セビージャのポルテーロ、ハビ・バラスにやられたね、と記憶されるであろうゲーム。メッシも人の子、ペナルティを失敗することもある。
バルサと並び、ここまでリーガで失点4のセビージャ。試合前からその堅守ぶりが話題に上っていたが、結果もそれを証明するものとなった。とりわけ憎たらしく感じたのが、ゴールを守るハビ・バラスだ。
グアルディオラはこの試合に、再び3-4-3を採用している。今回もまた、セントラルの本職がいない3バック。アドリアーノを右ラテラルに配置したのは、4バックへの修正オプションとも考えられる。
ゲームは序盤からハイペースで始まった。セビージャはまず守備を第一とし、統率されたラインと正確なポジショニング、プレッシングによってバルサのパス回しを封じようとする。9分にはアドリアーノの突破から好調イニエスタが最初のチャンスを掴んだものの、バラスの一発目のパラドンでそれを凌ぐと、その後はエリア周辺をがっちり封印。一方で20分にはヘスス・ナバスのシュートをバルデスがジャンプ一番でかき出し、こちらも好いところを見せている。
そして25分を回る頃から、バルサはシステムを4バックへと変更する。それに伴いプレーは落ち着きを見せ、徐々にチャンスも訪れるようになっていった。特に惜しかったのは40分、イニエスタとのワンツーからエリア内へ侵入したアドリアーノを経てのビジャのシュートと、45分のメッシの至近距離からのセンタリング兼シュート(ファシオに当たってコール変わる)だ。しかしこれらはどちらも、ハビ・バラスのパラドンによって阻まれている。
後半に入ると、バルサの攻勢はさらに強まっていた。前半の頑張りで疲れの表れただしたセビージャなので、ゴールも時間の問題だろうというのが正直な印象だ。少なくとも、彼らが90分持ち堪えることはないだろうと。
だがマルセリーノチームは開き直ったかのように、エリアをさらに固めてきた。勝利は奇跡と考え、意地でも失点をゼロにするという気迫。あとはバルサの攻撃陣と、セビージャのどちらが先に折れるかといったような戦いだ。
54分のイニエスタのシュート、57分のメッシのヘディング、59分のアドリアーノによるミドルシュート、62分のビジャのシュート、73分のクロスバーに阻まれたイニエスタのバセリーナ、79分のメッシの右足シュートなどなど、バルサは次々とセビージャゴールへと襲い掛かっている。だがこれらの半分をスーペル・バラスがことごとくセーブし、残りは惜しくも枠外。これまでカモにしていたパロップさんを、こんなに恋しく思ったことはない。
それらの途中、グアルディオラはケイタとチアゴをベンチに下げ、ペドロとセスク(怪我後の初出場)をピッチへ送り込んでいる。
必殺のパスワークで数度セビージャの陣形を破りながらも、最後の壁バラスによってゴールだけは拒まれてきたバルサ。試合はいよいよ最終盤へと突入し、スリルの度合いも高まっていっていた。そして追加タイムへと突入していた92分、勝負を大きく左右する瞬間が訪れた。イニエスタの突破に対し、ファシオが堪らずファール。イトゥラルデ・ゴンサレス主審が、ペナルティを宣告する笛を吹いたのだ。ちなみにこれは、バルサが得た今季初めてのペナルティ。
この決定に対し、セビージャ選手たちは猛烈に抗議する。そしてメッシがボールを前に集中を高めているその背後で、もみ合いが発生。その直前にもペナルティスポットのボールを動かしカードを受けていたカヌーテがセスクに噛み付いて赤紙退場となり、場の空気は荒れた。これによって大きな迷惑を被ったのが、我らのメッシだ。数分後、なんとなくフワッとした感じでプレーは再開となり、クラックのシュートはバラスに弾かれる。
残り時間はもうほとんどなかったが、それでもチームグアルディオラは最後まで攻め続けた。ベンチから立ち上がり、心配そうにピッチを見つめるチャビ。これも珍しい光景だ。そして97分にはフェルナンド・ナバーロがイニエスタを倒して赤紙退場。せっかくの白熱の好ゲームはこうして、残念な結末となっている。最後の騒動がなければ、本当に良かったのにと、つくづく残念だ。ただロッカーへと引き上げるバルサ選手たちに対しスタンドから拍手が送られたことを、後の会見でペップは称えている。
その前の試合でマドリーがマラガに勝利していたので、リーガの首位は交代。バルサはあくまでも一時的に、モウチームへとリーダーの座を明け渡すことになった。(追記:首位は白組ではなく、レバンテでした。失礼!)
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