リーガでは久々に見られた、これぞバルサだという会心のゲーム。メッシが復調してきたのが非常にポジティブだ。
試合序盤は、バルサの抱える不安が顔をのぞかせたような展開だった。アルベスとマスチェラーノが出場停止となったため、ペップはまず最終ラインの編成問題をクリアしなければならなかった(モントーヤ起用で解決)。ミスターの契約延長における"迷い"も、外部環境としては影響しただろう。試合当日のカタランメディアはゲームではなく、このペップの"迷い"を一面に取り上げている。
先制したのはバレンシアだった。しかもキックオフからわずか8分後という、バルサにはしばしば見られるパターンの失点だ。右サイドのフェグリからやや早いタイミングでセンタリングが送り込まれ、バルデスが飛び出しに迷ったところを、モントーヤとピケの間をするりと抜け出したピアッティが軽く合わせて0-1。なにがあった?といった表情のバルサ選手たち。彼を取り巻く現状から、グアルディオラの表情もどことなく不安げに見える。
巷で疑問視されているような、"リーガを諦めたバルサ"であれば、この先制パンチに萎れたかもしれない。しかしこのバルサはそうではない。すぐさまリアクションを起こし、バレンシア陣内へと向かっていくペップチーム。しばらくは上手く危険ゾーンへと侵入できずにいたホームチームだったが、この日最初の歓喜はほどなくして訪れた。それは21分のことだ。ペドロが左サイドを突破し、センタリングを供給。クリアに失敗したラミのこぼれ球を、メッシが流し込んで1-1としている。
もうそこからは、バルサの一方的な攻勢だった。きっちりチャンスを決めていれば、10点は余裕で入っていたね、というほどの攻撃。その一発目は26分、再びメッシのシューズから生まれている。イニエスタの絶妙スルーパスにアビダルが飛び出し、鋭いボールを中央へ。これはマチューが足に当て、さらにはGKジエゴ・アルベスも一旦はキャッチするのだが、ボールがこぼれたところをメッシが思い切り蹴り込んでこの日2点目としたのだった。
バルサは前半で勝負を付けるべく、その後も畳み掛けた。しかし28分のアレクシス、29分のセスクによる至近距離シュートはいずれもジエゴ・アルベスがパラドンで阻止。ファブレガスは40分にもイニエスタの浮き球パスに曲芸的チレーナを炸裂させているのだが、惜しくもこれはクロスバーに嫌われている。もし入ってれば、年間ベストゴラッソだったかもしれなかったのに。いずれにせよ、2-1でハーフタイムというのが信じられない内容だった。
後半もゲームはほぼバルサ一色だった。46分にいきなりアレクシスがジエゴ・アルベスを襲うと、49分にはセスクがするするとドリブル侵入からシュートへ。60分にはモントーヤのクロスにヘッドがどんぴしゃで合わせるも、またもやバレンシアの守護神が立ちはだり、クロスバーにも弾かれてゴールとはならず。64分にはモントーヤのシュートをGKが弾き、フリーだったセスクのシュートもバー上空を通過している。
打っても打ってもシュートが決まらないバルセロナ。時間の問題という感じではあったが、ほんのワンチャンスで事態が急変するのがフットボルということで、気を許すことはできなかった。事実、66分にはフェグリの危ないシュートを、バルデスが好セーブで救っているのだ。
だがこれでちょっとスイッチでも入ったのだろうか。ここからバルサは、バレンシアを仕留めることに成功する。75分、メッシがグラウンド中央でボールを奪い、テージョ(ペドロに代わって途中出場)へとボールを預ける。このテージョのシュートはジエゴ・アルベスが防ぐのだが、目の前にこぼれたボールをメッシは逃しはしなかった。左足を振り抜き、ハットトリックを達成したメガクラック。起点から仕上げまでやってのけてしまうレオは、本当にすごい選手だ。
3-1となって、ウナイ・エメリの希望は消えた。それと同時にバレンシアの抵抗も終息し、あとはほぼバルサのやりたい放題といった感じになる。カンプノウのクレがメッシにさらに酔いしれたのは84分のことだ。自陣深くでアレクシス(ゴールこそなかったものの、非常に良いパフォーマンス)がボールを奪取し、ブスケツの見事なスルーパスにメッシが反応。GKと1対1となった我らの10番は、得意のバセリーナで彼を攻略している。このシュートが決まるようになれば、いよいよレオ復調といえよう。自身2度目の"ポーカー"によって、バルサでのリーガ200試合出場に花を添えたクラックだ。
メッシの4ゴールを見れて、大満足のカンプノウ。だがここでさらにおまけのイチゴをケーキに載せたのがチャビだった。86分にイニエスタに代わってピッチに立っていたチャビは90分、ゴール前でのこぼれ球をバセリーナで放り込んでマニータを完成。バルサ祭りのフィナーレとしている。
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