いつもは様子見発進的な新年初ゲームだが、今年はなかなかに良い内容と結果だった。常套句ではあるが、一足早いクレへのレジェス・マゴスのプレゼント。
ペップ・グアルディオラのチームに、クリスマス休みボケなどはありえない。お餅(あちらではトゥロンか)の食べすぎもありえない。2011年の疲れを休暇で癒し、しっかりと良いコンディションで戦いへと戻ってきた戦士たち。タイトルに埋もれながら、なかなか出来ることではない。
2012年もまた、カンプノウは無敵要塞であるようだ。本年最初の犠牲者となったのは、オサスナだった。9月のリーガでの惨敗(8-0)を教訓&モチベーションとし、雪辱を期したであろう彼らだったが、終わってみれば、またもバルサが4-0で完勝。これで今季のカサでの通算成績は、驚異の63-4だ。
ゲームの序盤は、オサスナの気迫が光っていた。これでどうだとばかりに、バルサのエリア近くにまでプレスにやってくるナバーロチームたち。さすがにこの時間帯は、ペップチームとて思うようにボールを展開させることは出来なかった。だがこのチームには、そこを上手く凌ぎながら、じわじわとペースを自らに引き寄せる力を持っている。そして隙あらば一気に攻勢へ。18分での2-0は、その成果だ。
最初の2得点はいずれも、チャビとセスクのコネクションによるものだった。先制点は13分。ピッチ左のチアゴから逆サイドのアルベスへとボールが渡ると、ダニは中央へ一度切れ込み、チャビへとパス。そして守備陣の注意を引き付けた6番から左のフリーゾーンへとボールが送り込まれ、ノーマークとなったセスクがきっちりシュートを逆ポスト横へとねじ込んでいる。
その5分後にもチャビの才能がビカビカと光った。ピケが高い位置でボールをカットすると、横のプジョルが前方のチャビへパス。"世界ベストプレーメイカー"は右のアルベスを使うと見せかけ、ド正面のセスクへボールを送り、ラインを抜け出した4番がおしゃれなバセリーナを放り込むのである。そこらのデランテロ顔負けの妙技だった。
あれよあれよと2-0とされたことで、オサスナはショックを受けたようだった。序盤の勢いは消え、アスルグラナの波をどうにか食い止めるのが精一杯といったところ。GKリエスゴの活躍がなければ、スコアはさらに拡大していたことだろう。ダニからのロングパスにプジョル(!)が抜け出し、リエスゴと1対1になるという場面なんてのもあり、決まっていれば最高だったのだが。
前半のボール支配率は、バルサが80%と圧倒していた。内容も圧倒的で、オサスナはプジョル、ピケ、マスチェラーノ(左ラテラル!)からなる3バックをまったく脅かせてはいない。そして後半もまた、同様のパノラマでゲームは進んでいった。
なんとなく落ち着いていたカンプノウを沸かせたのは、後半すぐにアップを始めたレオ・メッシだった。風邪による欠場が伝えられていたレオだったが、試合前には症状(腹痛)も回復したのでベンチ入り。ハーフタイム前に4-0にでもなっていればペップは彼を温存しただろうが、2-0だったことで、勝負を決めるべくクラックを投入したのだった。
ピッチに立った10番は、本当に体調不良だろうかという働きを見せた。ボールを蹴れば、多少のしんどさなど消し飛んでしまうのだろう。58分にペドロと代わってグラウンドに入ると、66分にはアルベスとのワンツーからエリア内へと切れ込み、左ポストをかすめるバセリーナ。そして74分にはファンの期待に応え、きっちりとネットを揺らしてしまうのだから恐ろしい。エリア内での分厚い攻撃の末、セスクが右から上げたクロスに頭でズドンと一発。ペップもガッツポーズの1点だった。メッシはこれで、2009年のペドロに次ぐ6大会ゴールを達成。
変態クラックの変態ぶりは、それだけでは終わらない。試合も終了間際の93分、メッシはケーキにイチゴまで乗せてしまうのだ。オサスナの不十分なクリアボールをチャビが拾い、エリア際のレオへとパス。あとは得意の形でゆるゆると中央へと持ち込み、コースが開いた瞬間に、左ポスト横へとシュートをねじ込むだけだった。
ということで、セスクとメッシの各2ゴールにより、1/8ファイナルのイダはバルサが4-0で快勝。選手たちに気を緩める素振りはなく、パンプローナでのブエルタも確実にこなしてくれることだろう。次ラウンドへと大きく前進したバルサ。クラシコは少々食傷気味なので、あとはベルナベウで2点を奪ったマラガ(3-2)に、なんとか頑張ってほしいところだ。
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