ウェンブリーを目指したヨーロッパの夜が幕を開ける。
空もそろそろ秋っぽくなってきた9月の半ば、欧州ではチャンピオンズが開幕しました。我らがティトバルサの初陣は、本日19日のカンプノウでのスパルタク戦。リーガでは開幕4連勝(+あのチームに8ポイントのリード)と順調な滑り出しをみせるチームなので、ここは是非とも欧州戦線でも良いスタートを切ってほしいところです。見所はやはり、途中出場しては結果を残しているダビド・ビジャの先発があるのか、イニエスタの穴はどう埋めていくのか。ティトの采配が楽しみです。
ティト「大事なのは勝って始めること」
火曜日にバルサ監督として初めてのチャンピオンズ前日会見に臨んだティト・ビラノバは、UEFA仕立てとなった会見席でこう意気込みを語っています。「カサでの初戦に勝利することが、カギとなってくる。ここで上手くやらなければ、他チームの後を行くことになるからね。私たちはこの4年で2回ファイナルへと進出した。そのためにはまず、グループリーグで良いスタートを切る必要があるんだ。この数年、私たちはチャンピオンズで居心地良くやってきたけれど、どの試合も難しいことは分かっている」
そして。「チャンピオンズは参加するもののモチベーションを上げ、特別な希望を見させてくれる。私たちはヨーロッパで最高のチームたちと、最高のスタジアムでプレーをするんだ。(昨季の)チェルシーとの準決勝に関しては、あれもフットボルでの出来事だということ。私たちは土壇場で決勝進出を決めたこともある。フットボルは時として与え、そして時として奪うものだ」
なかなかに気の利いたことを言うミスター。以下、少々長くはなりますが、ティトのキャラクターがよく表れている今回の会見なので、出来るだけコメントを拾ってみることとします。
本命視はリアルにあらず
過去5シーズン連続で準決勝へと勝ち上がっているバルサは、当然ながら優勝候補の本命に位置付けられます。しかしビラノバは言うまでもなく、それに賛同しようとはしません。「フットボルでは常に勝ち続けることは出来ない。バルサのように勝利のサイクルを続けることは不可能ではないにせよ、とても難しいことなんだ。私たちは5年連続で準決勝へと勝ち進んだ。そのことにはプレッシャーは感じてはいないよ。プレッシャーは自分が自分に科すもので、外部からは感じないんだ。私たちが本命だとは思わない。昨年はユナイテッドやシティがグループステージで敗退した。この段階で自分たちが本命だというのはリアルじゃない。それについては、準決勝まで行けば話題にもできるだろうけど、今は違うよ」
現在好調なチームですが、選手たちに幸福感はないとティトは請け負います。「選手たちに浮かれた様子はないよ。彼らは多くのトロフィーを勝ち取ることに慣れている。去年は13のタイトルを獲った後にパンプローナで敗れ、大きな批判を受けたんだ。私はここにいる幸運に恵まれ、小さな頃からここでプレーをしていて、このクラブのことはよく知っている。全ては束の間だと、私たちは知っているんだ」
また、リーガでの状況について問われたバルサ監督は、今はそれについて語る時ではないとコメント。「その件については金曜日にでも話すよ。今はチャンピオンズの時だからね。悪い試合をすれば物事はややこしくなるし、私たちはそれを経験から知っている。悪い結果から始めたほうが、より注意が効いて良いのではないか?それが好いのか、誰にも分からないよ。私が好むのは、良い結果で始めることだ。それでモラルは上がるし、物事が上手くいっていると考えられるからね。フットボルでは物事は急速に変化する。けれども私は、良い結果の方をいつも選ぶよ」
しかしマドリーとの8ポイント差がついて落ち着くかと訊ねられると、彼はこう述べています。「それによって落ち着きを得られるものではないよ。私にとって重要なのは、自分たちがなにを出来るかなんだ。私は後ろを見ないし、見ても役には立たない。少なくとも今はね」
勝って知ったるエメリのチーム
今季、スパルタクを率いるのはあのウナイ・エメリです。「ウナイのことはよく知っているし、彼もまた私たちのことを熟知している。彼のチームとの試合は毎回厳しいものだったよ。彼のバレンシアは前線からのプレッシャーが激しかった。今回もおそらく、同じようにしてくることと予想している。なぜなら彼は、勇敢な監督だからね。チャンピオンズではよく知らないチームゆえの驚きもあるけれど、エメリのスパルタクはそれには当てはまらないと思う。スパルタクはダイナミックなチームでカウンターが上手く、エメニケという優れたターゲットもいる。しんどい試合になると私は確信してる」
「スパルタクが第4ポッドのチームだと考えがちだ。しかし第4ポッドのチームだと楽観視されていたコペンハーゲンも、私たちに勝つ可能性はあった。昨シーズンのマンチェスター・ユナイテッドがバーゼル相手にどうだったかを私たちは目撃している。簡単な相手なんてないんだ」
選手たちについて
ティトはまた、チームの各選手たちについてもコメントをしています。まずは土曜日のヘタフェ戦で復帰を果たした、チアゴ・アルカンタラについてです。「チアゴは誰とも違った選手だよ。彼は成長をして、より完成された選手になった。テクニックに秀でた選手だったけれど、今はよりチームのために働く選手となり、守備も担当して空中戦も上手くなっている。若く、大きな可能性のある選手だ」
アレクシスについても褒め言葉は惜しみません。「評価をするのはまだ早い。アレクシスは去年、とても良いシーズンを送ったけれど、怪我をしたことで継続性を得られなかった。私が彼に期待するのは、必要な運を手にすることだ。彼がもう怪我をしないように、私たちは気を配っていかなければならない。スペースがあれば彼以上の選手はいないし、彼には得点力がある。若い彼には、落ち着ける環境を提供する必要があるんだ。私は彼が良いシーズンを送ると信じてるよ」
約1ヵ月半に渡って戦列を離れるプジョルの代役については、監督はこう語りました。「ピケとマスチェラーノが出ずっぱりというわけにはいかないだろう。けれども私たちにはバルトラがいるし、ソングもまたセントラルとしてプレーすることが可能だ。その時々に応じて、決断をしていくよ」
そして最後、懸命にリハビリを続けるエリック・アビダルについてです。「もう少し待たなければならない。ドクターたちの意見も聞きながらね。彼の意志の強さは誰もが知るところだし、復帰を果たせる選手がいるとするなら、それはエリックだろう。私たちは彼を急がせはしないよ。私たちは必要なだけ彼を待つし、そのことを彼は知っている」
WEMBLEY 3
もしベルナベウが恐慌状態に陥ったら、それはさぞかし愉快な水曜の朝だろう…というクレの期待は、アノ男のスライディングガッツポーズとともに霧散しました。もうちょっとでベルナベウ周辺をパニックの底へと落とせたのに、シティさんったら詰めが甘いんだから…そのあたりがにわかチャンピオンと、よろめいていてもグランデとの差か。ラスト5分でリードを許しながら、土壇場での逆転してみせたモウチーム。首都系メディアはこれを”伝説の逆転劇”と絶賛してまして、どうやらぷちクライシスムードはひとまず収束となったようです。このしぶとさが、彼らの持ち味。足元はふらつきながらも、なかなかヒザまでは崩れません。
そんな9月にして”伝説の逆転劇”はさておき、いよいよ今夜は我らのティトバルサの欧州初陣の時です。今季はカンプノウでの開幕となりますから、なにはなくともまずは3ポイント獲得を。そして願わくば快勝を。終わってみれば余裕があった、となっている気はしますが、スパルタクを率いるのはあのウナイ・エメリです。彼はバルサ戦未勝利ということで期するものはあるでしょうし、用心するに越したことはありません。ティトが選手たちにどうメッセージを伝え、どう試合に入っていくのかが楽しみです。
奇しくも19日のSPORT紙とMUNDO DEPORTIVO紙は、ほぼ同じタイトルを大見出しに付けています。どちらも非常に分かり易く、”WEMBLEY 3″。決勝のことを考えるのはまだ早すぎるとティトは言っていますが、クレのモチベーションを1つ上げてくれるのがウェンブリーの響きです。”馴染みの場”での3度目の戴冠を目指しての道が、今日から始まるバルサ。こちらはなにも、土壇場でのスペクタクルは必要ないです。ちょっとしたスリルも悪くはないですが、ハラハラは3月以降で十分。ここはがっちり、フツーに勝っときましょうぜ。バモーース、ティトバルサ!グアッヘに期待!
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