ミラノでの勝利はその代償も大きかったか・・・という印象。心身両面で動きが鈍く、このバルサ戦に準備万端のヘタフェにきっちりやられた。
いつものようにマドリーが市内ダービーに勝利した直後の、勝点3が必須だった試合。ペップチームはもちろん気合を入れてピッチに出て行っただろうが、事は上手くは運ばなかった。クレが今回目撃したのは、チャンス自体も作り出すことは出来ない、バルサらしからぬバルサだった。
イニエスタを休ませ、プジョルとセスク(こちらも大事をとったらしい)もスタンド観戦になったとはいえ、メンバー自体は結果の期待できる面子だった。実際3分にはビジャがチャンスを手にもしており、なんだかんだで最終的には勝ってくれるだろうと思わせる出足だった。
しかしこの試合では偽9番ではなく、右方面からプレーを開始することの多かったメッシの動きがどうにも重い。中央を任されたビジャもまた最近の不調を引きずったままで、得点の匂いを感じさせなかった。ならばと頑張っていたのはアレクシスだったが、GKモヤのクリアボールを受けての28分のミドルシュートはポスト左に逸れ、36分のアルベスとのコンビネーションからの決定的シュートもモヤがジャンプ一番パラドン。数少ない好機を活かすことは出来なかった。
一方、ヘタフェは試合開始早々にボールを放棄。自陣に引いて守りを固め、カウンターからバルサの隙を窺っていた。グアルディオラチームにとって厄介だったのはヘタフェがただ引くだけではなく、必要な箇所ではきっちりプレスをかけることでスペースと時間を与えなかったことだ。バルサのパスはことごとくマドリーチームの網にかかり、それを崩すだけのきらめきも閃きもこの夜のバルセロナには見られなかった。サンシーロでの熱戦から、わずか中2日での再遠征。言い訳は無意味とはいえ、やはりしんどいカレンダーだ。
前半は攻撃が中央に偏っていた反省をふまえ、後半のペップチームはメッシを偽9番に配置し、両サイドにビジャとアレクシスを開かせることで局面の打開を図った。しかしそれが功を奏する以前に、徐々にエネルギー残量が減少。努力は感じられるのだが、チャンスらしいチャンスはまったく訪れなくなっていた。
そして勢力を減退させるバルサに、一撃を食らわせたのがヘタフェだ。前半は20分のフリーキック、40分のカウンターによるディエゴ・カストロしかバルサゴールに迫らなかったルイス・ガルシアチームだが、66分、サラビアの蹴ったコーナーキックに、上手くマークを外していたバレラが頭で合わせて先制ゴールをゲット。試合を見守る全てのクレに、不吉な予感が漂うことになる。
スコアをひっくり返すべく、その直後の71分、グアルディオラはマクスウェルとチアゴに代えてクエンカとペドロをピッチへと送り込む。メッセージは明白。守備をさらに固めてきたヘタフェに対し、ピッチをもっと開かせるのが目的だ。システムは3バックへと変わり、パワープレーとなった最後はピケがデランテロ・セントロとなっていた。
"篭城"するヘタフェを、バルセロナは攻め立てた。しかしライン裏を取ったペドロの2度のシュートはいずれも決定的とはならず、さらに試合終了直前には2つの不運がチームを見舞う。まず1つめは90分にメッシがネットを揺らすのだが、アシストをしたケイタがオフサイドだったとしてテイシェイラ・ビティエネス主審はこれを無効に(非常に微妙なジャッジ)。そしてまさに笛が鳴ろうかという最後のプレーでは、レオのシュートが左ポストに弾かれている。いつもなら十中八九決まっていたであろうシュートだったのだが・・・・・・・・。
ということで、キレも運もなかったバルサが今シーズン初黒星。いろいろな意味で手痛い敗北となった。これによって首位マドリーとのポイント差は6へと拡大。初冬の冷たい風が、クレに向かって吹き付けている。
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