なにかと厳しい風が吹いた試合に、オトナの対応できっちり勝利。この選手たちを誇らしく思う。
リーガ逆転優勝へと希望を抱き続けるためには、全戦必勝の状況が続くバルサ。今回はさらに両ラテラル不在という宿題も突きつけられていて、舞台もソン・モイシュ(イベロスター・エスタディオ)ということで、穏やかならざる観戦となった。
アルベス(出場停止)、アビダル(病欠)、アドリアーノ(負傷)ら全ラテラル選手を起用することができないというコンディションでペップが示した解決策は、モントーヤを起用しての4バックではなく、マスチェラーノ、ピケ、プジョルによる3バックだった。中盤はチャビを温存し、ブスケツ、チアゴ、セスク、そしてイニエスタ。前線にペドロ、アレクシス、メッシという布陣だ。
序盤は苦戦
キックオフから数分間は、勇敢なるマジョルカの攻勢となった。幸い決定的な場面とはならなかったが、7分にはカストロがバルデスと1対1となったりもしている。立ち上がりに苦労したバルサの最初のチャンスは10分のことだ。メッシがプレッシングからボールを奪取し、一気にGKアワテと1対1に。しかし彼のシュートは惜しくも、身体を張って立ちはだかったポルテーロの顔面ブロックによって阻止されている。
バルサは徐々にペースを握り始めていたものの、それはいつものように圧倒的ではなかった。ピッチはどうやらかなり乾いており、不規則なボールのバウンドがペップチームのパス回しをちょこちょこと阻んだのだ。スリップする選手もしばしば見られた。そんななか、マジョルカは折を見て攻撃。20分にはアルバロのヘディング弾がバルサゴールのわずか左横を通過するなど、オープンな展開となっていた。
しかし24分、エリア右前でアレクシスへのファールによって得たフリーキックをバルサは上手く活用する。メッシの蹴り込んだボールがゴール正面でバウンドし、慌てるアワテのトライも虚しく、ゴールネットを揺らしたのだ。アレクシスがわずかに触れたかのようにも見えたが、最終的にはメッシのゴールと判定されている。
いつもほどは守備陣形を崩すシーンを作れなかったバルサだが、リードを得たことでポゼッションは手にしていた。惜しかったのは33分。チアゴのパスを受けたアレクシスのシュートがヌネスの脚に当たりつつ、クロスバーに弾かれた場面だ。
厳しいジャッジでチアゴ退場
後半が始まると、ほどなくしてバルサは苦しい状況に立たされることとなった。それまで良いパフォーマンスを見せていたチアゴが、ハンドを犯したとしてこの日2枚目のカードを受け、退場処分となったのだ。チアゴは腕を後ろにたたんでおり、肩でボールを落としたように見えたが、審判の目にはハンド。どこぞの白チームであれば、猛然と抗議し、後に騒ぎ立てていたことだろう。だがバルサは事を荒立てることなく、残り30分のプレーに集中している。
数的に優位となったマジョルカは、ここからアクセルを踏み込んできた。バルサにとっては苦しい時間帯の到来だ。ここでペップ・グアルディオラは、ホアキン・カパロスチームのサイド攻撃を封じるべく、セスクに代えてモントーヤを送り込む。そしてその9分後には、ペドロをベンチに下げてケイタをピッチへ。これによってバルサはマジョルカの勢いを止め、再びペースを自らに呼び戻すことに成功する。勝点を落としていたフエラのゲームで見られなかったのが、このあたりのカンペオンらしい対応だ。
試合を落ち着かせたバルサはその後、10人とは思えぬポゼッションでマジョルカを押し込んでいく。決定機こそ作っていなかったものの、ボールと選手の動きは悪くなかったペップチーム。79分の待望の追加点も長いプレーによるもので、メッシの放ったシュートが右ポストに弾かれたところを、ジェラール・ピケが押し込んで0-2としている。悩める(と勝手に想像する)若旦那がこれで自信をつけ、輝きを取り戻していくことを願う。
まずは引き分けを目指してバルデスのゴールへと迫っていたマジョルカだったが(惜しいシュートも2、3あった)、このピケのゴールで試合はほぼ決着。グアルディオラはアレクシスをお役御免とし、弾丸テージョをピッチへと送り込んでいる。
こうしてバルサは公式戦9連勝(リーガ7連勝)を達成。4日後に控えるミラノでの大一番へと向け、モラルの上がる勝利となった。
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