手を抜いていたわけではないのだけれど、ゴール前での迫力や決定力を欠いた試合。イニエスタのゴラッソによって、最低限の目標はクリアした。
セグンダBのご近所さんとの試合に、どのようなメンバーを起用するか。おそらく悩んだであろうグアルディオラが出した答えは、まずまずの面子できっちり勝ちにいく作戦だった。フィリアルの選手は4人使えるのだが、先発に名を連ねたのはテージョとジョナタンの2人だけ。中盤から前線にかけては、なかなかに豪華な顔ぶれが揃っている。
試合の会場となったフェイシャ・リャルガは、プレシーズンの親善試合かというほどに閑散としていた。6,900人を収容できるスタジアムながら、観客数は2,000人と少し。理由はいくつか考えられ、●ソシオであっても入場料が要ったこと、●平日22時開始だったこと、●0時になるとメトロがないこと、●まさかバルサがこんなに主力を出すとは期待してなかったこと、●近所すぎてバルサ戦は見慣れていること、などが挙げられそうだ。いずれにせよ、スタジアムよりテレビ観戦で十分とするファンが大多数だったわけだ。
ボールはいつものようにバルサが支配した。チャビ、イニエスタ、セスクがいるのだから、それは特に問題ではない。しかしモチベーションで勝るロスピタレのエリア内に侵入するまでには、なかなか至らない。8分にはビジャが最初の決定機を掴むも、シュートはGKモラゴンがコーナーとして得点ならず。ならば後方からの攻撃で、と18分にケイタ、26分にセスクが惜しいシュートを放つのだが、これらもまたモラゴンによって阻止されている。
よーーーやくネットを揺らせたのは、42分のことだった。エリア外でボールを受けたイニエスタが、あのスタンフォード・ブリッジの決勝弾を彷彿とさせる豪快ミドルシュートをゴール左端に一発。当たっていたモラゴンもこのシュートにはどうすることもできなかった。そしてその1分後には、プジョルのヘッドがポストを直撃している。
なんだかんだで、バルサは後半にもう1点は追加して、ブエルタへ向けた良いアドバンテージを得るだろうとクレは楽観視していた。しかしながら、実際のところはそうも上手くいかない。バルサは例によってボールを回しはするものの、急所をえぐることが出来ない。ロスピタレはじっとバルサの攻撃をしのぎつつ、カウンターの好機をうかがっていた。
後半で最も惜しかったのは、66分の場面だ。エリア内へと切れ込んだケイタから、送り込まれた最高級の横パス。しかしいつもであれば悠々とこれを流し込んでいるであろうセスクが、どうしたことかシュートをポスト横へと外してしまう。このあたりから、「今日はこれで打ち止めか」という空気がいよいよ現実味を増していくことになる。
グアルディオラはチームに活気を与えるべく、62分にはイニエスタに代えブスケツを、75分にはセスクに代えてラフィーニャをピッチへと送り込んでいく。だが期待されたほどの効果をこの交代は生み出すことは出来ない。76分には精力的に動くビジャが悪くないフリーキックを放つも、またもモラゴンによって弾かれている。
0-1というスコアは安心には程遠い。 いつどんな一撃で、ゴールを奪われるか分かったものではない。そんなグアルディオラとバルセロニスタの不安が、あわや現実になりかけたのが80分だ。ロスピタレの高速カウンターから左サイドを突破され、最後は正面のアダイが鋭いシュート。だがここでチームを救ったのは、ベスト第2ポルテーロのピントによるパラドンだ。このあたり、さすがの一言である。
その後、87分にはビジャのシュート(デフェンサに当たってコース変わる)をまたまたモラゴンが横っ飛びセーブ。結局バルサはイニエスタのゴラッソによる1点のみで試合を終えている。
この結果にはペップも残念がっており、試合終了後には珍しくも「もっと点差を付けておきたかった」とコメント。ブエルタが日本からの帰国直後にあるだけに、チームコンディションが読めないのがその嘆きの理由だ。逆にロスピタレは大番狂わせへの可能性を残す。カンプノウで一発やったろうと頑張ってきたとして、不思議はない。
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