クラシコへの弾みとなるカンプノウマニータ。台風の目といわれるレバンテも、バルサ台風の前にはどうすることもできなかった。ここまで13戦で7失点のチームが、この試合だけで5失点という破壊力。
ペップ・グアルディオラは前日の宣言どおり、クラシコを出場停止になるリスクなどものともせず、セルヒオ・ブスケツを先発起用してきた。このあたりの大胆さはいつも畏れ入る。
試合は序盤からバルサのペースで進んだ。幸運だったのは、いきなりの3分に先制点を奪えたことだ。メッシからの縦パスをイニエスタがヒールでトリッキーにコースを変えると、ボールはすっぽりと最前線のセスクの元へ。あとは1タッチで前を向くと、ゴール左端へとコントロールされたシュートを突き刺すだけだった。
こうなるとバルサは強い。あとはカンプノウの声援に後押しされながら(寒空の下に8万人!)、ゴールショーへと突き進んでいくだけだ。次なるビッグチャンスは17分。ピッチ中央付近からメッシが加速しながらドリブルで突進、最後のシュートは惜しくもデフェンサに当たって枠を外れるのだが、スタジアムはクラックらしいプレーに歓声を上げた。
その後はしばし、あまり縦へとボールの入らない時間帯もあるのだが、レバンテの唯一の抵抗手段となったファールから、追加点が生まれる。32分、チャビの蹴ったフリーキックにセスクがジャンプ一番頭で合わせると、ボールは美しくゴール右角へ。木曜の散髪効果があった、としておこう。
2-0となったことで勝敗はほぼ決着した。だが33分、クレを心配させる出来事が起こる。コネとの接触でプジョルが頭を打ち、具合が悪くなったとのことで交代を求めたのだ。用心のためカピタンはアルベスと交代している。
3点目は36分のことだ。メッシが得意のドリブルでエリア前まで持ち込み、4人のマークを引きつけて左のイニエスタへとパス。ドンはこれをダイレクトで左にぽっかりと空いたスペースへとはたき、ここへドフリーで走りこんだクエンカが、右足インサイドでの鋭いシュートをゴール右端へと流し込んでいる。攻撃マシーンが連動した、美しいゴールだった。
レバンテのチャンスは1度。前半終了前にコネがバルデスとの1対1の場面を手にしているが、守護神はきっちりとパラドンでゴールを死守。こういった彼の活躍があってこそ、カンプノウ開幕9連続無失点の偉業は成し遂げられるのだ。
ハーフタイム中、グアルディオラはブスケツをお役御免とし、ケイタをピッチへと送り込んだ。チームのゲームへの姿勢は、後半も変化はなかった。余裕のリードがあろうとも、気を緩めずに攻撃あるのみ。立ち上がりにはデル・オルノのヘディングがバルサゴールを襲ってはいるのだが(53分)、これもまた我らがビクトルがきっちり弾き出してくれている。
レバンテの攻撃に対し、ペップチームはさらなるゴールでお返しをして見せた。55分、デフェンサのチェックをひらりとかわしたアルベスからエリア内へと縦パスが送り込まれ、ライン裏へと抜け出したメッシが冷静に左足で流し込んで4-0。メッシはさらにその6分後、アレクシスの得点をアシストする。9番による最後の技ありバセリーナは見事だったのだが、このゴールがアビダルが懸命に自陣深くでキープし、それによって生まれたカウンターによるものだというのがステキすぎる。得点以外にも、アレクシスのプレーは非常に良好。チームにかなりフィットしてきている。
これが将棋のゲームであるならば、レバンテは投了していたかもしれない。しかしフットボルは90分をプレーするもので、彼らはさらに30分、バルサの攻撃にさらされなければならなかった。
ただ彼らにとっては幸運なことに、これ以上の追加点は訪れてはいない。いや、実際には88分、イニエスタのシュートがネットを揺らしてはいるのだが、ホセ・アントニ・テイシェイラ・ビティエネス審判(メスタージャでイグアインのハンドを見逃したお人)のミスジャッジによって、これは無効とされたのだ。ドンはファンフランのクリアしそこないをねじ込んだにもかかわらず、審判たちはこれをオフサイドと判定。いつものように親指をくわえようとしていたイニエスタは、その指を寸前で止めることになっている。
ということで、クラシコ前に6ポイントをきっちり確保するというミッションは無事完了。活躍すべき人たちが期待に答え(グアッヘはベンチ観戦でしたが・・・)、上々のフォームとモラルにてベルナベウへと乗り込んで行くことになる。
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