己の武器を存分に発揮したマドリーが、最後に勝利をもぎ取った。強固な守備と必殺のカウンターに、上がった今回の軍配。決定機を活かせなかったツケは大きい。
一発勝負の戦いでは、さすがにモウリーニョチームは強力だった。クリスティアノを前線に置き、残るメンバーで堅い守備ラインを構築。ぺぺをさらに前の位置に上げることでチャビ、イニエスタらの自由も封じ、メッシの中央突破もほぼ不可能とした。そしてバルサの中途半端なボールを奪い取っては、得意のカウンター。一気にピントの守るゴールへと迫った。
前回のクラシコに続き、バルサのリズムは低調。特に前半のそれはひどく、ここぞで繰り出されるマドリーのファールも手伝い、全くパスをつなげることが出来なかった。ここらへんのバルサ対策はさすがというか。前半のシュート数が2本ほど、というのがペップチームの残念具合を物語っている。
一方でマドリーは11分、30分、35分と速攻からクリスティアノがチャンスを手にしており、狙い通りのゲームを行っている。特に危なかったのは前半終了間際のぺぺのヘッドで、オジルからのクロスに完全にミートしたシュートがポストを叩いた時には、ほっと胸を撫で下ろすしかなかった。
ただ、このダメな出来でも前半を無失点で終えられたのはバルサにとってポジティブだった。ハーフタイム後、ノックアウト寸前にも見えたバルセロナが逆襲に転じるのだ。徹底的にマークされていたメッシが中央から右へ移動し、それによって左のペドロが躍動。ついでにメッシも輝くようになっていた。51分のペドロのご挨拶弾を皮切りに、バルサは次々とカシージャスに襲い掛かっていく。
前半の停滞がウソだったかのように、回るバルサのパス。45分間の猛烈プレスでガスが切れたか、マドリーの動きは鈍くなり、プレッシャーから解放されたバルサの中盤はいつものパスワークを展開するようになっていた。こうなればもう、いつでもいけるぞといった印象。そして69分にはメッシからのスルーパスを受けたペドロがネットを揺らすのだが、これはわずかに、ほんのわずかにオフサイド。嗚呼がっくり。
その後もバルサの攻勢は続き、そして聖カシージャスが降臨する。74分のメッシ弾、75分のペドロによるバセリーナ弾、そして80分のイニエスタ弾とイケルは次々に好セーブを披露。イケイケドンドン状態でバルサはゴールを奪えず、そういうときはフットボルの常として、大きな代償を支払わされることになるわけである。決めるべき時に決めないと、大抵は悲しい結果が待っている。
90分にはディ・マリアの決定機をピント仙人がパラドンでしのぎ、戦いは延長戦へと突入。
延長戦に入り、ペースを掴み返したのはマドリーだ。98分、シャビ・アロンソからの1本の縦パスを受けたクリスティアノの単騎シュートは幸いにもポスト脇に逸れたが、そう何度もやつが外すともかぎらない。102分には右のディ・マリアからのクロスに頭で合わせ、しっかりと仕事をやってしまうのである。今日もまたクリスティアノの日ではないかというそれまでのシュートだったが、最後に1つ決めれば英雄だ。
1点をリードしたマドリーからゴールを奪うのは容易ではなく、延長戦後半となればさらにきつい。モウチームの守りへの執念がバルサの攻撃を上回り、ゲームはそのまま0-1で終了。この数時間後に自らのバスによって轢かれることになる、カップを手にしている。
この敗北はバルサにとって痛手だが、幸いなことにお返しの機会はすぐ目の前に控えている。来週、再来週のチャンピオンズで勝利をもぎ取ってしまえば、この負けもあっさりと過去となろう。Animo バルサ!Vamos!
|