いつになく苦しんだクラシコ。最後は綱渡りながらも、準決勝進出を決めた。
ベルナベウでのイダで手負いとなったモウマドリーが、バルサ相手にベストなプレーを披露した試合。ここ数年で一番、バルセロニスタが最もやられるかも・・・と肝を冷やしたクラシコだった。
予想はしていたことだが、モウリーニョはこのカンプノウ戦に、この1週間の騒動の中心だったぺぺを先発で起用してきた。ポジションはセントラル。エジルとカカーを中盤に配置する、攻撃的な選手起用だった。逆転勝利のための、開き直ったプランといえる。
バルサはこの試合でも、立ち上がりが不安定だった。ヨロヨロだったといってもいい。キックオフとなるやいなや(15秒)、アルベスからのパスをピケがスルーするというとんでもない判断ミスが発生。これを奪ったイグアインに、あっさり先制されなかったのは幸運だった。その後もバルサの芳しくないプレーは続く。
序盤はもうピンチの連続だ。3分にはエリア側方からのフリーキックをあわやイグアインに入れられかけるわ(ピントがセーブ)、7分と11分にはクリスティアノに際どいシュートを許すわ、25分にはエジルにあわやゴラッソとクロスバー直撃ロングシュートを放たれるわ、27分にはピントがエリア内で相手にボールを渡すわ(イグアインのシュートはどうにかブロック)・・・いつゴールを奪われても不思議ではない、そんな展開だった。マドリーの圧力に、窒息寸前といった様子のペップチーム。
あっぷっぷのバルサに、さらなる試練が訪れる。イニエスタの負傷だ。攻撃の核であるドンは29分、筋肉を傷めてペドロと交代している。
だがバルサは30分を過ぎる頃から、徐々にリズムを取り戻した。本来の調子とは言えないものの、バルサ選手間を回っていくボール。そこで大きな仕事をしたのがメッシと、イニエスタに代わって入ったペドロだから物事は分からない。43分、レオがドリブルでグラウンド中央から持ち上がり、デフェンサたちの注意を引き付けておいて左でフリーのペドロへと完璧パスを一発。シュートの巧いPR17はこのチャンスを逃さず、きっちりゴール左隅にボールを押し込んでいる。
押し込まれていたのに、1点先取!歓喜するカンプノウに、更なる幸せが舞い降りてくる。前半ロスタイム、エリア左横でラスがメッシにラフなタックル(2枚目のカードが妥当だった)。これによって得たフリーキックの跳ね返りをアルベスがエリア際からダイレクトで叩き、このシュートがなんとゴール左上角にズバッと突き刺さるのだ!ミサイルゴラッソ!ダニはこの得点を、アビダルとのダンスで祝っている(48分)。
2-0となり、勝敗は決したように見えた。これでマドリーが勝ち上がるには3点が必要。そんなシナリオはあり得ないと。しかし現実はそうではなかった。まさにスポーツでは、何が起こるかは分からないのだ。
後半が始まってしばらくは、バルセロニスタは安心してゲームを見ていた。53分にはフリーキックからセルヒオ・ラモスにヘッドを決められたが、その直前にラモスがアルベスを引き倒していたとして主審は無効の判定。クレはああ審判さんありがとうと一息つき、その後もボールをコントロールするペップチームに、余裕で声援を送っている。この時点では誰も、責め苦はが待っていようなどとは想像もしていない。
雲行きが一気に怪しくなったのは、68分のことだった。エジルが1本の縦パスを送り込み、ラインを抜け出したクリスティアノが難なくピントとの1対1に勝利。ポルテーロとしては厳しい場面とはいえ、もう少し粘りは見せてほしかったところだ。あっさり先に倒れてしまっては、シュートは防げない。
1点を返したことで、マドリーには希望が芽生えた。そしてバルサは浮き足立った。71分、ピケがクリアしようとしたボールをカジェホンが頭でカットし、ライン裏へと飛んでいったボールに向かってベンゼマが突進。詰め寄るプジョルをソンブレロでかわし、技ありのシュートをゴール左隅へと叩き込んでいる(2-2)。
まさかの同点とされ、試合は残り20分。ここからはバルセロニスタにとって、実にしんどい時間だった。78分にはエリア内に侵入したアレクシスが、ぺぺのタックルによって地面に叩きつけられ、左肩を負傷し交代。泣きっ面に蜂とはこのことだ。ちなみにこの日、ぺぺに1枚目のカードが示されたのは91分。もちろん、その時間まで彼がクリーンだったというわけではない。一方、89分のラモスへの2枚目のカードは少々厳しかった。帳尻合わせのカードというところか。
早く試合よ終われ・・・・と祈りながらバルサの試合を見たのはいつ以来だろう。ペップチームはその後、なんとかマドリーの攻撃を耐え抜き、2-2のままゲームを終えている。苦しい試合だった。
とはいえ、180分のトータルでいけば、ベルナベウでマドリーを明らかに上回っていたバルサの文句ない勝ち抜け。カサの試合にシュート数で負けたのは悔しいが、勝負には勝てたのでよしとしておこう。かなり出来の良いマドリーを、バルサは出来が悪くともコパから敗退させたのだから。さあ、次は準決勝。タフな戦いは続いていく。
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