ヘタフェ戦でのイヤ〜な後味を、さっぱり流し去ってくれる快勝。新鮮な空気をもたらしたのは、アレクシス・サンチェスだった。
必勝を期して臨んだこのラーヨ戦、気合の先発メンバーを組んだバルサではあったが、その出足は鈍かった。ペップが「勇敢なチーム」と警告したいたとおりに、サンバル監督率いるラーヨはバルサを相手に勇敢なるプレーで挑んできた。しっかりとした守備をしながらも、引きこもるわけではなく前線からプレス。キックオフと同時に彼らはバルサ陣内へと押し寄せ、1分にはハビ・フエゴが、3分にはラスがバルデスを脅かしている。
対するバルサはパスにまったくキレがなく、プレーもぶつ切れ。2分にはイニエスタのミドルシュートでご挨拶としているが、その後はとんとチャンスを作り出せてはいない。状況が変化したのはシステムを4バックから3バックへと変更し、アルベスをエストレーモにすることで、アレクシスを左へと移したあたりからだった。
先制点は28分。チャビからのボールを受けたアレクシスはエリアへと侵入すると、キュッと切り返すことでラーヨのマークを外す。そしてコースがあると見るや、ゴール右端へと巻き込むような右足シュートを一発。ボールはポストに当たりながら、ネットを揺らすのだった。彼の持つ高いテクニックが証明されたゴラッソだ。
この先制点はバルサを変えた。ようやく目を覚ましたかのように、あるべきプレーを見せるようになったのだ。そして程なくして追加点が生まれる。決めたのはまたもアレクシス。40分、メッシの縦パスを受けたチャビがエリア内へと入ったかと思うと、マエストロはなんとヒールで左へ走りこむ9番へとパス。ミスが上手くいったように見えて実際は明らかに狙っており、完璧なお膳立てを受けたアレクシスが、きっちりこれを胸でコントロールすると、右足でゴールへと流し込んでいる。
変態的な2ゴールが決まったことで、バルサはどっしり落ち着き、逆にラーヨ(33分に決定機を逃す)は大きな精神的ダメージを受けていた。そこでトドメを刺したのがビジャだった。42分、最終ラインからピケがするするとドリブルでボールを持ち上がると、最終ライン裏のスペースへ上手く入り込んだアルベスへとパス。この時点でダニはGKコベニョと1対1になっており、あとは左横を併走しボールを譲られたグアッヘが、フリーで押し込むだけだった。
前半で3点差をつけたことで、勝負の行方は決していた。となれば、平日の夜にスタジアムを訪れたファンが見たいのはメッシのゴールだ。そしてクラックはこのカンプノウの期待に応える。後半開始の笛が吹かれたわずか4分後、アルベスのパスを受けるとレオは右サイドをドリブル突破。スピードに乗って一気にハビ・フエゴをぶち抜くと、そのままエリア内へと侵入し、左足シュートをねじ込んでくれている。
4-0となってからのゲームは、おまけみたいなものだった。グアルディオラは55分にチャビを、56分にはイニエスタをお役御免とし、チアゴとセスクをピッチへ送り込む。そして70分には今夜のヒーローであるアレクシスがアドリアーノと交代。スタジアムはすばらしい活躍を見せた9番に対し、盛大なる拍手を送った。
1年前にちょうどモウマドリーを粉砕したこのクラブ創設記念日に、再びマニータと出来れば素敵ではあったのだが、いつもそう5-0になっちゃうものでもない。69分にはビジャが、77分にはメッシがそれぞれ惜しい場面を作ったものの、ゴールは訪れなかった。
今後数日、メディア(特にマドリ系)が騒ぐとするなら、84分にピケが受けたタルヘタだ。あからさまな遅延行為によって累積5枚目となる黄紙をもらった若大将だが、これがさすがにわざとらしすぎて。クラシコに出場するためにカードを清算しただろうと指摘されても致し方ない行為であり、ペレス・ラサ主審もカードをポケットから出す際、苦笑いをしている。追加の処分があるかどうかは、大会委員会の判断次第だ。
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