久々に見る、カサでのスリリングなゲーム。勇敢なベティスに苦戦しながらも、最後は気持ちで勝ちきった。アレクシスが3ゴールに絡む大活躍。
昨年のコパでの対戦で、「手強し」との印象を残していたペペ・メル率いるベティス。今回のリーガにおいても彼らは、存分にその能力を証明してみせた。普段は静かなカンプノウの観客が大歓声をもって自チームを応援したことからも、ベティコの好ゲームぶりは窺えよう。
プジョルがムンディアリートの優勝杯を、メッシがバロンデオロのトロフィーをファンへと披露し、幸せムードでこのベティス戦は始まった。しかしクレのそんな幸福感は、あっという間に霧散することになる。動きの鈍い青えんじチームに対し、緑白チームがガブリと噛み付いてくるのである。最近では定番となってきた、前線からの激しいチェックによって圧力をかけるベティス。毎年フォームの落ちるこの時期に、そうされるとしんどい。
序盤の2つのピンチを凌げたのは、バルデスの2つのパラドンがあったからだ。まず1つめは7分、ホルヘ・モリーナとの1対1を壁となって防いだ場面。そしてそれによるコーナーキックからドラードのヘッドも、パンチングによってセーブしている。
だがフットボルとは分からないもの。バルサはそこから立て続けのゴールによって、一気にスコアを2-0としてしまうのである。この両方に大きく関与したのが、左エストレーモのアレクシス・サンチェスだ。まずは9分、チャビからのボールを受けたアレクシスがセスクへのスルーパスを通し、4番のシュートが右ポストに弾かれたところを、詰めていたチャビが楽々と押し込んで1-0。
そして11分、今度はイニエスタからのパスを受けたアレクシスがライン裏へと鋭いクロスボールを送り込み、ファーサイドのメッシがこれをねじ込んでいる。
2-0となったことで、ホッとしたクレ。正直、これでゲームの大勢は決まったとも思えた。しかしこのベティスはなかなかに侮れない。カンプノウで2点されたからといって、何故諦める必要がある?とばかりにプレッシャーをかけ続けるアンダルシアチーム。バルサが3バックでプレーする上で重要なのは、中盤でのボールポゼッションとプレッシングだ。これが不十分だった場合、後方のスペースは相手チームの恰好の標的となる。前半のバルサは、それらの出来が悪かった。31分のゴールは、バルサのお株を奪うかのような、長いパス展開から生まれたもの。最後は目の前のルベン・カストロに難なくボールを押し込まれる、およそバルサらしからぬ失点だった。
後半もベティスは積極的な手を打ってくる。前半43分にカードを受けた中盤のイリネイをハーフタイムでベンチに下げ、デランテロのサンタ・クルスを送り込んできたのだ。そしてこのペペ・メル監督の采配は、見事に的中することになる。後半開始すぐの50分、まだフワッとしていたバルサに対してカウンターを仕掛けると、エリア正面でフリーのサンタ・クルスが豪快かつ狙い澄ました右足シュートを、ゴール右隅に一発。スコアを2-2としている。
前日の試合でマドリーが勝利していたため、バルサには絶対に勝点3が必要だった。緊張感漂うカンプノウ。しかし幾多の苦境を乗り越えてきたペップチームにとって、この程度の逆風で根をあげることはない。結果が伴うかどうかは別として、決して下を向かないのがこのチームの長所。この試合でも選手たちは再び逆襲に転じ、その努力はきっちりと報われることになるのだ。
ある意味でカンプノウに気合を注入したのは、69分のビジャヌエバ主審のジャッジだった。モンテロによってエリア内で倒されたイニエスタに対し、主審は逆に8番のダイブと判定。ペナルティを認めなかっただけでなく、ドンを黄紙で警告したのだ。先週のデルビーやら、前夜のマドリー戦での出来事(マジョルカのゴールが無効となった)やら、審判には腹立たしいことが続いたバルセロニスタ。これ以降、スタジアムの空気はホットになっている。
そして71分、メッシへのタックルによってマリオ(かつての"スーパーマリオ")が2枚目のカードで退場となる。試合後のメル監督曰く、この退場はベティスに大きなショックを与えたようだ。ここで追い討ちをかけたのは、73分のアレクシスの勝ち越しゴールだ。センターライン上のチャビからの絶妙なふんわりスルーパスを柔らかいトラップで足元に納めると、デフェンサのマークを外し、右ポスト横へとグラウンダーのミドルシュートを突き刺したアレクシス!このところの彼、好い仕事をしています。
再度リードを手にしたバルサはその後も、気を緩めることなくベティスゴールを目指し、とどめとなる4点目を狙った。そして84分、バルセロニスタを安堵させるゴールが訪れる。アビダルのエリア内でのパスをドラードが腕に当ててカットしたところを、ビジャヌエバ審判はハンドの判定。メッシがこれをきっちりと決めてスコアを4-2とし、勝利を確実にしたのだった。
苦労の末に、カンプノウで勝点3を確保。どうやらしばらくは苦しいゲームが続きそうだが、フォームが再上昇する3月頃まで、なんとか凌いでほしいところだ。さて水曜日のコパクラシコも、良い結果を期待したい。
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