そこらの逆境では今のバルサは倒れない!そんなカンペオンチームとしての強さが存分に見られた試合。
ミランとの激闘が終わって、中3日での試合。チャビがコンディション不十分ということで、なんらかのローテーションは採用されると予想されていたサラゴサ戦ではあったが、グアルディオラの決断はファンの一歩先を行くものだった。チャビのみならず、イニエスタとブスケツもセットでベンチスタート。ケイタ、チアゴ、セスクが先発となっている。なんとなく、パンプローナの悪夢を思い出させるような大胆ローテーションだ。
アトレチコ、バレンシア、スポルティングに3連勝と波に乗るサラゴサは、このバルサ戦でもその勢いをぶつけてきた。グラウンド全体で行われるプレッシングはかなりの激しさで、「これだから残留の懸かったチームは!」というところ。変態ボール野郎たちのいないバルサの中盤は、なかなか穏やかにボールをつながせてはもらえなかった。最近恒例となっているピッチ状態悪化作戦も採用されており、ラ・ロマレダの乾いたピッチでは、芝の花まで咲いている。
苦戦するバルセロナに対し、序盤にまずチャンスを作ったのはサラゴサだ。5分のピンチはアランダの空振りによって事なきを得たのだが、23分には非常に活発だったラフィタの突進をバルデスが倒してしまい、トゥリエンソ主審はペナルティを宣告。アランダがこれを確実に決め、サラゴサが先制に成功した・・・・かと思いきや、聖バルデスが降臨し、見事にそのシュートをブロックしている。偉大なり、ビクトル!
しかしその偉大なるビクトルも、強力な不運の前にはさすがにどうしようもないことはある。ペナルティ・ブロックの余韻も残る29分、右サイドを突破したアランゴがバルデスと1対1に。我らの守護神はその最初のシュートをきっちりセーブして見せるのだが、跳ねっ返りがアランゴの顔に当たり、ボールはそのままゴールへと転がり込んでしまうのだ。デランテロの気迫が呼び込んだゴールというところか。
鮮やかに逆転!
だが今のバルサは、この程度の試練には全くへこたれることはない。1-0とされたことでむしろ闘志に火をついたと反撃を開始。35分、アドリアーノからのクロスを巧みにコントロールしたアレクシスの至近距離シュートをGKロベルトが弾き、こぼれ球をセスクが仕留めそこなったことで得た右コーナーから、ペップチームは同点とするのだ。セスクの蹴ったボールをロベルトはクリアしきれず、落ちたボールをプジョルがきっちり押し込んで1-1!幸運が味方したと同時に、突如訪れた好機をカピタンが確実に決めたのが大きかった。
流れはこちらへ来ている。バルサはそれを逃さず、さらなるゴールを狙っていった。逆転弾はカウンターによるものだった。サラゴサ選手の強力なシュートをアルベスが顔面ブロックし、大きく弾んだボールをアレクシスが奪取。一気にドリブルでサラゴサ陣内まで駆け上がると、抜群のタイミングでボールを受けたメッシがあっさりとダ・シルバを料理し、ロベルトが詰め寄るのもお構いなくミサイルシュートをニアの左角にぶち込んでいる。
サラゴサにとって災難だったのは、ハーフタイム直前に元バルサのアブランが2枚目のタルヘタ・アマリージャで退場となったことだ。引き金となったのはサンチェスの突破。試合後にペップが称えたように、この試合でもアレクシスは「あらゆる点で決定的だった」。
ちなみに失点以降、ペップはピッチサイドからすばやく指示を送り、チアゴとケイタの位置を入れ替えさせている。ペドロとアレクシスのポジションも入れ替え。これらの修正でバルサはプレーを改善させ、華麗なる逆転へとつながっている。
ペドロがイチゴ乗せ
後半をフルに10人で戦うことになったサラゴサは、後半はまず積極的に打って出てきた。48分のオブラドビッチのシュートは決定的であったし、50分にはケイタにハンドがあったとして、ラ・ロマレダが盛大に主審にペナルティを要求する場面もあった。これはちょっと危ないな、と察知したグアルディオラは55分、ケイタに代えてブスケツをピッチへと送り込む。そしてバルサは少しずつ、再び流れを引き寄せていった。65分に脅威となっていたアランダがベンチへ下がったのもありがたかった。一方でバルサは68分、アルベスが負傷によってピッチを後にしている(モントーヤ登場)。
70分以降のゴールチャンスは、いずれもバルサによるものだった。特に惜しかったのは80分、アレクシスの右からのクロスにゴール正面のチアゴが上手く合わせられなかった場面と、その1分後のセスクの浮き球スルーパスにメッシが抜け出し、必殺のバセリーナを珍しくもふかしてしまった場面。とどめが出来ないのはイヤな感じだったのだが、クレが一息つく瞬間は、ほどなくして訪れることになる。84分、エリア内でアレクシスが倒され、ペナルティの笛が鳴るのだ。メッシがこれを蹴り込み、勝負の決着は付いた。
バルセロニスタの喜びをさらに大きくしたのは、ロスタイムでのペドリート弾だった。パスをつなぎまくって、メッシがエリア内へと侵入。そのままハットトリックを狙うことも出来たであろう10番だったが、ここは心憎い浮き球パスでボールを譲り、ペドロによる嬉しい嬉しい2ヶ月以上ぶりのゴールとなったのだ。その後のレオとペドリートの抱擁にクレ感動。よしよし!と頭を撫でていくチャビも良かった。
ということで、バルサは苦しみながらもラ・ロマレダを攻略。これでどうだ、のリーガ9連勝としている。チームとしてのシーズン総得点も161となり、2008/09のクラブ記録を更新。マドリー撃墜に向け、勢いは加速している。さあ、これで日曜に試合のある白組とは暫定3ポイント差。チャマルティンでバレンシアが一仕事してくれることに期待したい。
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