「こんなスタメンで来られたら、こっちに出来ることはなにもない」というヘタフェ監督の言葉が物語る、どの角度から切り取ってもバルサの勝利だね、という勝利。
ミラクル実現が徐々に現実味を帯びてきている。毎シーズン、春以降は無類の強さを見せてくれてはいたペップチームが、ここへきて怒涛のリーガ10連勝!アンタッチャブルな勢いによって、ついにマドリーとの勝点差を暫定「1」にまで縮めてしまったのだ。
絶対に勝利が必要な、デフェンサが不足しているカサでの試合。となればもう、中盤を制圧して相手の守備をこじ開ける3バックしかないだろう。ペップは起用できる最強布陣で先発を組み、スタートから一気にヘタフェを潰しにかかった。
守りを固めてきたヘタフェに対し、この日のペップチームは実に上手くプレーを進めていった。サイドライン一杯に張ったペドロとクエンカが最終ラインを広げ、積極的に勝負を仕掛けてはセンタリングを供給。かと思えば中央ではメッシを中心にアレクシス、イニエスタ、チャビらがガンガン突破を試みた。そんなバルサに対し、ヘタフェは防戦一方。セカンドボールを拾えず、ハーフラインを越えたのも90分を通して数回程度だった。マスチェ、ブスケツ、プジー、アドリアーノらが効いていたのも言うまでもない。
走るクラックたち
前日会見でペップが選手たちの送ったメッセージ、「勝ちたいのなら、走らなければならない」、を選手たちは忠実に実行へと移していた。ボール、そしてスペースを目指して、走るや走る。このクラスのクラックたちに頭を使って走られたら、まず相手はどうにもならないだろう。
先制点は12分だ。左サイドのイニエスタからのパスをメッシが胸で落とし、ボールを受けたアレクシスが中央へと向けて突進。マークを置き去りにすると、エリア際ゴール正面から、ズドンと一発豪快シュートをネットへと叩き込んでいる。快感度の実に高いゴールだった。
早い時間帯に1-0としたことで、バルサは気持ちよく攻撃を続けていった。15分にはペドロがプレスからボールを奪い、アレクシスがカウンターを仕掛けて最後はペドリートのシュート。ここはGKモヤのセーブが光った。17分にはメッシのスルーパスにチャビが抜け出しバセリーナで仕上げるのだが、ラインぎりぎりのところでカタ・ディアスがクリア。映像ではラインを越えたように見えるが、クリア成功の判定なので仕方がない。幸い、このゲームにおいては、これが入ったかどうかはさほど重要ではないのだ。
時計の針が22分に入ると、スタジアムはちょうどこの時肝移植手術を受けていたアビダルに向け、大きな拍手と声援を送った。そう、アビのためにも、バルサはこのゲームに勝利しなければならなかった。
恐怖の兄弟、ドン&レオ
24分のメッシ弾(ブスケツの浮き球パスを胸トラップし、そのままシュート!)がわずかにポスト右へ逸れ、32分のクエンカのパーフェクトクロスにサンチェスが合わせ損なった時は、ほんの少〜しながらもイヤな感じもしなくはなかったのだが、バルセロニスタの微かな不安が大きな安心感へと変わったのは、43分のメッシゴールの瞬間だった。
メッシへとボールを預け、ヘタフェ守備陣形の真ん中へとスッと入っていくイニエスタ。するとそこへすかさずパスが送り込まれ、ドンがデフェンサの注意を引き付けながらヒールでちょいと落としたボールを、今度は突入してきたレオが拾い、ミサイルシュートをゴールに突き刺したのだ。なんという連係、なんというシュート!これぞゴラッソなり。
ヘディングで2発
ハーフタイム以降も、ゲームはバルサ一色で進んでいった。ヘタフェに可能性が感じられたのは、カタ・ディアスのクロスバーに当たった苦し紛れのシュート1本のみ(55分)。あとはもう一方的に、バルサが自分たちのペースで試合を行っている。
2点のリード、そしてハーフタイム中に激しさを増した風と雨によって、後半のしばらくはバルサはリズムを落としてプレーしていた。一気に試合を畳み掛けたのは72分のアレクシスのヘッドがネットを揺らしてからだ。右サイドのクエンカがヘタフェ陣内深く切れ込み、ドンピシャのクロスに競り勝ったサンチェスが合わせて3-0。さらには珍しいものを見れた、と思っていた矢先の74分、今度はメッシのエリア横からのフリーキックをニアのペドロが頭で後ろへと逸らし、ボールはそのままゴールへと吸い込まれている。
ということで、僅差になることも予想されたヘタフェとの試合に、圧倒的なパフォーマンスを見せたバルサが完全勝利。この勝ち方をマドリー選手たちが目撃していたなら、いよいよアトレチコ戦へのプレッシャーを高めたことだろう。さてシメオネに率いられたコルチョネロが、14シーズンぶりのダービー勝利を手にするかどうか。今回はいつになく期待してますヨ。
【ヘタフェ戦後のペップ・グアルディオラのコメント】
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