現実的なプレーできっちり3ポイントを確保するのも大事。その手本といったところの試合だった。
前日の練習中にセスクが負傷。注目はそのセスクを活かすために導入した(と思われる)3バックシステムを、フエラでペップが継続してくるかどうかだった。さてふたを開けてみてビックリ。ミスターの発想力にファンはまた驚かされることになる。ペドロが偽の9番となり、時折メッシと入れ替わるというアイディアをペップは採用してきたのだ。数字で表すなら、3-3-4だ。
堅守を誇るプレシアードチームは、バルサの攻撃力を封じるために専守防衛戦術を採ってきた。ペップチームへと対抗する術は十分に分かっている。秩序だったラインでスペースを潰すこと。あとは数少ない好機を、デ・ラス・クエバスやバラルが決めてくれるかどうかだ。
前半のプレーはほぼ、スポルティング陣内で展開された。バルデスはほぼ、することが何もない展開。バルサはヒホンの統制の取れたラインの背後を、ビジャの抜け出しによって狙っていった。最初の決定機は10分、そのグアッヘによる枠外シュートだ。アスルグラナスはさらにロヒビアンコを攻め立てた。そして12分、先制点をゲットするのである。
まず、目前にスペースが開けたチャビの強烈なミドルシュートが、左ポストをバチンと叩く。どよめきと共にボールは右方向へと弾かれ、詰め寄ったアドリアーノが波状攻撃シュート。ボールはデフェンサに当たりながらも、GKファン・パブロの守るゴールへ吸い込まれていった。
リードを手にした後、バルサは試合を決める追加点を狙っていった。作り出したチャンスは少なかったが、惜しかったチャンスは15分の、チアゴの左サイド突破からのビジャのダイレクトシュート。しかしこれは、ファン・パブロの好守によって阻まれる。さらにこぼれ球を拾ったバルサはメッシのスルーパスからビジャが再びゴールを襲うも、惜しくもシュートはサイドネットに刺さっている。この後あたりから、スポルティングはラインをやや前進させ、ビジャはオフサイドの網にかかる場面が増えた。
この試合、ヒホンのマークによって抑えられていたメッシは35分、エリア内に切れ込むとデ・ラス・クエバスとの競り合いで倒れるのだが、主審はこれをファールなしと判定。まあ、ペナルティを貰うには微妙なプレーだった(ペップは試合後、「メッシが倒れるのなら、それは倒されたということ。彼が自ら倒れて欺くことは決してない」とコメント)。
前半終了直前にはアルベスのヒザがマスチェラーノの頭に入り、ヒヤッとする場面もあったが、幸い大事に至ることはなかった。
前半で試合を決められなかったバルサを不運が襲ったのは、後半も早々の55分だ。ハムストリングスを痛め、ピッチを去ることになったエリック・アビダル。またも太ももの筋肉!これはどうなっているのだろうか。もう、なにかに呪われているとしか思えなくなってきた。
グアルディオラはこの事態に、早急に対処する。アビダルの場所にマクスウェルを送り込み、偽9番はいまいちだったペドロを下げてピケを投入、最終ラインは4人編成へと変更された。
ハーフタイム後のバルサのプレーは、決して良いとは言えなかった。スポルティングはどうにか勝点を奪い取るべく激しさを増し、ゲームは拮抗した展開となってはいたのだが、彼らの攻めにはこれといったアイディアは見られない。これはバルサにとってはありがたかった。平凡なパス回しだけで急所をえぐれないのは見る者には退屈だったが、そういう試合を上手くものにするのも重要なことだ。
85分にはメッシのミドルシュートをファン・パブロがこぼしたところを、詰めていたアルベスが左へ流し、最後はケイタが押し込むのだが、アルベスの位置がオフサイドだったためにこれは得点とは認められていない。
といった感じで、バルサが序盤の1点を守り抜いての勝利。難所であるエル・モリノンで価値ある3ポイントを確保し、リーガの首位へと浮上している。FIFAウィーク前の試合を勝利で終え、さらに首位のオマケも付いてきたのは好きこと哉。怪我人が続出している中での、この中断はバルサにとってはありがたい。ちなみに殊勲のアドリアーノは、これがバルサでのリーガ初得点。おめでとう!
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