいるが、バルサとしては特に慌てることはない。確実に次の3試合で勝利し、ベルナベウ直接対決に乗り込むこと。とりあえず次の週末までゲームはないので、体力回復していこう。
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