ペップ・グアルディオラのカンプノウ・ラスト2ゲームにおいて、メッシが新たな伝説を達成した。ハットトリックによってゲルト・ミュラーの持つシーズン最多得点記録を更新したのだ。
グアルディオラが今季かぎりでの別れを発表してから、初となる地元開催ゲーム。カンプノウにはいたるところに、ペップへの感謝を表す横断幕や厚紙が登場していた。ベンチに座る彼の姿を見れるのも、土曜日のエスパニョール戦を含め、あとわずか2試合なのだ。
プジョルの先制点、ロンドンの同点弾
ただタイトル争いの終わった水曜夜の試合とあって、スタンドには久々に空席が目立っていた。この夜スタジアムへと足を運んだのは67,854人。バルサの序盤のプレーもまた、そういったリラックス感を幾分表したものとなっていた。ボールは支配していたものの、リズムは緩め。最初の決定機はマラガによるもので、ドゥダのフリーキックが、ピントの守るゴールポストを直撃している(10分)。
危うく一撃を食らいかけたことで、ペップチームの面々は気合を入れ直した。反撃はすぐさま、13分のことだ。右サイドでのショートコーナー。メッシとの阿吽の呼吸によってオフサイドラインを破ったイニエスタがエリア内深く侵入し、折り返したボールをニアのプジョルがネットへと突き刺して先制に成功。プジーはこのゴールを、近頃おめでただったらしい親友へと捧げている。
しかしチャンピオンズ出場権を争っているマラガは、1点のリード程度では挫けることはなかった。26分、ヘスス・ガメスによる右サイドからのクロスに、ロンドンが頭で合わせて1-1。プジョルがマークに付いていたものの、わずかに頭一つ抜け出されてのゴールだった。
レオ祭り
せっかく先制に成功したのに、すぐさま同点。タイトル争い中であれば大きなプレッシャーに襲われる展開だが、いい意味で力の抜けているバルサにとって、これはとりわけ厄介なことでもなかった。動きのキレていたドン・アンドレスのサポートを受け、ここからキングレオがネットを揺らしまくるのだ。その1つめは35分。イニエスタが縦方向へと単騎ドリブル突破を仕掛け、ガメスがそれをブロック。審判によってはエリアのわずかに外と判定しそうな位置だったが、トゥリエンソ・アルバレス主審はエリア内とジャッジ。与えられたペナルティを、メッシがきっちり決めて2-1としている。
そうして迎えた後半。珍しいことに、バルサは再びペナルティによってリードを広げることとなった。今度は1つめよりも堂々としたペナルティ。こちらもまた、きっかけは右サイドでのショートコーナーだった。ただし前回よりは1つ手順を挿み、アドリアーノの浮き球パスに合わせてメッシが侵入。トラップしてシュートを放とうとした瞬間にドゥダが倒し、笛が鳴っている。自らキッカーを務めたメッシが、逃すことなく確実にこれを沈めた(59分)。
ちなみに2つのペナルティを得たことに関し、試合後のグアルディオラはこう語った。「今の私たちにはもう必要ではないペナルティ。訪れるのが少し遅かったよ。仕事をやらねばならない時、私たちはマドリーに10ポイント差がついていた。今は不必要なペナルティだ」
ペナルティを決めるメッシも好いけれど、出来れば流れの中からのメッシゴールが見たい。そんなファンの欲求にあっさりと答えてくれるレオはステキだ。2点差となったことで、マラガはラインを高くするという賭けに出ていた。そして64分、そのマラギスタのライン裏へとイニエスタから絶妙すぎるスルーパスが一本入る。待ってました、と走るメッシはGKカメニも"ソンブレロ"であっさりと料理。あとは空っぽとなったゴールに、ボールを蹴り入れるだけだった(4-1)。
メッシはこれでシーズンの合計ゴール数を68とし、1972年にゲルト・ミュラーが残した驚異的記録(67)を更新。リーガのピチーチ争いにおいても、クリスティアノに2ゴール差をつけた(46ゴール)。
おかえり、アフェライ!
3点差がついたことで、マラガの勝点への望みは消えた。バルサも今回はもう無理をすることはなく、ゲームを落ち着かせていく。となれば後のお楽しみは、カンテラーノの初々しい姿と、負傷選手の復帰だ。カンテラ選手でクレを楽しませたのはマルク・バルトラ。そして祝カムバックは、日曜日のラージョ戦でピッチへと復帰を果たし、これが怪我後の初カンプノウとなるアフェライだ。イニエスタと交代でグラウンドへと入る際、スタンドはドンと共にイビへと盛大な拍手を送っている。
あとはメッシが腕に巻いたカピタンマークだとか、何度も起こったグアルディオラコールと、それに手を振って答えたペップとか。幸せな場面のたくさん見られたゲームだった。そして土曜日はいよいよ、グアルディオラの地元最終ゲームとなるエスパニョール戦。感情の揺さぶられる試合となりそうだ。
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