早々に先制し、チャンスを連発しながらも、決められずに苦しむパターン。フォームは上がってきている印象。
リーガでは勝利以外に価値はなく、さらには前後をバレンシアとのコパ準決勝に挟まれているという難しい状況の中で、ペップ・グアルディオラが採用したのは思い切ったローテーションだった。メッシは外さなかったものの、中盤より前はジョナタン、チアゴ、クエンカ、テージョと非常にフレッシュ。バルサカンテラのすごさを改めて証明している。
ゲームは開始10秒にしてイフランがシュートを放ち、マスチェラーノがグラウンドに伏せるという、心臓に悪い場面から始まっている(幸い、問題なし)。序盤は両チームに得点のチャンスはあった。バルサは4分、セスクがつっかけた後のこぼれ球をメッシが拾い、ブラボとの1対1からシュートを放つも、GKがセーブ。対するラ・レアルは5分、グリーズマンの1本のパスにイフランが抜け出すと、今度はバルデスが1対1のシュートを跳ね返している。
両守護神がパラドンを見せ合った後、現れたのは左サイドの切り裂き男となっていたテージョだ。9分、メッシからエリア内へとスルーパスが送り込まれると、イナズマのごときスピードで切れ込んだ37番。カットのために飛び出していたブラボをものともせず、一足早く柔らかいタッチのシュートをダイレクトに無人のゴールへと流し込んでしまうのだから素晴らしい。リーガ初先発にして初ゴール。"持っている"感がぷんぷんと漂う20歳のエストレーモだ。
リードを手にしたバルサは、本調子とはいえないまでも、危なげなく試合を支配していく。チャンスもそこそこに作り出しており、16分にはメッシがエリア内密集地帯をチアゴとの壁パスで突破したり、25分にはメッシとのコンビからセスクがフリーでシュートを放ったり、44分にはメッシがエリア内で粘った後にアルベスのシュートが左ポスト横をかすめたりと、追加点の好機は何度もあった。しかしそこで決めて楽にできないのが今のバルサだ。
好機にことごとく絡みながらも、ネットを揺らせず苦しいメッシ。後半もまた、レオが点を仰ぐシーンは何度も見られた。チームのためにトライしているのは分かるのだが、報われる気配がしなかったこの試合。59分にはテージョのパスを受け、上手く切り返しマークを外したところまではよかったのだが、右足でのシュートは力なくブラボががっちりとキャッチ。17分のチャンスはさらに決定的で、チアゴからのきれいなキレイなロングスルーパスにライン裏へと抜け出し、ブラボも抜き去っておきながら、慎重に行き過ぎたことが裏目となり、最後はデフェンサにシュートを弾かれている。
後半開始早々にグリーズマンに決定機を作られていたバルサにとって(再びバルデスがパラドン)、追加点は喉から手が出るほどにほしかった。69分にはようやくそれを手に入れたかに思えたが、クエンカのシュートがクロスバーに弾かれ、こぼれ球をテージョがねじ込んだかに見えたそのゴールは、ゴールライン上でアルベスに当たっていたためオフサイドとなって無効。おお、なんてツイていないのか。
だが72分、レオ・メッシがついにゴールを陥落させる。ダニ・アルベスからレアル・ソシエダの守備ライン後方へとナイスなクロスが送り込まれ、猛然とダッシュしたメッシが、ワンバウンドしたボールを左足で直接蹴り込んで見せるのだ。文句ないゴラッソ。これまでのシュート失敗がウソのようなゴールだった。
決めてほしい人がゴールを決め、カンプノウはホッとひと息をついた。しかしそんなバルセロニスタの安心も束の間。その1分少々後の74分、アルベスからチアゴへのミスパスをグリーズマンにカットされ、バルデスと1対1になったベラが落ち着いてシュートを沈め2-1・・・・・バルサはその後も、苦しい時間を過ごすことになる。
泣きっ面に蜂だったのはセルヒオ・ブスケツの負傷だ。ゲームを確実にモノにすべく、グアルディオラは75分にプジョルとジョナタンに代えてブスケツとアビダルを投入していた。しかしそのセルヒオが80分、ラ・レアルの選手と衝突しヒザを負傷(セスクたちも思わず眼を背ける裂傷)。83分にピケと交代でピッチを去ったのだ。
アノエタでの試合のようにこれで同点にされていたら目も当てられないところだったのだが、幸いなことに、今回バルサはモンタニエチームに追加点を許すことなく逃げ切りに成功している。もっと楽に勝てたゲームだっただけに、前半で勝負を決めてしまいたかったところだが、なにはともあれ絶対必須だった3ポイントは確保。全体としてのトーンは悪くないので、この苦しい時期をどうにか切り抜け、マドリーに圧力をかけ続けてほしい。
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