エラーだらけのカメの子戦術では、バルサのいい餌食。びびるBATEをマニータで撃沈。
ペップも選手たちも、ファンもホッとひと息といったところだろう。ミランとの初戦に引き分け、もしここでもポイントを取りこぼせば・・・と地味に募っていた危機感も、ミンスクでのゴレアーダで一蹴。次なるピルゼンとの2試合できっちりやれば、最初の目標であるグループ突破は確実となった。
さすがに毎回苦戦のチャンピオンズ・フエラ(しかも苦手の東欧)とあって、グアルディオラはこのBATE戦に安心の4バックを採用している。一方のベラルーシ王者は、ケズマンを前線にひとり残した9-0-1といったところ。フットボルはあっさりと放棄し、ただカウンターの奇跡に望みを託した。しかしこの彼らの武器も、職人マスチェラーノによってことごとく無効とされている。
カメとなっている相手をいかにして崩すか、バルサはまずその方策を探した。エリア内に密集するライバルを前に、チャビを中心としてボールを回していく選手たち。そして19分、アルベスがファーポストへと蹴り込んだボールに、メッシが合わせてネットを揺らす。だが実際にはこれは、ボロジコのオウンゴールだった。どうせなら触らず、レオのゴールにさせてくれればいいのに。
1点を奪われても、BATEの戦術に変化はない。バルサの猛攻に、どうにか耐え凌ごうとするのみだ。だが守りにエラーがあっては、上手くいくはずもない。22分、今度はビジャからエリア内へと送り込まれたボールにペドロが珍しく頭で合わせて0-2。GKグトルはこれをクリアしようと飛び出していたのだが間に合わず、無人のゴールへ吸い込まれるボールをただ見送っている。
2点のリードを許したことで、ゴンチャレンコ監督のプランは打ち砕かれた。彼らにはもう、ここからどうにか盛り返す力はなかっただろう。だが過去の失敗を教訓としているバルサは攻めの手を緩めず、BATEゴールを狙い続けた。その報酬が38分の3点目。ペドロが右から送り込んだクロスはなんでもないものだったが、グトルがこれをキャッチし損ない、目の前に詰めていたメッシが苦もなく押し込んで0-3としている。
ハーフタイムが明けても、試合のパノラマに変化はなかった。BATEボリソフのライン間は広がり、バルサの前にはパスを回すためのスペースが生まれていた。となると、やってくれるのがクラック・メッシだ。56分、アルベスとのコンビネーションからエリア内へと侵入し、相手デフェンサが5人くらいいるのも構わず強烈シュートを一発。ボールは凄まじい勢いでネットへと突き刺さり、テレビ前で眠くなりかけていたクレの目を覚ますのだった。
このゴールはメッシにとってバルサでの公式戦194点目であり、あの名前だけはよく知っている1950年代の伝説の超クラック、ラディスラオ・クバラのゴール記録に並ぶものだった。まだ24歳の若さにして、レオはクラブ歴代ゴレアドールランクで2位に。残るはこちらも伝説のセサールが持つ235ゴールだが、順調にいくなら、今シーズン中にもこの記録は打ち破られるかもしれない。
勝利はもう間違いのないものとなり、グアルディオラはチャビとアビダルをお役御免とし、セスクとアドリアーノを送り込む。その後はペドロも下げてマクスウェルが登場。アドリアーノのエストレーモ起用が、普通のことになってきている。
雨が強さを増し、4点のリード。ボール支配は変わらず圧倒的。こうなればもう、あとは軽く流して終了の笛を待てばいいのだが、ロスタイム付近でもう1点加え、ケーキにイチゴを乗せるのはこのチームの得意技だ。今回、その役を担当したのはダビド・ビジャ。90分、前線でのプレッシャーによって相手デフェンサのボールをカットすると、チアゴのパスを受けてグトルと1対1となり、股抜きシュートで悠々と料理して見せた。
まだ9月末の段階で、今シーズン4度目のマニータ(公式戦では3つめ)というからすばらしい。他会場ではミランがビクトリア・プルゼニに勝利し、グループHは予想どおりの2強体制となりつつある。
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