運が良かったのか悪かったのか、いろいろあったけれども結果としては悪くなかったし次につながりそうだね、という試合。
メスタージャでのコパ準決勝は、ペップチームにとってダイナミズムの変換(イメージの改善)のかかった試合だった。カサ&フエラの第1戦なので必勝ではなかったが、しんどい2月を切り抜けていくうえで、弾みとしたいゲーム。その目標はほぼ達成できたのではないだろうか。
グアルディオラはこの試合の先発からチャビを外している。最近のパフォーマンスからして、やはり疲れが溜まっているようだ。同じくもう一つ元気のないメッシは、普通に先発だった。特徴的だったのは、リーガでいいようにやられた"チェ"の左サイドを封じるべく、右ラテラルにプジョルが起用されている点だ。
ゲームはハイペースで始まった。バルサはバレンシア陣内でプレーをしていたものの、エメリチームのプレスとファールによって思うようにボールをつなげない。一方、マチューとジョルディ・アルバによる左からの攻撃、そしてピアッティの存在はバルサ守備陣にとっての脅威だった。
この試合で最も論争の種となるプレーは18分に生まれている。カウンターからの一発のスルーパス(byピアッティ)によってソルダードにピケとマスチェラーノの背後を取られ、それを防ごうとしたコロラド(とネームを入れたピント)がエリア外でハンド!わずかに外だったことで審判は正当なプレーと判断したが、赤紙をちょうだいしても文句の言えないプレーだった。危なっかしいコロラド。
時間の経過と共にバルサも徐々にチャンスを作れるようになっていくのだが(22分セスクのパスを受けたアレクシスのつま先シュートは惜しかった)、先により決定的な仕事をしたのはバレンシアだ。26分、高い位置でのカウンターからマチューが左サイドを突破し、エリア内へとセンタリング。フリーとなったジョナスがこれをダイレクトで押し込んでいる。プジョルの懸命のスライディングも、わずかに及ばず。
だがバルサも負けてはいない。33分、クエンカがエリア前でメッシのごとく粘り、アレクシスへと決定的スルーパス。9番のシュートは惜しくもGKジエゴ・アルベスの守りによってコーナーとされるのだが、それによって得たコーナーキック(蹴ったのはセスク)を、ファーポスト前のプジョルが気迫のヘッドを叩き込むのだ。ここぞという時に頼れる我らのカピタン。
ピリッとしない場面は幾つかありながらも、そのまま1-1で迎えた後半。ゲームはほぼバルサペースで進んでいった。バレンシアは攻撃的アプローチを続けてはいたのだが、前半に飛ばしたことで、ハーフタイム後はペップチームの脅威とはなっていない。
スペースを得られるようになったバルサは、後半早々にチャンスを作り出している。48分にはエリア左でメッシからのパスを受けたアレクシスがゴールネットを揺らすも、これはオフサイドで無効の判定となった。
バルサの攻勢は続いた。52分にはドリブル突破からメッシのクロスバーをかすめるシュート。そして56分、クエンカからのパスを受けたチアゴがエリア内でミゲルに倒され、ゴンサレス主審はペナルティを宣告する。バルサにとっては逆転するまたとないチャンス到来だ。しかしキッカーとなったメッシの右方向へのシュートは、ジエゴ・アルベスが読んでいました!とがっちりブロック。3年連続バロンドール男は天を仰ぎ、メスタージャはやんやの大歓声に包まれた。
勝利を掴むため、バルサはゴールチャンスを次々と作り出していく。ただ、64分のアビダルの強烈シュートはまたもジエゴ・アルベスが弾き、65分のコーナーキックからのピケのヘッド弾(メッシが頭で折り返した)はクロスバー上を通過。73分のメッシからのスルーパスを受けたダニ・アルベス(アレクシスと交代出場)の決定的シュートも、左ポストに弾かれている。あと少しの幸運というか仕上げの正確性が、このゲームのバルサには不足していた。
ということで、メスタージャでのコパ準決勝イダは1-1のエンパテ。出来ればあと1点は取っておきたいところだったが、試合後にペップが「下手に勝つよりも、ブエルタで勝ちにいくしかない同点はチームにむしろ好都合」と語っているように、そうポジティブに捉えるのが好いだろう。パスミスが多く本調子とはいえないものの、次へとつながる引き分け。感触はよかった。あとはカンプノウできっちりミッションをやり遂げ、ファイナルへの切符を手に入れよう。
しかしプジーは魂ヘッドといいダブルルーレットといいすごかった。SPORT曰く、"プジョラッソ"。
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