メッシがチャンピオンズリーグ史上初の5ゴールと、異次元ぶりを遺憾なく発揮した。テージョも2ゴールをあげ、5シーズン連続となる1/4ファイナル進出を決めている。
これまでにレオには何度も何度も驚かされてきて、もうさすがに大概のことでは驚かないだろうと思っていたのに、なんだこの"ひとりマニータ"というやつは。全世界的に、スポーツニュースはこのメッシ祭り一色の様相。しかもチャンピオンズのトーナメントでやってしまうからえげつない。これで今季は通算53得点。シーズン当初は厳しいかな、と思っていたセサールのクラブ歴代得点記録まで、あとたった7ゴールにしてしまった。もはや達成しないと考えるほうが難しい。
週末から続いていたベラスコ・カルバーリョ主審騒動も、このバルサに悪影響を及ぼすことはなかった。全て杞憂。選手たちは今回もまた、ファンの期待以上の姿勢でミッションを完遂してくれた。イダでの好結果(1-3)に気を緩めることなく、がんがん勝ちにいったことのすばらしさ。しかも7点奪うのだから、そこまでやるかと言いたいほどだ。
前半2ゴール
バルサとの対決に勝利するためには3ゴールが必要だったバイエル・レバークーゼンだが、絶対に勝つ!といった迫力は特に感じられなかった。さすがに引いて守ることはなかったが、前線からガツガツ当たってくることもない。バルサは10分を過ぎる頃からペースを握り、10分の至近距離メッシ弾、12分のチャビのフリーキック、23分のピケのヘディング未遂とバイエルを脅かしている。そして25分、この日最初のメッシゴールが生まれる。
レバークーゼンの最終ラインが前に出ていて、かつ、そこにギャップがあったのを見逃さなかったチャビから、1本のマジカルパスが繰り出される。オフサイドを破ったメッシはGKレノと1対1。あとは得意のバセリーナで軽々と料理するのみだった。
2点目の起点はマスチェラーノだった。相手ボールをカットしたヘフェシートがそのままボールを持ち上がり、敵陣内でイニエスタへとパス。あとはバッチリのタイミングでドンからボールを受けたメッシが右から中央へと持ち込み、こちらもメッシスタイルの左足シュートをネットへと突き刺している(42分)。
後半もガンガンいく
前半で2-0とし、つまりは2試合合計スコアを5-1としたなら、フツウのチームであればそこでギアを落としアクセルを緩める。しかしこれはバルサ。ふらつく相手に、更なる追加点を狙っていった。そしてそれは後半開始からほどなくして訪れる。49分のことだった。今度はセスクからバイエルの最終ライン後方へと浮き球パスが送り込まれ、メッシが突進。デフェンサはなんとか彼の左足を切ることに成功するのだが、ならば、と右足でバセリーナを決めてしまうのだから手が付けられない。こうしてハットトリックはあっさり達成となった。
勝負自体は決着がついたことで、グアルディオラは53分にチャビとイニエスタをお役御免とし、ケイタとテージョを送り込んだ。だがバルサはこれでもアクセルを緩めない。むしろスピードスターの登場により、ターボを利かせた感じだ。メッシの3得点によって萎えていたバイエルに、テージョがさらなる一撃を加える。55分、セスクからの縦パスに若き弾丸が左サイドを独走。エリア内まで侵入すると、思い切りいいシュートを右ポスト横へと叩き込んでいる。チャンピオンズデビュー戦のファーストタッチでのゴールだった。
心の折れたバイエルに、バルサは容赦なく攻め続けた。このあたりの時間帯は、なんだかお気の毒になるくらいだった。5-0となったのは58分。コーナーキックからのプレーで、ペドロとの壁パスによってメッシがエリア内へと侵入。慌てた守備陣はこれをクリアし損ない、GKレノもボールをこぼしたところ、メッシが難なく押し込んでこの日の自身4点目としている。
バルサのゴールショーはまだ終わらない。今度は62分、ダニ・アルベスからのパスをエリア左方面で受けたテージョのシュートが決まって6-0となるのだが、これは幾分レノのキャッチミスといった感じ。やはり集中力はだいぶ失われていたのだろう。
そして84分、我らのギガクラックがついに"ひとりマニータ"を完成する。セスクの縦パスをケイタがダイレクトで左やや後方へと落とし、ボールを受けたメッシがエリア際から強烈なシュートを左ポスト横へとぶち込んで7-0!新たなメッシ伝説としている。
バイエルは試合終了間際のロスタイム、壁パスによる崩しからベララビが一矢報いるゴールを返す。「よかったね」、「ありがとう」といった感じでピッチサイドで握手を交わす、グアルディオラとドゥット監督の姿が微笑ましかった。
ということで、バイエル・レバークーゼンとの1/8ファイナルは、圧倒的な破壊力を見せたバルサ(とメッシ)の勝利で終了。ミュンヘンでの決勝へ向け、また一歩前進を果たした。
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