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ティト「ピケ不在でも、カンテラがいる」

 

怪我人の穴は、チーム全体で埋めると監督。

ティト・ビラノバの前日の”予言”どおり、ウナイ・エメリ率いるスパルタク・モスクワとの試合は想像以上に厳しいものとなりました。”伝説の逆転劇”こそ必要とはしなかったものの、タフな逆転劇を求められたこの試合。序盤にいきなりピケが負傷交代し、不運なオウンゴールや一発のカウンターでリードを許すというしんどい展開にも挫けることなく、勝って終わったことにこのチームの芯の強さを感じます。試合終了後のティトが称えたのも、そんな選手たちのメンタルでした。

 

簡単なことなんてない

ゲーム終了からしばし後、カンプノウ内の会見室に姿を見せたティト・ビラノバは、こんな感じで勝利を振り返っています。「相手チームが守備を固めてくるこの手の試合は、いつだって難しくなるものだ。ウナイが私たちとの試合でこういうスタイルを取ったのはこれが初めて。彼らのカウンターは危険だった。もう少し簡単に、もう少し苦しまずに勝ちたいところだったけれど、この試合は簡単なものはないと私たちが理解するうえでプラスになるだろう。再逆転で勝てたことは、このチームの勝利を求める気持ちを表しているんだ」

「試合には特に不満はない。自分たちの好きなように攻撃していたしね。失点?それはプレー内のことだ。重要なのは勝つこと。失点よりは得点の方が多いんだ・・・もちろん無失点ならなお良いけれどね。全員で守ってくるチームとプレーするのは簡単ではない。彼らが2トップのスピードを活かそうとしてくるのは判っていたことだ。私たちはルビン・カザンにも苦しめられた。結果を得られたことに、満足しなければならない」

カンプノウでのチャンピオンズ開幕戦で目標を達成するために、ティトチームはスコアをひっくり返さなければなりませんでした。「同点とされて、時間が経過し、焦りが出ていた。そしてリードを許したことで、プレーの方法を変えたんだ。3-4-3に変更したことで、シュートへと持ち込む可能性は増えたね。けれどもスパルタクにはスピードのある選手がいたから、守備でのリスクは大きくなっていた。これまでのように、今後も苦労していくだろう。簡単なことなんて、一度もなかった。この4年間、私が簡単だと思ったことは一度だってなかったよ。スパルタクもまた勝負をしている。これはチャンピオンズなんだ」

そして。「このチームが示しているのは、フットボルが好きで堪らないというそんな想いだ。数多くの成功を重ねてきたチームが、プレーへの欲求を保つのはとても難しいこと。彼らが良いプレーをするのは結局のところ、フットボルが好きだからだ」

 

ソング起用の理由

このスパルタク戦での大きなテーマとなったのは、ジェラール・ピケの負傷でした。ジェリが負傷交代となるとき、ティトが選択したのは、バルサでのセントラル起用はこれが初となるアレックス・ソングでした。「ピケが怪我をした後、ソングではなくバルトラを起用することもできたよ。けれども私は、ソングの方がチャンピオンズでの経験が豊富だと考えたんだ。マルクは今シーズンまだ出番がなかったし、もし悪い結果となった場合、それが後に響く可能性もあったからね」

ピケの負傷については。「彼がマドリー戦に間に合うかどうかは分からない。彼は怪我をしたばかりなんだ。明日精密検査をして、経過を見ていくことになる。可能であるなら、全ての選手を起用したいよ。けれどもピケが出場できないのであれば別の選手がいるし、フィリアル(Bチーム)だってある。それでひとり少なくプレーするわけじゃない」

また先週に扁桃腺炎を患い、この試合も招集されることのなかったジョルディ・アルバについては、ミスターはこう説明をしています。「彼は代表チームでも抗生物質を飲んでいたし、チームに戻ってきたときはかなりの熱が出ていたんだ。それで良くなる気配がなかったので、ドクターたちは彼を(週末に)1日入院させることにした。たくさん薬を飲んだことで今は少し身体は弱っているけれど、土曜日には良くなっていると期待している」

 

勇敢なり、ティト

いつぞやのルビン戦のようにロシアチームにカンプノウで敗れ、チャンピオンズ苦難の旅のスタートかとの好からぬ考えも一瞬脳裏をよぎったこのスパルタク戦。しかし最後は見事逆転勝利を手にし、ホッとひと息の木曜日となりました。結局のところはメッシ頼りかよ、とのお声もありそうですが、今回は決してそればかりでもなく。この日バルサへと勝利を呼び込んだのは、ティト・ビラノバの勇気だったことは忘れてはなりません。ヤケクソか計算ずくかは別にしても、なかなかお見事な3バックの決断でありました。

しかも、この試合がセントラルとして初出場で、決して上出来といえなかった(むしろ危うかった)ソングを中心に置いて、両脇がマスチェラーノとアドリアーノなんていうスリリングすぎる3バック。一歩違っていれば蛮勇と酷評されていたであろう采配を、我らのミスターは怖れずに採用したわけです。また的を得ていたかどうかはこちらも別として、それまで良い仕事をしていたテージョを下げたのも、思い切りがいいというか。ティトがテージョを下げてビジャを入れたのは、若き弾丸がレオの同点弾をアシストしたすぐ後です。

そんな外野のあれこれも吹き飛ばす結果を残せたのは、ティトの”引き”が強いということなのでしょうか。それはいずれ判明していくことと思いますが、言えるのはミスターが怖れることなく、自分の色を出していることです。しっかり結果も伴っているので、説得力も付いてきている。いきなり守備陣が火の車という難解なる試練を与えられましたが、ここでも決断がピタリとはまり、ステキなクラシコ後となっていることを期待します。

 

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