年に1、2度目撃する、後味サイアクの試合。余裕をかますと失敗する良い例だ。
FIFAウイーク明けの試合はいつも苦労するもので、相性イマイチのアノエタ、直後にミラン戦が控えるとなれば、こういう結果も予測はできた。しかしながらその過程が酷かっただけに、がっくり度も高い。十分勝てていたはずの試合で、2ポイントを落としたのは痛い。
このラ・レアル戦にグアルディオラは、思い切ったローテーションを採用している。代表チームで足を使った選手のうち、メッシとマスチェラーノ、アビダルがベンチスタート。前日にプレー許可の下りたプジョルにもムリをさせず、フォンタスが先発となっている。
パスに乱れが見られながらも、バルサは立ち上がりからゲームをコントロールした。レアル・ソシエダは高いライン設定によってバルサに圧力をかけてきたが、ならば、と仕掛けたのが、そのラインの裏を突きまくる戦法だ。セスクやチャビ、チアゴがやや長めのボールでスペースをこれでもかと狙う。そしてまんまと、2点先取に成功するのである。
まずは10分、セスク(偽の9番)のミドルパスにアレクシスが飛び出し、GKブラボの前へと切れ込む。そして機を見て横を走っていたチャビにボールを譲り、6番はこれをあっさりと流し込んだ。さらにその1分後、今度はチャビからのスルーパスにセスクが抜け出し、横にいたペドロへとパス。PR17のシュートは惜しくもブラボに阻まれるが、詰めていたファブレガスがこれをねじ込み、あっという間に0-2としてしまうのだった。なんじゃこれ、というくらい余裕の展開。だがこの瞬間をピークにゲームが悪夢へと向かっていくことを、どのバルセロニスタが予想してただろうか。
その後も再三、バルサはラ・レアルのオフサイドラインを脅かしている。ここでとどめの3点目を決めていなかったことが、よくあることだが痛かったのだ。特に37分の、珍しいペドロのシュートミスは勿体なし。
好事魔多しと言うが、まさにそんなニュースが30分、ペップチームの元へと届く。エストラーダとボールを競り合ったアレクシスがファールで倒され、その際に右ハムストリングスを痛めてしまったのだ。チリのマッチョマンは即座に交代を要求。第一検査により、全治6-8週間との診断を受けている。なんてことだ!
実際のところ、前半のバルサのゴールチャンスは2つほどだった。その他は酷くはないにせよ、もうひとつな内容。早々にリードを手に入れたことで、アクセルを緩めたのがひしひしと感じられた。だがハーフタイム後、状況はにわかに暗転する。守備面でのうっかり2つによって、2点を返されてしまうのだ。
緩くなったバルセロナに、目下絶好調のアギレチェが襲い掛かる。47分のシュートでまずは挨拶とすると、59分にはお見事なヘディングによってバルデスの壁を破った。アドリアーノがシャビ・プリエトにあっさりとピンポイントクロスを許し、アギレチェのシュートも上手かった。
さらに前半のバルサと同様に、後半のレアル・ソシエダも往復ビンタによって立て続けに2点を奪う。60分、ダビド・ビジャ(アレクシスに代わって出場)の意味不明のロングバックパスがアギレチェへと渡り、瞬時にしてバルデスと1対1に。そしてシュートは(ブスケツのハンドによって)クロスバーを直撃するのだが、詰めていたグリーズマンが頭で押し込んで2-2としている。
このままエンパテでは終われないバルサ。グアルディオラは62分にメッシ、81分にイニエスタをピッチへ送り込んでいる。システムも3-4-3へと変更。スクランブル状態へと突入した。しかし代表戦の影響がじわじわ出てきたのか動きは鈍く、気持ちは焦ってプレーも単調。メッシの奇跡、ドン・イニエスタの変態プレーも炸裂せず、アノエタの大声援を受けて気合の入るラ・レアルに、いいように潰されるだけだった。むしろ、負けていた可能性すらあったから悲しい。92分にはエリア内でメッシが転げたが、主審はシミュレーションとして一蹴。実際のところ、アレはさすがに強引すぎた。
そういえば77分には、こんなプレーもあった。アギレチェの足がつり、バルサは攻撃中にプレーを止める。そして再開後、ラ・レアルがバルデスに向かって大きくボールを蹴り返すのだが、守護神はゴールに向かい背を向けて歩いていて、これに気付かない。そしてボールがゴールへと転がり込む寸前に気付き、横っ飛びのキャッチ。もしこれがそのまま入っていたら・・・・長らく語り継がれる失点となっていただろう。ラ・レアルはフェアプレー精神で1点プレゼントしてくれていただろうか。
ということで、序盤10分で勝利を確信したゲームは、終わってみれば負けの味。2ポイントを失ったフラストレーションに加え、アレクシスの長期離脱がムードをいっそう悪いものとしている。火曜日のミラン戦で果たして、この空気を換えられるか否か。さっさとページをめくってしまいたいところだ。ポジティブに考えるなら、アレクシスの負傷はアフェライにとってはチャンス。存分に暴れて、アピールしてほしい。
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