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タタ・マルティーノ?

 

突如バルサの次期監督有力候補になった、未知の人。

ティト・ビラノバ突然の辞任発表から2日。バルセロナのスポーツメディアは、その後継者に関する記事がもちろんメインとなっています。当初はハインケス、ラウドルップ、ビラスボアス、ビエルサなど多数挙がっていた候補も、ここへきてルイス・エンリケとタタ・マルティーノの両氏に絞られた様子。ルーチョに関してはバルセロニスタお馴染みなので説明の必要はないですが、その対抗馬となっているマルティーノは現地クレにとってもナゾの人物でして、プロフィールを紹介する記事がたくさんでています。この月曜日にも発表されるらしい次期監督。本日かぎりのネタとなるかもしれませんが、タタについて取り上げていましょう。

 

ビエルサの弟子で、南米での実績豊富

SPORTやMUNDO DEPORTIVOのウェブアンケートでは、人気はルイス・エンリケです(およそ6-7割が支持)。タタ・マルティーノを推している人も、ルーチョを引き抜くのはセルタに申し訳なさ過ぎる、との消極的理由によるものが多いかもしれません。なんたって欧州ではほぼ無名の監督です。

まずタタというのはニックネームで、本名はヘラルド・マルティーノ。何故そう呼ばれるようになったのかは本人もよく分からず、「おそらく半分は私の本名を知らないはず」(2007年5月のEl Grafico誌)とのことです。現在の年齢は50歳。あのマルセロ・ビエルサがアルゼンチンのニューウェルス・オールド・ボーイズ(NOB)を率いていた当時の選手で、ポジションはセントロカンピスタでした。グアルディオラにとってのチャビの如く、ビエルサの描くフットボルをピッチ上で実践する存在だったようです。つまり、自他共に認めるビエルサの弟子

指導者としてのキャリアは1998年に始まっています。アルゼンチン、パラグアイのクラブを率いて幾つかのタイトルを獲得した後(2006年にはパラグアイのリベルタを率いてリベルタドーレス準決勝進出)、パラグアイ代表監督として2010年ムンディアル出場(同国初のベスト8。トーナメント初戦で日本と対戦しPKで勝ち抜け)、2011年のコパアメリカでは準優勝(PK戦に持ち込み勝ち上がるパターン)。2012年にNOBの監督に就任すると、不振だったチームを降格から救うだけでなくリーグ優勝も成し遂げ、かつリベルタドーレス杯では準決勝まで進出しました。その後NOB監督を辞任し、現在はフリーの身です。

パラグアイ代表では手堅く負けないフットボルを優先していましたが、ビエルサの弟子だけあって、本当の好みは素早いパスによる組み立てとプレッシングらしく。師匠ほどに戦術マニアなのか、どの程度選手に自由を認めるのかなど、気になるところですが、結果良ければ全て良し、フィジカルフットボル万歳となっているらしいアルゼンチンリーグにおいて、理想を追ったパスフットボルによってNOBを優勝へと導いたのはすばらしい実績です。良いプレーで勝つ、の哲学はバルサのそれと共通してます。

 

アシスタントはメッシの元コーチ

またロサリオ出身でニューウェルス・オールド・ボーイズの伝説的選手だったタタ・マルティーノは、リオネル・メッシとも縁があります。メッシは地元チームであるNOBをこよなく愛していて、バルサ時代が終わった後はNOBで引退したいと語っている。父のアイドルだったマルティーノのことはもちろんよく知っていますし、2012年8月のOle紙のインタビューでレオは、タタがNOBの監督となったことを喜び、「マルティーノは大好きだよ。彼は最高の監督だ」と称賛しています。もしバルサで出会うことになれば、それは嬉しいことでしょう。

一方でマルティーノのアシスタントであるアドリアン・コリアは、レオ・メッシがニューウェルスの下部組織に所属していた時の監督さんらしく(11-13歳)。コリアもレオ少年の才能には惚れこんでいて、“大きくなったら絶対マラドーナ以上の選手になるから”と、クラブにメッシの治療代を出すように直訴もしています。しかしご存知のとおり彼はバルセロナへと移り住み、今に至ったと。ちなみに、コリアはこの少年時代のメッシをすでに4-3-1-2の偽9番として起用していたそうであります。

タタ・マルティーノはパラグアイで監督をしていた頃から、このアドリアン・コリアをアシスタントとしています。よってもし彼がカンプノウのベンチに座ることになれば、右腕もコリアが務めること確実。現テクニコは再編成されるかもしれません。

 

月曜(22日)、最終決断

というわけでこのルイス・エンリケとタタ・マルティーノのどちらかが、この月曜日中に2013/14シーズンのバルサ監督に選ばれる見込みです。両監督共にメリットとデメリットがありますので、サンドロ・ロセイ会長、ジョゼップ・マリア・バルトメウ副会長、そしてアンドニ・スビサレッタSDがその長短所を徹底的に吟味し、最終的な決断を下す。バルサというややこしいクラブのことを熟知していて、現選手たちの多くとも顔なじみである点から、ルーチョがやや有利な状況にあるとみられています。

逆に問題となるのは、彼がセルタと監督契約を交わしたばかりで、いきなりその契約を破ることは不義理も甚だしい点です。さらにルーチョは彼のスタッフも4人セルタへと連れて行っているので、彼らに対する責任もある。一緒にバルセロナへと移籍できればOKですが、現実にはそういうわけにもいかず、セルタやスタッフへの責任を果たすのなら、バルサからの誘いに首を振るのは難しいでしょう。バルサBでは好成績を収めたガッツですが、混乱の末にローマを追われた過去も少々不安なポイントです。個人的な見解ながら、なんかドタバタしたシーズンになりそうな予感がしてしまいます。

一方でタタは現在はフリーの身ゆえに、バルサが彼に決めればそれでOK。契約面での難しさはありません。しかし心配なのはやはり、バルサやヨーロッパのフットボルのことを知らない点。チャンピオンズでは特に、海千山千の勝負師たちと渡り合っていかねばならないわけで、未知数すぎる怖さがあります。カンテラーノをどれだけ信頼するかも分からない。ただ、攻守にバランスのいいチームにはなりそうで、ハマれば進化したバルサが見れるかもしれません。

スペクタクルと同時に結果も求められ、そのための時間的猶予もないのですから、バルセロナの監督選びは本当に困難です。例えば、実績と経験がある名監督ハインケスさんに1年だけ引退を延ばしてもらい、来季からはオスカル・ガルシアやフランク・デボエルなどにスイッチできれば理想的かとも考えますが、そうもいかず。ペップ→ティトときた流れを引き継ぎ、より安パイを選ぶのであればルーチョですかねぇ。。(※加筆。つらつらと考えた結果、ルーチョバルサを見たくなってきた22日夕方頃)。

 

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