バレンシア強し!悪くない出来でこれだけパスをつなげないバルサは久々に見たね、という試合。そのなかで2度リードされながらも同点とできたのは、まずまずの結果だ。
ゲームは序盤からハイペースな展開となった。ペップが採用したのは、前日の会見で「メスタージャでは少しリスキー」と言っていた3-4-3.。再びアルベスを前線に置き、中盤の制圧、ならびに後の会見でペップが説明したところでの"マスチェによる左サイド攻撃の阻止"を狙ったのだ。しかしこの目論見は外れる。バレンシアの気合と集中力は大したもので、猛烈なプレスがバルサのセントロカンピスタを襲う。ボールはつながらず、抑えたかった左攻撃も食らいまくったのだ。
バレンシアの左サイド、つまりはバルサの右サイドを突きに突いたのはマシューだった。バレンシアの中盤はバネガを中心に非常に上手くバルサのボールをカットし、左のマシューへとボールを送る。マスチェラーノはサイドでの守備が苦手のようで、プジョルが引っ張られることで中央を手薄にされた。先制点はそのマシューからソルダードへのボールが、カットしようと足を出したアビダルの足に当たって自らのゴールへ。。。ヨヨヨのビハインドを背負うことになる(12分)。
だが王者バルサの選手たちは、そんなことでは全くめげない。そのわずか1分半ほどの後に、これでどうだのお返しをするのだ。セスクからメッシへオシャレなパスが渡り、アルヘンのクラックは必殺のスルーパスをエリア内へと供給。ペドロがそこへ走りこみ、迷いなくGKグアイタのニアにボールを蹴り込んだ。
バルサにとって残念だったのは、16分のエリア左端でのメッシへのラミのファールが、ペナルティとならなかったことだ。マドリー系新聞MARCAとASもペナルティと認めるこのタックルを、ベラスコ・カルバージョ主審は許している。2分前にすでにイエローをもらっていたことが、影響したと思われる。そしてその7分後、バレンシアが再びリードに成功するのだ。
きっかけとなったのは、またもバネガからボールを受けたマシュー。ソルダードへと目掛けられたセンタリングは目標へと到達することはなかったのだが、これまた厄日のアビダルの足に当たってコースが変わり、ゴール前で完全フリーだったパブロ・エルナンデスが悠々と押し込んでいる。
我の前に障害なきが如しといった感じのマシューは40分にも左サイドを突破しており、必殺のセンタリングを供給。ゴール前のソルダードはただこれを押し込めばよかったのだが、確実にいこうとしたのが災いしたか、芸術的にポスト左へと外している。これが決まっていれば、バレンシアがまず間違いなく勝っていたことだろう。
ハーフタイム後、グアルディオラは明らかに上手く機能していなかった3バックを止め、アルベスをラテラルに下げた4バックへと修正をかける。一方でバレンシアはリードを守るべく、消極的になっていた。こうしてバルサは、パスをつなげるようになっていく。
プレーが安定したことで、ペップは次なるプランを用意していた。3バックへの再挑戦だ。58分にペドロとケイタを下げてビジャとアドリアーノを送り込み、63分にプジョルからチアゴへ代えて修正完了。攻勢へ転じるご挨拶となったのは、67分のマスチェラーノのクロスバー直撃ロングシュートだ。これが入っていれば、後の語り草だったのになぁ。
この試合もまた、決定的な役割を果たしたのはセスク・メッシコンビネーションだ。77分、レオからの長いスルーパスがバレンシアの守備ラインを切り裂き、ファブレガスがグアイタと1対1に。こうなってしまえば、もうセスクのものだ。驚異の決定力はこの夜も発揮され、"4番"は楽々ポルテーロを料理している。メッシもいつものキレは感じさせずとも、気が付けば2アシスト。なんともはや。
同点に追いついたバルサは、次なる3点目を目指して攻め続けた。もっとも惜しかったのは、88分のビジャだ。メッシからのキラーパスにグアッヘが抜け出し1対1からシュートを放つも、これはグアイタがブロック。さらにその直後のアドリアーノとメッシのチャンスも、ゴールとはならなかった。
4分のロスタイムにも、いろいろとあった。ジョルディ・アルバが副審への侮辱で一発ロハとなったり、メッシがエリア内でミゲルに潰されたのに主審はこれを見逃したり(こちらも首都系メディアすら認めるファール)、主審は残り時間を30秒早く終了の笛を吹いたり。最後まで話題に事欠かない試合だった。
こうしてゲームは2-2で終了した。2-2での引き分けは奇しくも前のレアル・ソシエダ戦、ミラン戦と同じスコアだ。しかし2度リードされたのを追いついたことで印象は全く異なり、次へと気持ちを前向きに持てる1ポイントとなっている。マドリーがサンタンデールでずっこけたのも大きい。同じエンパテでも、あちらさんには疑念の花がちらほらり。空中爆発に期待する。いずれにせよチームは、次なるアトレチコ戦へとモチベーションを高めていることだろう。
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