(5.リーダーの証明からの続き)
4月21日、空
路マドリッドからバルセロナへ。機中から見えた地中海に胸高鳴る。イースターマンデーのバルセロナは、バール以外の商店がほとんど閉まっていた。こんな街の光景、日本じゃもはや正月くらいだな。
早速評判がいい、というオリンピック港のレストラン(注:マリーナ・モンチョス)へ。有名人も多数訪れるらしく写真がたくさん。俳優は名前がわからないが、バスケットのアメリカドリームチーム、カントナ、リバウド大聖人にメレンゲに行きやがったユダの写真も。明るい雰囲気で料理もお酒もおいしく満足(屋上に大きな玉が乗ってる「地球の歩き方」にも載ってる店です)。祝日、気温20度、晴天ということもあり、海岸にも多数の人が寝そべってた。トップレスで(特に北欧からの観光客にとっては、20度は夏で、すぐ脱ぐんだそうな)。
試合当日、サクラダ・ファミリアの塔に登ってバルセロナ市街を眺めていると、下のほうから声が。見ると50人くらいの集団で、「♪オーレーオレオレオレー ユーヴェー ユーヴェー」・・・。またこの日は市内を循環している2階建て観光バスで周ったのだが、グエル公園からバスに乗ったら、2階席にはユーヴェのウルトラご一行様が(苦笑)。沿道の小学生に軽くちょっかいの声出したり、乗って来た女性をナンパしたり。なんでも、ユヴェンティーノ3,000人がバルセロナに来ていたらしい。
試合当日のスポーツ紙。ムンドは「Baaarca!」「TOT EL CAMP」、同じくユーヴェとの対戦だった85-86シーズンのチャンピオンズカップ準々決勝(120,013人のカンプノウ動員記録。1-0勝利)のチケットと人文字の写真も。スポルトはビッグイヤー写真と「BARCA! BARCA! BARCA!」・・・・さすが(笑)。
夕方にスタジアムへ。地下鉄のColliblanc駅からアパートや商店の立ち並ぶ路地を少々歩く。街路樹などでカンプノウは見えないが、ユニフォーム姿やマフラーした人もいて、気分は高まる。周辺の露店を見てるうちにどんどん人が増えてくる。反対側から来た人々が、みんなカタルーニャの旗を持っていた。どうもMaria Cristina駅周辺で配っていた模様。私も欲しかったが、やっぱりカタルーニャ人が持ったほうがよかろう、と思い、特に探さなかった。でも、試合後やっぱり欲しくなって探したが、見事に1枚も落ちてなかった。
カンプノウ外側のゲート周辺では、数人の若い女性がビラ配り、なにやら聞いてから封筒を配ってる人も。落ちていたものをチェックしたら、会長選挙候補者の「後援会会員募集」みたいなチラシ。ヌュネス元会長の功績を引き継ぐ云々というのがあった。おそらく女性はバイトで、ソシオかどうかを聞いてたのだろう。いかにもバルサ、と感心した反面、重要な決戦前なのにという思いもちょっとした。
UEFA主催ゲームなので、セキュリティチェックは厳しいかな?と思ったが、バックチェックひとつなし。ペットボトルもそのまま持ち込めたのには拍子抜け。ゲート下に貼ってある各ペーニャのエンブレムの数に感心したり、正面ゲートにいたFordの着ぐるみマスコットは可愛さ微妙...と思ったり、オフィシャルショップが閉まっていたのにがっかりしつつ、中へ。
憧れのカンプノウ。巨大なスタンド、目の前でアップをする選手、ゴール裏には、これも見た事あるひげのおじいさん、BGMはイムノのアップテンポバージョン、結構よかったがCDには入ってなく残念。日が暮れてきたとき、カンプノウに鳴り響いたのはクイーンの名曲「バルセロナ」。感動的な光景に、これ以上なくぴったりな感動的な曲。もうそれだけで感無量。スタンドが埋まってきた20時42分、大音量でついにあのイントロが。発煙筒が焚かれるゴール裏。「FORCA BARCA」の人文字でいっせいに彩られるバックスタンド。チャンピオンズリーグではイムノは1番しか流れないので、写真をとりながら一生懸命に歌っていたら、夢のような54秒はあっという間。それから選手入場→チャンピオンズリーグのテーマと進み、決戦開始。
席はメインスタンド1階の奥のほうだったので、ピッチは見えるが、スタンドの上の方がまったく見えない状況。今後行かれる方、1階15列以降は要注意。まあ、席があいてれば移動したのだが。そんな席だったので逆に見えたこと。バルサ選手が目の前でファウルなど受けようものなら、前の列も一斉に総立ちになっての罵声の嵐。あまりにも揃ったタイミングに、横の日本人はついていけてなかったが。でもちょっとしたらみんな座ってまた観戦。 一方、いいパスがつながって、最後のシュートが惜しくも外れたときは、全員で「ウィー!」、その後みんなで拍手。帰国後すぐJリーグを見に行ったら、いいプレーへの拍手がほとんどない、やっても数人なのに気づいて、スペインの観客の雰囲気とレベルに感心。まあ、試合でヘマしたらベルナベウでのフラビオみたいになるのだが。
意外?だったのは、ユーヴェのゴールが決まったときの歓声。あれ?と思ったら、バックスタンド最上段のみならず、メインスタンドにも結構な数のユヴェンティーノが陣取っていて、試合中は黙って座っていたが、ゴールが決まったときは一斉に立ち上がって喜んでいた。
試合内容は・・・(涙)。後半以降は一方的に攻めるバルサ→シュート決められず→ウィー+拍手の繰り返し。延長後半、ゴール前でもちすぎて、1人少ないユーヴェだから、狙っているカウンターを入られる前に決めろーー!と思ったらカウンター食らって・・・。
一部を除いて静まり返るスタンド、一斉に席を立つ観客、残り6分は、FCバルセロナの今シーズンの終わりと、CLへのしばしの別れを告げる残酷な儀式にしか思えなかった。
試合終了後も延々と雄たけびを上げるユヴェンティーノ、カタルーニャの旗をマントみたいにして持ち帰る人々と、宴の後のカンプノウを見ていたら、周辺はすっかり人がいなくなり、慌てて駅に行き、地下鉄に乗ったらそれが終電だった。
ホテルでバレンシア−インテルを見て、FMラジオを聞くと、バルサの敗因についての激論を交わしていた。街角には、深夜なのに早くもサン・ジョルディの日でバラの花の露店が出ていた。
バルサもバレンシアも試合内容では完全に勝っていたのにトーナメントからは脱落。まさに「悲惨なさよなら(ムンド1面)」「不公平なKO(スポルト1面)」としか言い様のない結果だった。
翌日、カンプノウで練習前後の選手や監督と握手したり、サインをもらえる幸運に与れたが、さすがにみな暗い表情。今度はみんな笑顔で会いたい、と思った。 |