先週のアイントラクト戦はバルセロニズモの大きなトゲとなった
ピッチでの完敗に加えて、チケット販売の事務でも大失敗
先週木曜、カンプノウにて行われたアイントラクト・デ・フランクフルト戦はバルセロニズモに大きな傷を残しました。チャンピオンズで16強に残れず敗退した後、せめてもの救いとするべく優勝を目指したヨーロッパリーグで4強に残れない。さらにその大一番では、あろうことかカンプノウがドイツ人ファンで埋め尽くされてしまった。エスタディが相手カラーに染まったインパクトは強く、“事件”は長く語られていくことでしょう。
ドイツ人サポーターで溢れる
いろんなことが発生するFCバルセロナの歴史に、新たな黒ページが刻まれました。
勝利が必須だった2021/22シーズンのヨーロッパリーグ1/4 final ブエルタ(第二戦)において、バルセロニスタで埋まるべき本拠地カンプノウが逆に、フランクフルトファンの着る白いシャツで染まる事件。
なんでも8万人弱の観客のうち、約3万人がドイツからの遠征組だったそうですが、感覚としてはもっと多いようにも見えました。カンプノウが相手のカサ(ホーム)になる。ガチ公式戦であの光景は、そうは見られるもんじゃないです。
ジョアン・ラポルタは試合後、「繰り返してはならない不名誉だった。腹立たしく、恥ずかしい」と反省の弁を述べています。
ここ数年のバルサは毎年チャンピオンズで泣ける敗退ぶりを繰り返してきましたが、今季はさらに格の落ちるヨーロッパリーグでも完敗を喫したうえ、カンプノウがあのような様になったことでバルセロニズモの落胆は大きく。
あんな事態を起こすに至ったクラブの管理方法はどうなっているのかと、批判が噴出するのも当然でしょう。
チケット販売の失敗
UEFAの規約では、相手チームファンに回されるチケットの割合は5%(約5,000枚)のはずなのに、どうしてカンプノウの観客席はドイツ人ファンで埋まったのか。その理由の一つに、フリーシート制があります。
年間指定席を保有するソシオが試合に行けない場合、それを開放してもらって一般販売に回すシステムですが、COVID-19の影響で指定席を一年凍結するソシオが増えている今季、クラブはこのフリーシートを積極推進してきた。
出来るかぎりたくさんチケットを売ることを今季のバルサは目指してきて、フランクフルト戦に向けても一枚でも多くの指定席を開放するよう、ソシオに求めていたのです。
さらにタイミングが悪いというか、先週はセマナ・サンタ(聖週間)の連休に当たっていました。小旅行に出かけるソシオが多くいたことで売りに出されたチケット枚数も多くなり、結果ドイツチームのファンが思惑通りにそれらを買ったことで(ドイツからのネット購入はできないようになっていたが、IPを隠したり代理店経由など抜け道は複数あった模様。ソシオにしてもこっそり自ら転売した方が儲けは大きい)、地元での大一番なのに敵対的な雰囲気になるあのような状況が生じたわけです。
それにしても、何か販売先をコントロールする方法はなかったのかという疑問。
一部ではマナーの悪いドイツ人ファンもおり(喫煙・缶ビールの持ち込み)、恐怖を感じて早々に帰宅したバルサファンもいたということで、大規模なドイツファンの襲来は予想できていたのに対策を練らなかった警備への不満も噴出しています。
バルサはタイトルの生き残りを賭けた決定的な試合で環境作りによって選手たちを後押ししてやることができず、フットボルで完敗したことに加えて事務支援でも負けた、それがあのアイントラクト・デ・フランクフルト戦でした。
エレナ・フォル副会長によると、この試合のチケット販売で350万ユーロの売り上げがあったそうですが、傷ついたイメージの方が高いですよね。
フランクフルト戦の途中、クラブへの抗議のために北ゴール裏席から10分間退去していた熱血応援組織 Grada d’Animació は今日のカーディス戦もスタジアムに参じない旨を声明で発表。木曜日の出来事は「社会的な恥」であり「私たちのカサで発生した大きな不名誉」であるとクラブを批判している。
バルサというクラブ
メディアで紹介されているソシオ証言によると「40年間カンプノウに通っているけど、今日のようなことは一度もなかった」というフランクフルト戦のバルサスタジアムです。数々の魔法の夜の舞台となってきたカンプノウが、不手際によって相手本拠地のようになった。バルセロニズモに与えた衝撃は大きく、忘れられるのは容易ではないでしょう。
そしてこの失策を活用してやれと、アンチラポルタ派が活気づいているという話もあり。ヨーロッパリーグ敗退がセットで付いてきたからこそチケット販売の不手際を叩かれている側面もあり、その辺りはいかにもバルサ界隈だなと思います。バルセロニズモが一枚岩のようになっている期間は、げに短い。複雑で厄介なクラブです。
いずれにせよ、こんな失敗を再発させるべきではないのは明らかですから、ラポルタ会長が試合後に約束したように、クラブは原因を調べて対策を取らねばならなりません。そして平穏を取り戻すこと。それがラ・リーガ2位を目指して戦うチャビチームへの支援になりますから。
この失態を受け、夏マーケットでファンに希望をもたらすためのクラック獲りを狙う動きが強まるのも間違いなさそうです。
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