大いなる期待のこもった首都方面発の"疑問"の声に、メッシ&バルサがゴレアーダをもって答えた。久々のマニータは、やはり気持ちがいい。
マジョルカのホアキン・カパロス監督は、試合後に「最初の瞬間から、私たちにはオプションがなかった」と述べている。そう言わしめたバルサがどのようなスタメンを組んだか。グアルディオラはこの試合にチャビを登録せず、イニエスタ、セスクらもベンチに座らせた。メッシを3バックの中盤に置き、チアゴと一緒にボールをさばき、ゲームを作ろうという案だ。
また、グラナダ戦に続いて、クエンカが再び先発。左はアドリアーノが担当し、この両翼たちは十分に存在感を発揮していた。クエンカは弱冠20歳にして、ボールをシンプルに回すべきか、切り込んで勝負に出るべきかの判断能力に長けている。突破を試みた際のセンタリングも見所があり、良いチャンスへとつながっていた。気後れしないメンタルに期待できる。
見る者を驚かせた先発イレブンだったが、プレーが始まってみると、いつものバルサだった。チャビ・イニエスタがおらずとも、軽快に回っていくパス。6分のジョアン・ビクトルが外した決定的チャンスを除けば、マジョルカに見せ場はなかった。先制点は意外な形で訪れる。12分、メッシのパスに飛び出したアドリアーノの頭での折り返しをヌスエが思わず手で止めてしまい、ペレス・モレノ主審は迷わずペナルティを宣告。キッカーは当然メッシが務め、クラックはセビージャ戦でPKを失敗した時と同じく、今度も右方向へとボールを蹴り込んでみせた。垣間見える、レオの意地。
早々に得点に成功し、心地よくプレーするメッシ。こうなればもう、彼の独壇場だ。2点目はイザーク・クエンカのクロスから生まれる。右のエストレーモから送り込まれる、良質のボール。左のアドリアーノは、これを待ってましたとばかりにダイレクトでシュートした。しかしミートに失敗したボール^^はゴール正面メッシの元へ。あとはもうレオは右足で悠々と、これを押し込むだけだった(21分)。
さらに30分、今度はダニ・アルベスからのライン裏への完璧なるロングボールに対し、エリア内へと突入したメッシが左足で直接合わせて3-0、ハットトリックの完成。過去2試合の得点力不足、ツキのなさがウソのような快適さで、バルサはハーフタイムを迎えている。
休憩時間の会話も弾んだであろうカンプノウに、後半スタート間もなく祝福の瞬間は訪れた。50分、この日大活躍のアドリアーノからスルーパスが送り込まれ、クエンカがこれに反応。カンテラーノはシュート阻止のためやってきたGKアワテも落ち着いてかわし、無人のゴールへとシュートを突き刺している。クエンカはこれがトップチームでの初ゴール。リーガ2試合目にしてのゴールデビューは、ヤツがなにかを持っている証拠だろう。
グアルディオラはハーフタイム明けからはアビダルをベンチへと退かせ、ピケを投入。最終ラインを4バックへと変更している。そのしばし後には、プジョルも登場。ようやく、センターバック本職コンビの復活となった。
この試合におけるもうひとつの話題は、ジェラール・デウロフェウのトップデビューだ。63分、ミスターはビジャに代えて17歳の若武者を投入。新たなるカンテラ祭りに、カンプノウは大きな拍手を送った。ただしこちらはクエンカ先輩ほどのプレーは見せられず、じっくり成長してね、というところだ。
余裕の4点リードを手にしたバルサは、プレーのリズムを低下させる。とはいえゴールチャンスを作ってしまうのがこのチームのすばらしいところで、マニータの匂いは終始漂っていた。だが78分のメッシの低い弾道による強烈フリーキックはアワテがセーブし、79分のピケの無人ゴールへの至近距離シュートもデフェンサが寸前でクリア。なかなか5点目とはいかなかった。
そして4点止まりかと思えた後半の追加タイムの、メッシがラフなタックルを食らうことで手にした遠距離からのフリーキック。レオは隣りのアルベスへとボールを譲り、ラテラルが思い切りよく放ったキャノンシュートが、クロスバーに当たりながらもゴールネットを揺らすのだった。ダニはシーズンに一・二度、こういったゴラッソでクレを楽しませてくれる。
主力数名に休養を、怪我明けのセントラルふたりには出番を与えられ、期待のカンテラーノが初得点を決め、17歳の逸材がデビューを果たし、ギガクラックがハットトリックで無理のある疑念に断固たる回答を出し、カンプノウがウェーブに沸いたマジョルカ戦。これで運気が大きく転換し、チームがポジティブスパイラルに戻ることを清々しく期待したい。
|