カンプノウ周辺に漂っていたもやっとした空気への、断固たるリアクション。クレのフラストレーションを、さくっと解消してくれた。
今回もグアルディオラは、先発メンバーでバルセロニスタを驚かせてくれた。プジョル、マスチェラーノ、アビダルによる3バックはもはや想定内として、サプライズはアルベスの右エストレーモ起用だ。これが見事に的中するから、ペップはすごい。長く走る必要がないからか、ダニは好精度のクロスを連発。試合状況に応じダニを上げて3バックにすれば、非常に良いオプションになるだろう。
立ち上がりこそアビダルの危なっかしいプレーからニノにチャンスを作られるバルサだったが、それを凌いだ後の支配は圧倒的だった。先制点はいきなりの4分だ。オサスナエリア周辺でボールをほいほいと展開し、ブスケツが右サイドのスペースを発見。送り込まれたボールをアルベスがダイレクトに頭で折り返し、ファーに詰めていたメッシがこれを楽々押し込んだのだ。
これで気をよくしたバルサは、さらにアクセルを踏み込んだ。勇敢に前に出るオサスナを相手に、中盤をまさに制圧。チャビ、メッシ、セスク、チアゴ、ブスケツ、アルベスによってこれでもかとボールを回し、13分のセスクのスペクタクルゴールへと結び付けていく。チアゴからのボールをセスクが胸で落とし、メッシが浮き球のスルーパス。そして前線へと飛び込んだ4番はこれを、左足のボレーで合わせてみせた。ゴーラッソーーーーー!なんという落ち着き、決定力だろうか。
25分にもセスクは、メッシとのコンビネーションでGKフェルナンデスと1対1になるが、惜しくもこれは守護神が意地のセーブ。30分、アルベスのクロスに合わせたメッシのヘディング弾は、ポストを叩いている。
勝負を決定付けるため、バルサは攻めの手を緩めなかった。そして34分、アビダルからのスルーパスを受けたビジャが、ドリブルでフェルナンデスも抜き去り、3点目となるゴールをゲット。アビダルとビジャのコンビはなかなかのもので、その5分後にもグアッヘはアビのロングパスからオフサイドをかいくぐり、フェルナンデスと1対1に。シュートはこのGKによって阻まれるのだが、跳ね返りがロベルシオの足に当たり、ゴールへと転がり込んでいった(4-0)。
ハーフタイムまであと5分ほどとなり、ペースを落として不思議ではない時間となったが、そこでもう一発狙いに行くのがバルサだ。41分、チャビからのボールを受けたセスクがエリア内で華麗にターン、「あとはどうぞ」のパスをメッシがネットに沈め、5-0で前半を終えている。ファブレガス、めっちゃ冷静なり。
さすがに5点のリードを手にした後半、バルセロナはリズムを落としてくる。だがそれは、ゴールチャンスがなくなるという意味ではない。50分にはアルベスからのナイスなスルーパスを受けたメッシがバセリーナを放つも、ボールはクロスバー。圧勝している時はバーを叩いて観客を沸かせろ、とのクライフの教えを忠実に守っている。そしてその5分後、今度はレオからのパスにライン裏へ抜け出したチャビが、余裕のバセリーナを決めてみせた。
こうなってしまえば、あとはもうどれだけファンを喜ばせられるかだ。カウンターによってニノにちょっぴり危ない場面は作られはしたものの、58分のアルベスのキャノンシュートなどを挿みつつ、76分にはビジャが追加点を奪う。セスクがぬるぬるとしたドリブルで守備網を突破し、最後は隣りでフリーのビジャへとパス。グアッヘはこのお膳立てをきっちりとモノにしている。
そしてフィエスタの最後は、やはりこの人メッシ。セスクとの壁パスでエリア内へと侵入すると、シュートフェイントでフェルナンデスを倒し、あとは悠々とボールをゴールへと流し込むだけだった。こうしてレオは、今シーズン最初のハットトリックを完成させている。カンプノウでの8点は、96/97シーズンのログローニェス戦以来15年ぶりのことだ。
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