なんだか最近、チャンスは作っているのにゴールが決まらない。アビダルへと捧げる勝利。
火曜日に肝臓に腫瘍が発見され、木曜日に手術を行ったアビダル。この日のカンプノウは、この病と闘うアビダルを励ます横断幕で溢れていた。そしてクラブは彼のために、実に感動的な映像を用意。「この試合に君は勝つ。アビ、君はひとりじゃない」のメッセージに、スタジアムは大きな拍手に包まれた。さらに両チームの選手たちがそれぞれ、アビダル応援メッセージ入りのTシャツを着て入場。バルサ選手たちのシャツには、「愛してるよ、アビ」の文字が記されていた。ヘタフェ選手の胸には、「がんばれ、アビダル」。ありがとう!
さらにキックオフ直前には、大地震で多くの被害者を出した日本に向け、1分間の黙祷が行われた。
幾つかの欠場者により、少々修正が施されたメンバーによってゲームはスタートした。アビダルに勝利を捧げるため、バルサ選手たちは非常に気合が入った様子。序盤から積極的に飛ばしていった。そして先制点は、程なくして決まる。それまでは8分のメッシのチレーナを始め、どうにか気迫の守りでバルサの攻めを食い止めていたヘタフェだったが、16分のアルベス弾だけはどうすることも出来ず。デフェンサの弾いたボールを20数メートルの位置から直接叩き、それが猛烈な弾道でネットに突き刺さるのだから、手の打ちようがないというものだ。このゴラッソに対し、カンプノウは盛大なアルベスコールで応えた。
先制点を獲得したバルサは、さらに攻勢を強めていく。ヘタフェは統制の取れた守備でよく凌いでいたが、バルサのパスワークは徐々に本来の輝きを取り戻してきており、決定機も幾度となく作り出されている。ただしゴレアドールたちのバイオリズムはまだ低調なままで、回復には幾分時間がかかるかもしれない。この試合がゴレアーダとならなかったのはヘタフェGKコディーナの活躍と、バルサ攻撃陣の精度不足によるものだ。
とりわけ本人も不本意だっただろうのが、ビジャだ。20分の決定機ではシュートを吹かし、29分には首都系メディアもペナルティと認めるファールを受けながら、逆にダイブとみなされ黄紙をもらった。バルサ戦のムニス・フェルナンデス主審、なにかと良い記憶がない。
またゲーム中にはアビダルの背番号にちなみ22分から1分間、盛大な拍手が送られている。33分には守護神バルデスが、あわや同点かというピンチを救うパラドンを披露。カスケロの至近距離からのシュートを、身体を張って防ぎ止めている。
前半はチャンスだらけだったにもかかわらず、1-0でハーフタイムを迎えたバルサ。だが後半はその最初の決定的チャンスによって、待望の追加点をゲットしている。49分、アドリアーノが高い位置でボールを奪取し、パスを受けたメッシがデフェンサの意識を引き寄せる。そして最後は、フリーとなったボージャンが上手く位置関係を調整してシュート。メッシを超える若さでリーガ100試合出場を果たしたことを、自らのゴールで祝ったのだった。カタ・ディアスに微妙に当たり、コースが変わったのも幸いした。
やや安心の2-0となったことで、バルサはゲームをコントロールすることに重点を移していく。それはもう仕方のないことでもあるのだが、そんな時は決まって、最後に苦しい目に遭ったりするものだ。この日も例外ではなく、87分に1点を返されてああビックリ。ビクトル・サンチェス(元バルサ)の右からのクロスを、正面のマヌ・デル・モラルが見事なボレーで叩き込んでみせたのだ。ミリート元帥のクリアが、いまいちだったのも災いしてしまった。
2-0から2-1となった場合、追うチームに勢いが出るのはいうまでもない。今回のヘタフェもすっかり元気を取り戻し、逆に引け気味となったバルサゴールへと次々襲来。ロスタイムにはアルビンにあわや1対1の場面を作られており、アドリアーノのボールカットがなければ、凹む結果にされていた可能性も高かった。
と、苦労はしながらも、悲劇は訪れずに順当な勝利を手にしたペップバルサ。レアル・マドリーによる情報操作、アビダルの不幸など色々あった一週間だったが、勝利という目標を達成できたのでまあヨシとしよう。病室のテレビで試合の様子(&みんなの励まし)を見ていたであろうアビさんも、きっと嬉しかったに違いない。
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