ものすごーーく圧勝だったわけではないが、終わってみれば5-1。運気はバルサに向いている。
前日の会見でペップが「シャクタールはスーパーチーム」と語ったように、試合はハラハラとした展開になった。最終スコアはバルサの圧勝だが、実際のチャンス数にそれほどの開きはない。特に序盤はピンチの連続。ハッピーエンドになった大きな要素として、運を忘れてはならない。
このゲームで主役となったのは、先日めでたく父ちゃんになったアンドレス・イニエスタだ。試合を通して変態プレーを連発したドンだが、まずは2分、メッシからの縦パスが相手DFに当たって彼の足元に収まり、ラインを抜け出したあとは、GKピアトフの動きをよく見てニア側に正確なパスのようなシュートを流し込んで先制。いきなりのゴールでチームに落ち着きをもたらした。
ただそれはバルサに安心感を与えすぎてしまったようで、不用意なパスをカットされ、ピンチを招く場面が序盤に3度ほどあった。9分と12分にはスピードあるルイス・アドリアーノに2度ほどラインを突破され、13分にはウィリアンにも無人状態となったゴールへのシュートを許しているバルサ。よくもまあ失点しなかったものだが、バルデスが好仕事をし、さらには運がこちらに味方したことが、冷や汗だけで済んだ大きな理由だ。ちなみに不用意なパスで2度ピンチを招いたのはアルベス!
鋭いカウンターを持つチームを相手に、プジョルとアビダルの不在はさすがに厳しいと感じられたのだが、その後チームはどうにか守備を修正し、シャフタールゴールへと迫っていく。18分、メッシのバセリーナは惜しくもピアトフにキャッチされたが、このあたりからはバルサの攻撃がウクライナチームを圧倒。33分には最終ライン裏とGK前に生まれたスペースにイニエスタが浮き球パスを送り込み、オフサイドをかいくぐったアルベスがこれをねじ込んで2-0。守備面でのポカの借りを返すとともに、変なダンスで観客を喜ばせてみせた。
そして後半には、53分という好いタイミングで追加点がきまる。右からのコーナーキック、チャビのキックはシャクタールの意表を突くものだった。エリア中央にぽっかりと空いたスペースへとグラウンダーのボールを送り込まれると、走り込んだピケがノーマークでシュートを押し込んだのだ。このサインプレー、当日の朝に練習していたものらしい。それは気持ちよかろう。やるね!
だがその7分後、同じくセットプレーから、シャクタールは1点を返してみせる。右方面からのフリーキックに、ラキツキーがなんとヒザ?で合わせて3-1。カンプノウに嫌なムードが漂いかけるのだが、そのほんの直後、テレビではリプレイが表示されているような間に、今度はケイタが気持ちいいミサイルシュートを叩き込んですぐさま返答。そのお膳立てをしたのは、レオ・メッシだった。
これでスコアは4-1となり、バルサの勝利はまず揺るぎないものになるのだが、危なかったのは81分、ルイス・アドリアーノのシュートがポストを叩いた場面だ。これが決まっていれば、シャクタールにもまだ望みはあった。しかしブラジル人ストライカーはこの日、とことんツキに見放されていた模様。バルサにとってはありがたいことだ。
そして87分、最後はチャビがケーキにイチゴを乗せてマニータが完成する。マークをジグザグフェイントでかわしたアルベスが右サイドからボールを送り込み、中央のチャビが押し込んで5-1。準決勝進出を、更にまた一歩大きく引き寄せた。
前日にはベルナベウでマドリーが4-0で勝利しており、普通にいけば、世間とUEFAの期待する、1/2ファイナルでのユーロクラシコの実現となる。リーガ、コパ、チャンピオンズとクラシコ4発は少々胃に重たいが、せっかくの機会なので、マドリーから全部のタイトルを奪い取ってやりたい。去年のインテル戦も、すべてはその前ふりだったのだろう。
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