最近(というかしょっちゅう)ホットな審判ネタに、また新たなひとつが加わったね、という試合。バルサ選手たちは逆境をプラスに変え、きっちりと勝利をもぎ取った。
ゲームを迎えるにあたっての状況からして、ペップチームにはちょっとした試練があった。チームの主力であるメッシとブスケツが出場停止となり、アビダルも負傷欠場。すねに問題を抱えるチアゴもまた、直前の決定でスタンド観戦となっている。
この試合の展開をまず決めたのは、ハビエル・クレメンテがバルサ対策として用意したウルトラ守備戦術だった。「バルサのフットボルは退屈」というバスク人監督だが、自陣エリア周辺に全選手を並べたことから、彼がペップチームの破壊力をどれだけ認めていたかは判る。もうお馴染みとなった、攻撃をほぼ完全に放棄してのがっちがちの守備戦術だ。
ボールを譲られるのであれば、バルサはバルサとして攻めていくのみ。しかしながらエリア内にずらりとバスを並べられてはそう簡単にチャンスを作り出せるものではなく、ファン・パブロの守るゴールを脅かす場面はほとんど訪れなかった。8分にはペドロがネットを揺らすも、これは明らかなオフサイド。14分にはアドリアーノが良い突撃を見せたが、仕上げのシュートが枠を外れている。
そんななか、この日の悪い意味での主役となるベラスコ・カルバーリョ審判が、まず最初のミスジャッジをする。18分、エリア内でガルベスが完全にアルベスを突き飛ばすのだが、残念ながら主審はこれを目撃してはいなかった。こちら、マドリ系メディアですら"正真正銘のペナルティ"だと認定している。
スポルティングの張り巡らせたクモの巣に手を焼き、ほとんどチャンスを作り出せないままに時間は過ぎていった。そして40分、この試合ふたつめとなる問題のジャッジ登場。こちらは最初ほど明快なファールではなかったが、エリア内でボティアがケイタを突き飛ばしている。
待望の先制点が生まれたのは、その1分後だ。この日が2ヶ月ぶりの試合出場となったケイタからどんぴしゃのスルーパスが送り込まれ、飛び出したアドリアーノのボールを中央のイニエスタが押し込んで1-0!バルサの前半の枠内シュートはこの1本のみだったが、それをドンが決めたというのがすばらしい。イニエスタはこれが今季のリーガ初得点。
カルバーリョ主審、大暴れ
好い時間帯にリードを手にし、さあ勝負を決めようぜと臨んだ後半。バルサはいきなり新たなる試練を与えられる。デ・ラス・クエバスを競り合いのなかで不正に倒したとして、カルバーリョ主審がピケを一発退場の刑に処したのだ。たしかにピケが抜かれればバルデスと1対1だったが、デ・ラス・クエバスはボールを全く支配下においてはいなかった。なんとも酷すぎるジャッジだ。
バルサにとってさらに追い討ちとなったのは、そのプレー再開後のアクションでヒホンに同点とされてしまったことだ。しかもゴールを決めたのは、ピケ退場が呼んだ混乱時(イニエスタが抗議で黄紙)にクレメンテがピッチへと送り込んでいたバラル。泣きっ面に蜂とはこのことだ。
10分ほどゲーム進行を見た後の59分、ペップは状況を変えるべくカードを切る。ペドロとセスクをベンチへと下げ、テージョとアレクシスをピッチに送り込んだのだ。そしてサンチェスは1分と待たずして決定機を手にするのだが(イニエスタのスルーパス)、最初のボールコントロールが若干乱れ、得点とはならなかった。
68分にはカルバーリョ主審がまたも口笛ブーイングの対象となる。エリア内でのナチョの明らかなハンドを見逃したのだ。この審判野郎!とカンプノウの観客たちはヒートアップの度合いを高め、ガンバレバルサ!と声援で後押ししていった。
後半早々に数的優位となり、さらには同点ゴールを奪ったことは一方で、スポルティングに勝利への欲を出させていた。つまりは前半は自陣に引きこもっていた彼らは前に出るようになり、スペースが出現するようになっていたのだ。だがそのまま時間が経過すれば、彼らはまたエリアを閉ざしてくるはず。そういった時間帯に決定的なゴールを決めてくれたのが、今夜のヒーローであるケイタだったのだ。
79分、マスチェラーノからの縦パスをアレクシスが右へはたき、ボールを受けたケイタがエリア際から左足のゴラッソをゴール左隅へとぶち込んで2-1!大活躍だったケイタに関し、試合終了後にグアルディオラは「必要としている時に彼はいつも助けてくれる。彼がずっとこのカサにいてくれるとええんやけれど」と、最大級の賛辞を送っている。
リードを手にしたことで落ち着きを得たバルサは、さらにスポルティングを仕留めにかかった。そして87分、こちらも切れていたイニエスタがドリブルでエリア前へとボールを持ち込み、浮き球パスを受けたチャビがこれまたバセリーナでGKファン・パブロを攻略して3点目。勝負を決着させている。
バルサにとって残念だったのは、その決着の付いたゲームの終了間際に、アレクシスがなんでもない(ように見えた)ダッシュで内転筋を痛め、ピッチを去ったことだ。後の診断によって、サンチェスは全治10-15日と診断された。怪我に悩まされる今季のペップチーム。アレクシスの負傷が、今後に影響を及ぼさないことを願う(リーガは次節から2試合続けて苦手のフエラで、17日は難所サンチェス・ピスファン)。
|