相性の悪いエル・マドリガルにへろへろのコンディションで乗り込み、いやな予感が的中したという試合。
必勝あるのみ!の意気込みと共に、電車とバスでカステジョンへと到着したバルサ一行。前日の練習でペドロが内転筋を負傷し、アレクシスが急きょ召集されるというハプニング込みでの遠征出発だった。それでも勝点3をゲットできれば満足なのだが、そう思い通りにいかないのも勝負の世界。直前の試合で最下位チームをふんづけたマドリーに続くことはできず、勝点差は7へと拡大している。
毎年フォームを落とすこの時期での、マドリーとの激闘はやはり効いたようだ。コパクラシコから、わずかに中2日。しかも怪我人が(特にデランテロに)続出。主力選手たちは出ずっぱりとなり、いくら「慣れている」と当人たちが強調しようと、疲れは確実にチームパフォーマンスに影響を及ぼしている。
前線の駒不足とイニエスタ不在を補うべく、グアルディオラはマスチェラーノとブスケツを中盤で併用し、両エストレーモにアルベスとアドリアーノを起用する策を採用した。ゲーム序盤、選手たちはめまぐるしくポジションを変更。まだ元気なうちに勝負を決める作戦に出たと思われる。だが3分の決定機をアルベスが逃し(オフサイドと迷った模様)、16分にはメッシもGKディエゴ・ロペスとの1対1の好機を仕留められず。普段であれば十中八九決まっているであろうバセリーナを、レオはポスト横へと外している。
動きにキレがない上に、ビジャレアルの連発するファールによってバルサのプレーはぶつぶつと切られた。好調時であれば、それでも忍耐強くチャンスを作りつづけてゴールを陥落させるところだが、残念ながら今回のチームにはフレッシュさもアイディアも流れるプレーもなし。そうして30分前後は、ビジャレアルの時間帯となっていくのだった。
最初のピンチは27分のフリーキックだ。バルデスとピケが交錯し、跳ねたボールがゴールに入りかけたところをマスチェラーノが頭でクリア。35分にもマルコス・セナの強烈なミドルシュートを、バルデスがジャンプ一番コーナーへと逃している。そのコーナーではゴンサロがヘディングでネットを揺らすのだが、これは明らかにオフサイド。審判がきっちり無効としている。
前半の出来を見たかぎりでは、後半の変身は期待できなかったバルサ。残念ながら、この試合ではその予想が外れることはなかった。つまりは前半に引き続き、ペップチームのプレーに精彩はなかったのだ。一方でビジャレアルは後半、1ポイント狙いで徹底している。
ゲームは60分が経過し、グアルディオラはここで最初のカードを切る。ピケをベンチに下げ、全快とはいえないアレクシスを投入したのだ。ダメージを抱える選手を起用せざるを得ない、苦しい状況のバルセロナ。
だがバルサのプレーに変化が見えてきたのは、76分のテージョ投入からだ。ペップの求めるとおり、怖れることなく大胆にプレーなプレーを披露した20歳のエストレーモは、ピッチに入るやいなやビッグチャンスを演出。スピードある侵入によって左サイドを突破し、セスクへと絶妙のお膳立てをしてみせた。だがこの日は幸運サンが、どうにもバルサをお嫌いな様子。ディエゴ・ロペスの手によってコースを変えられたファブレガスのシュートは、クロスバーに弾き返されている(78分)。
負けるわけにはいかない・・・・とバルサは最後までゴールを狙い続けた。87分にはメッシが必殺ドリブルによってサブマリンの守備ラインを突破し、ディエゴ・ロペスと1対1になるのだが、このシュートもGKが気合のブロック。こぼれ球を受けてのセスクのシュートも、大きく枠を逸れてしまった。
ということでゲームは0-0で終了。バルサのリーガ4連覇は、かなり厳しいものとなった。しかしリーガはこれで後半戦が始まったばかり。まだ18試合が残されており、何が起こっても不思議ではないのだ。諦めないかぎり、可能性はある。「このチームは決して勝負を捨てない」。試合後の選手たちは、口々にそう強調している。
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