リーガ争いの観点では満足、クラシコという点では不満なエンパテと内容。
およそ4ヵ月半前、敵地で屈辱極まれりという5-0を食らったレアル・マドリー。あのスコアは彼らを傷つけ、トップ選手としての誇りを粉砕したはずだ。ならばカサでの試合では、死ぬ気でリベンジしようとするのがビッグクラブというものだろう。しかし彼ら(モウ)が選択したのは、それとはかけ離れた道だった。
バルサにボールを譲り、最終的にバルサのプレーを阻止することに腐心する。そして狙うはお得意必殺のカウンター。ライバルに8割近い支配率を許そうと、前線へのロングボールがぴたりと収まればOK!あとは懸命に走れだなど、仮にもマドリーたるクラブがやることか。そんな試合、こちとら中小クラブとの対戦時に見飽きている。
グアルディオラはこの試合に、プレー許可を受けたばかりのプジョルをいきなり先発で起用するなど、ベストメンバーを起用してきた。ただクアトロ・クラシコの1発目(+必勝の必要性なし)というのが影響してか、どことなくトップギアにはあらず。パスのリズムは低く、攻撃を畳み掛ける場面も見られず、ゴールチャンスもわずかに2回というバルサらしからぬ数字でハーフタイムを迎えている。マドリーが芝を長くするという小細工を弄していたとはいえ、これは残念だった。
審判のジャッジも酷く、25分のビジャに対するカシージャスのタックルは気前よく免除。しかしそれに抗議したピケには容赦なくカードを提示したムニス・フェルナンデス、世界的シンガーと交際中の男前が、気に入らなかったのだろうか。その他の前半の目立った出来事といえば、メッシのバセリーナがカシージャスにキャッチされたことと、クリスティアノのシュートをアドリアーノがライン上から頭でかき出したことくらいだ。ビスカ、アドリアーノ!
後半はまず、またもムニス主審が気前よく取ったファールから、クリスティアノのフリーキックがポストを叩く、という場面で始まっている。だがバルサもすばやくこれに反応し、縦パスを受けたビジャがエリア内に侵入すると、アルビオルが堪らず倒してPK。ムニスもさすがに、このあからさま過ぎるファールは無効にはできなかった。アルビオルは赤紙退場となり、メッシがベルナベウで3年連続となるゴールを決めて0-1としている(53分)。
しかしその数分後、バルサにアクシデント発生。プジョルの左ハムストリングスに違和感が発生し、ベンチに退くことになったのだ。やはり怪我明けのいきなりの大一番。大変だったのだろう。大きな怪我ではないそうなので、何より。
バルサにとって勿体なかったのは、相手が10人となり、さらに進むべき道に迷っているこの段階で、一気に勝負を決めてしまわなかったことだ。ボールは変わらず回していたものの、相手を挫けさせなかったバルサ。そのうちにモウリーニョはエジルとアデバヨール、アルベロアを投入し、体勢を立て直すと、反撃に転じてきた。どうせカウンターフットボル。1人少なくても大して関係はない。
そうしてバルサは繰り出されるマドリーの退屈なカウンターに対処していたのだが、81分、エリア内に突破を仕掛けたマルセロをアルベスが倒したとして、ムニス主審はペナルティを宣告。クリスティアノがこれを決めて、スコアを同点とした。終了後のミックスゾーンで、アルベスはマルセロから「わざと倒れた」と言われた、と明かしている。
試合はここから幾分の盛り上がりを見せ、クラシコっぽい激しさが見られるようにもなるのだが、得点が動くことはなく1-1のまま終了。バルサはカンペオンにまた一歩前進し、それなりの満足感を持って帰りの飛行機に乗ることとなった。物足りない結果ではあるが、まあヨシとしておこう。負け慣れたベルナベウの観客たちは、この引き分けに満足した様子だった。
リーガはこれで、ひとまず最後の峠は越えた。次はコパとチャンピオンズ。このモヤッとした感じも、水曜日にはすっきりすることだろう。
|