単純に、強く良いフットボルをしたチームが勝った。それだけのことだ。
ようやく、鬱陶しさ満開の白クラブとの勝負の全てに決着がついた。ウェンブリー行き切符を巡っての戦いは、2試合総合で明らかにマドリーを凌駕したバルサの順当すぎる勝利。最終章でだいぶマシにはなった白組だったが、どちらがよりファイナルに相応しいチームであったかの問いには、考える必要など微塵も存在していない。
バルサのゲームへの入り方は、先発メンバー同様に予想どおりだった。奇跡の逆転を目指して前に出てくるマドリーを、パス回しでいなしていく作戦。追い込まれてそういうプレーをやれるなら、最初からやっておけばいいのに。とにかくマドリーの圧力に、バルサは序盤やや押し込まれた。
だがペップはこういった展開もしっかり想定していただろう。選手たちは慌てることなく状況に対応し、10分を過ぎる頃からは白いペースにも慣れて徐々にパスを展開開始。最初のシュートは20分頃のブスケツのヘッド弾(byコーナー)と遅かったが、30分にはすっかりと主導権を掴み、カシージャスのゴールにこれでどうだと押し寄せた。ここから10数分の白組は、サンドバッグ状態となる。
しかしながら32分と33分のメッシ、34分のビジャ、35分のペドロ、37分の再びメッシとバルサの決定的チャンスは、あと少しの運不足、ならびに聖カシージャス降臨によってゴールには至らない。この時間帯に1発叩き込んでおければ、良かったのだが。。。ツイてない。
一方、ツイていたのは43分、明らかに妥当といえる2枚目のカードを、寛大な処置によって見逃されたカルバーリョだ。ここで早々と10人にならなかったことを、マドリーは審判に感謝すべきだろう。
後半、マドリーは気合のスタートを見せている。そして47分には問題となるプレー&ジャッジが発生。イグアインの合法的なゴールが、その直前のクリスティアノのマスチェラーノに対するファールで取り消されるのだが、当然エル・ブランコは前半のカルバーリョの件など忘れている。ここだけを取り上げ、批判、批判のオンパレード。鬱陶しい。
バルサの先制点は、このスッキリしないムードの中で誕生している。53分の、バルデス、アルベス、イニエスタとつながる、スローなカウンター。最後はドンからのミリ単位のスルーパスに抜け出したペドロがカシージャスを攻略し、均衡を破るのである。
だがリードを奪ったことで、バルサは集中力を途切れさせた。不用意な自陣でのパスをディ・マリアに奪われ、最初のシュートこそポストに救われたものの、続くプレーでマルセロに押し込まれて1-1(64分)。 最近はこういったうっかりエラーがちょいちょい発生。気を引き締めねばならない。
コントロールを失いかけたバルサだったが、グアルディオラはこの局面をケイタを投入することで制御した。これで中盤は落ち着きを取り戻し、マドリーの反攻も冷静な対応によって次々に潰していった。バルサとしてのチャンスもまた作り出すことはなかったが、この試合では特に無理をして攻撃を仕掛けまくる必要もなし。時間が流れていけば、それでOKなのだ。
ただ、この試合ではバルセロニスタに、最後にとっておきのプレゼントが用意されていた。エリック・アビダルのピッチ復帰だ。肝腫瘍という試練を乗り越え、全力で頑張ってきた彼に、この舞台以上に相応しい復帰の舞台はない。おかえり、アビダル!カンプノウは割れんばかりの拍手と歓声で、英雄の帰還を祝福した。
フィエスタムードと共にゲームは終了し、選手たちはウェンブリーへ辿り着いた喜びを、いつまでもピッチで爆発させている。中央で大きな輪を作って跳ねたり、アビさんを胴上げしたり、グラウンドを一周したり。独自の信念を貫き、勇敢に愚直にフットボルをやり抜いた結果が、このファイナル進出。よくやったり、バルサ!まともな努力が報われたって事実が、見る者に勇気をくれる。
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