攻守の主人公たちがそれぞれにめでたい記録を打ちたてた試合。1/8ファイナル進出も確定し、好いことだらけのプラハ遠征。
ピルゼンでの目標は、試合前にグアルディオラやスビサレッタ、選手たちの誰もが強調していたように、グループリーグの突破にあった。そしてチームはきっちりとそのミッションを達成。ミラノで1位を確保するという仕事は残っているが、オニの12月の負担を軽減できたのはすばらしい。
ペップ・グアルディオラはマジョルカ戦に続き、このビクトリア戦でも主力を複数温存している。ビジャをメンバーから外し、チャビとイニエスタ、マスチェラーノはベンチスタート。試合数の多くなっている選手たちに、休みを与えた。ただ、レオ・メッシだけは今回もふつうにフル出場している。クエンカはこの試合も元気に先発入りだ。
最終スコアは0-4となったが、試合(特に序盤)は決して楽なものではなかった。チェコ王者はフィジカルが強く、予想以上にアグレッシブ。カウンターには危険な匂いを漂わせ、組織立った守備でバルサのトライアングルを封じ込めた。エデン・スタジアムの熱い応援も、彼らのプレーを後押ししていた。最初の決定機も、ピルゼンだ。この試合でクラブの無失点記録を塗り替える守護神(824分→877分)は16分、高速カウンターによって1対1の場面を作られている。ビクトル気迫の左手パラドンがなければ、ゲームは全く異なった展開となっていただろう。
聖バルデスが光臨し、バルサはピンチを凌いだ。するとその7分後、今度は聖メッシが降臨する。エリア内へとドリブルで侵入したクラックを、シソフスキーが足をかけて倒してペナルティの笛。審判はさらにこのプレーで、デフェンサを退場させている。キッカーは当然メッシが引き受け、今回はゴール左端へとボールを蹴り込んで見せた(0-1)。
不利な状況となったビクトリアは、ラフなタックルを連発することでバルサを止めようとする。ペップチームは相手のカウンターを警戒しつつ、ボールを回しながら試合をコントロール。そしてそろそろハーフタイムに入ろうかという瞬間、メッシが決定的な2点目を決めるのだ。ここでレオの得点をアシストしたのは、アドリアーノの壁パス。このところ、アドリは実によい仕事をしている。
後半早々、決定機を演出したのはセスク&メッシコンビだ。46分、レオからのスルーパスを受けてファブレガスがエリア内へと侵入し、GKパブリクが前へ詰めたのを見るとバセリーナを一発。だがこのシュートは惜しくもほんの数センチ、ポスト左へと逸れている。
この試合におけるバルサ唯一の悪い知らせが訪れたのは、49分のことだ。すでに累積カード2枚となっていたアルベスが警告を受け、ラテラルは次のミラン戦を欠場する羽目になっている。
66分にフリーのペトルゼラがボレーシュートを外したのは、バルサにとってはありがたかった。そしてピンチの後はチャンスありということで、67分にはメッシの浮き球パスに飛び込んだチアゴのヘッドが炸裂。クロスバーへとボールを当て、見る者をのけぞらせた。
だが72分、勝負を決着させる3点目が訪れる。右サイドを縦への動きで突破したクエンカから高精度のクロスが送り込まれ、フリーで抜け出したセスクが、頭でこれを押し込んでいる。
余裕のリードを手にしたバルサ。するとペップは73分、ピッチサイドでウォームアップを続けていたアレクシスを、アビダルに代えてピッチへ送り込んだ。おお、待っていましたこの瞬間。チリ人エストレーモはその後何度か、ゴール前で見せ場を作った。仕上げとなった後半追加タイムでの4点目にも、アレクシスはいっちょ絡んでいる。
そのプレーの発端は何気ないプレーだ。メッシはグラウンド中央付近でボールを受け取ると、一気にギアを上げて全速前進。壁パスを試みたサンチェスのボールはデフェンサに当たるものの、これを受けたピケがオシャレなヒールパスを繰り出し、エリア内へと突進したレオはそのままの勢いでポルテーロも抜き去ると、無人のゴールへと左足シュートを流し込んでいる。ちなみにこちら、メッシのバルサ通算202ゴールであり、グアルディオラ時代における500ゴールだそうな。
ということで、メッシはこれで2試合連続ハットトリック達成。首都方面からの陽動作戦もどこ吹く風と、今日もギガクラックぶりを遺憾なく発揮したのだった。
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