なんだか好くないことが起こっている、そんな感じのするエンパテ・ア・ドス(2-2)。チームとしてのバイオリズムは、確実に下がっていそうだ。
スポーツというのは、時に残酷なものだ。悪いなりにも頑張って、あともう少しで最低限の目標達成というところへきて、最後の瞬間に残念でした!と冷や水をぶっ掛けられるともしばしば。ミランのようなチームにとどめをささないと、やはりロクな結末は待っていない。
試合はバルセロニスタにとって、稀に見る最低のスタートとなった。開始20秒、センターサークルでボールを奪われると、自らボールを持ち出したパトによってあっさりとブスケツ後方のスペースを突かれる。そしてパトは1対1となったバルデスも焦ることなく料理し、股抜きシュートによって電光石火の先制点を奪い取るのだ。チャンピオンズ史上5番目に早いゴールらしく、それをLIVEで目撃できたことを大変幸運に・・・・・思わない。
バルサはそのわずか1分後にも、ほとんど同じプレーによってパトに2点目を叩き込まれかける。どうしたのか、と目を疑うほどのぼんやり度。ブスケツとマスチェラーノのセントラルは、やはり欧州トップレベルのチーム相手では危なっかしい。この時間帯、際どいながらも追加点を阻止したのは、幸いだった。
その後、ミランはゴールへの鍵かけへと入っていく。ピボッテがセントラルの間に入り、インテリオールはセントラルとラテラルの間を埋める。工夫のないスルーパスはことごとくカット。忍耐強く守備を続け、じっと一撃のチャンスを待つところは実に厄介だ。
そんなミランからバルサが同点ゴールをもぎ取れたのは、メッシの突破力による。19分にはフリーキックにてポスト直撃弾を放っていたクラックは30分にGKアッビアーティを脅かした後、36分、今度はペナルティサークル前から単独突破を敢行。デフェンサの間にスルーパスを通し、それに自ら追いついてエリア深く侵入、中央へ折り返したボールを、寄せていたペドロが押し込んだのだ。メッシのやったろう根性によって、ゲームの流れは変わる。さすがのミラニスタたちも、これには舌を巻いただろう。
だがその3分後、バルセロニスタに新たな不幸が訪れる。ボールを競り合って奪取した際、イニエスタの左太ももが悲鳴を上げたのだ。大腿二頭筋がぷつり。ピケ、アレクシス、そしてアンドレス。嗚呼またも連鎖する筋肉系の負傷。ドンは4週間、ゲームを離れることになる。
後半に入ると、バルサのリズムは若干向上。ミランは自陣に張り付き、プレーはハーフコートで行われた。追加点は、珍しい形でやってきた。ゴールから30mほどの距離でブスケツが得たフリーキックを、ビジャが直接叩き込んで見せたのだ。右足から放たれたシュートは、きれいなカーブを描きながらゴール左端へ。そういえばグアッヘのフリーキックからのゴール、ちょっと記憶にない。
待望のリードを手にしたことで、バルサには余裕が生まれた。これでもかというようにボールを展開し、ミランをぎりぎりと締め上げる。それを懸命に凌いでいたネスタ、ザンブロッタ、セードルフ、その他ミラン守備陣の粘りは賞賛もの。バルサとしては、過去にもう何度も言われてきたことだが、こういう時にダメ押しゴールを奪えなかったことが、後の請求書となって返ってくるわけだ。それはもう、黄金パターンとすらいえる。
ペップは66分、ケイタに代えてピッチにプジョルを送り込む。ファンが待ち望んだ、カピタンの復帰。カンプノウは彼を盛大なる拍手で迎え、試合終了10分前にはビジャに代わって、こちらも怪我明けのアフェライが登場。ミランが反撃を仕掛ける気配もなく、まあハッピーエンドへと順調に向かってます、といった雰囲気で、ゲームは最終局面へと入っていった。
そしてロスタイム、歓迎せざるドラマがバルサを待っていた。ペドロがエリア内にて微妙な感じで倒れた後の、92分のコーナーキック。セードルフの蹴ったボールに、チアゴ・シルバが打点の高いヘディングであっさり合わせて2-2・・・・・・。本当にあっさり合わせて2-2・・・・・。セットプレーには弱いくせに、入らないだろうと過信していた節がうかがえる。
ということで、週末のレアル・ソシエダ戦に続き、勝てていたゲームを自ら落としてのエンパテ。気持ちいい勝利でラ・レアル戦の不幸を交通事故とし、新たにスタートを切る目論見は、こうして脆くも崩れ去った。傷口は、より深く広がった感じ。運気は間違いなく下がっている。手を抜いているわけではないのに、エラーがいちいち高くつく。選手たちは当惑しているだろう。次のオサスナ戦も、しんどいことになりそうだ。勝ち続けるって、本当にタイヘン。
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