10月のパロン(リーガ中断)はバルサにさほど影響しない。それがまた証明された試合。
クーペルのチームが守備的にくることを、グアルディオラは確信していた。よってこの日の先発イレブンは、相手の守りを崩すのを優先したメンバー構成。ピボッテにはブスケツでもマスチェラーノでもなく、チアゴが務めた。ミスターの信頼を得ている、20歳の若き才能。だがペップにとっての誤算は、やっと先発になるまで回復したピケが、いきなり負傷交代したことだ。しかもまた、ハムストリングス。歓迎せざる連鎖よ、いつまで続く。怪我明けのアビダルを休ませられなかったのも痛い。
ラシンは読みどおり、バルサを止めるために守備に専念してきた。だが彼らのプレス方法には不十分なところがあり、アスルグラナたちが徹底的に苦しむということはなかった。先制点も11分と早いタイミング。やってくれたのは、これがミラン戦での怪我以来の出場となるイニエスタとメッシの黄金コンビだ。まずメッシのスルーパスによってドンがエリア内部へと侵入し、次いで侵入してきたレオへとお返しのパス。するとメッシは悪魔的ワンタッチでデフェンサ2人を置き去りにし、GKトーニョもシュートと見せかけドリブル突破。無人のゴールへとボールを流し込んだのだった。
バルサの攻勢は続き、追加点も程なくして訪れる。28分、左サイドを突破したペドロから良質なクロスがエリア内へと送り込まれ、中央で待っていたチャビがジャンプ一番、ヘディングシュート(!)を決めるのだ。あのチャビがヘッドとな。そんな引き出しを彼が持っていようとは。
その後も、36分にはゴール前へ突入したプジョルがわずかにペドロのパスに合わせ損なったり、スルーパスに抜け出したビジャのシュートが惜しくもサイドネットに突き刺さったりと、前半でゴレアーダとするチャンスはあった。裏のスペースを何度も突けていたことが、ラシンの守備がもうひとつだった証だ。
後半もゲームはバルサが支配し続けた。ボールキープ率は8割近く、プレーはほぼ全てラシン陣内で行われる感じ。となれば、試合を決める3点目も時間の問題だ。66分のアルバロ・ゴンサレスによるメッシへの明らかなるペナルティはアイサ・ガメス主審によって見逃されはしたものの(こういう場面はもう何度目だろうか)、その2分後にはまたもやメッシがネットを揺らす。だがこのゴールで輝いたのは、その直前のイニエスタのプレーだ。
まずはチャビからのエグイパスをエリア際で受けたドンが、変態的ボールタッチ(最初の右足アウトサイドのタッチでボールを宙に軽く浮かせ、空中での右足ツータッチ目で突破)によってデフェンサ2人の間をすり抜け、間髪いれず左足シュート。ボールは右ポストに嫌われるのだが、跳ね返りをメッシが右足で直接叩き、ネットへと突き刺している。
勝利を確実とした後もバルサはさらなる追加点を狙い続け、メッシやビジャがあと一歩へと迫る。だがファンが最も沸いたのは、83分のアビダル(!)のチレーナ(!!)だ。トーニョがこれをキャッチしてしまったのが、なんとも残念。決まっていれば、長く語り草になっていたのだが。
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