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ビジャとアレクシス

 

9番への信頼が揺らぎ、7番への期待度が高まる。

26日のSPORTとMUNDO DEPORTIVO両紙は、ネタの大小の差こそあれ、よく似たテーマをメインに持ってきています。ひとつはバルセロニスタの大好物である白組のゴタゴタ話で、カシージャスVS.モウ。そしてもうひとつがバルサのポジション争い話で、ビジャ対アレクシス。前者も決してキライではないのですが、おそらくは有名フットボル情報サイトが取り上げてくれるでしょうから、こちらでは後者をクローズアップしてみましょう。どちらかといえば、あんまり愉快な類の話題でもありませんが。

 

不調にあえぐアレクシス

連発する劇的逆転勝利によって、ポジティブな話題がたくさんのFCバルセロナ周辺ですが、懸案材料ももちろん幾つかあります。そのうちの一つ”デフェンサクライシス”はセルティック戦でバルトラがシンデレラボーイとなったため、とりあえずは沈静中。プジー&ジェリの復帰はまだ目処が立たず、マスチェラーノがラージョ戦に出場停止という際どい状況は変わらないものの、まあなんとかなるでしょうといった空気です。

一方で、ちょっと心配な状態になっている(とメディアが考える)のがアレクシス・サンチェス。今シーズンはいまだに1ゴールという9番に対して、風当たりは日増しに強くなってきています。とりわけ厳しく評しているのが、MD紙。シーズン最初に彼が手にしていた信頼感はもう尽き果てた、とかなりの辛口になっています。

9月末のクラブの輪番記者会見において、アレクシスは自らのパフォーマンスを「5点」だと採点し、「ベストのアレクシスはまだこれから。もう少し待ってほしい」と語っていました。その時はシーズンが始まってまだ1ヶ月少々であり、分かった、これから頑張れ、という雰囲気だったわけですが、その後は先制点を決めるなど元気だったリスボンでのベンフィカ戦以外はパッとせず。セルティック戦では2分に決定機を逃して以降、ファンを納得させるには程遠いプレーでビジャへとポジションを譲っています(80分)。

基本的に彼の持ち場はサイドですが、今シーズンはどうしちゃったの?というくらいに1対1で勝負をせず、その結果として相手守備陣の脅威となれていないサンチェス。得意としているディアゴナルな飛び出しも数少なく、MD紙は”デランテロに期待されるクオリティを一切寄与しなかった”と容赦ありません。

 

クレ世論はビジャに期待

アレクシスへの批判が強まる一方で、期待感が上昇しているのがダビド・ビジャです。ティト・ビラノバは一貫してサンチェスを擁護してはいますが、そのミスターの言葉も”前線における先発担当をそろそろ変更するべきではないか”との声を弱めることは出来ない今日この頃。MD紙のウェブアンケートでは実に9割が「ビジャを継続的に先発起用すべき」だと回答していまして(1,555票時点)、グアッヘへの支持の高さがうかがえます。

そして事実かどうかは不明ながら、メディアはテクニコが7番と9番の役割変更を検討し始めている、と報道。クラックたちから幾つものアシストを受けながらもアレクシスがいまだ1ゴールなのに対し(不運な要素もあるにせよ)、出場時間がずっと少ないビジャが3ゴールですから、それも仕方ないことでしょう。

ティト・ビラノバには二つの選択肢があります。ここは一発フォームの上がってきているビジャを先発の第一候補にするのか、復調を信じてもう少しアレクシスに賭けるのか。バルサが今週末にプレーをするバジェカスは狭さではリーガ有数のスタジアムですから、グアッヘのエリア内でのストライカー本能が、より威力を発揮しそうな気はします。もちろんペドロを後半の起爆剤としてベンチに置き、両者起用も考えられます。個人的な希望としましては、そろそろMVPトリオが見たいかなぁ。

 

モントーヤ対アルベス

一方、デランテロでのポジション争い以外にも、ティトの頭を悩ませているかもしれないのが右ラテラルでの選手起用法です。10月7日のクラシコで大腿二頭筋を痛め、それ以来戦列を離れていたダニ・アルベスでしたが、水曜日のトレーニングではいよいよチーム練習に復帰。順調に回復すれば土曜日のラージョ・バジェカーノでピッチに戻ってきそうなのですが、なにぶん彼の代役として出場しているマルティン・モントーヤの出来が良い。アドリアーノもいる。ダニの復帰を急ぐ必要は特に見当たりません。

昨シーズン終盤での鎖骨骨折が影響しているのか、今シーズンのダニは怪我が多く(何故かクラシコで負傷する。それ以外にも1度、筋肉系の軽い違和感)、過去シーズンのようなハイパフォーマンスには遠い状態にあります。今はまだセントラル問題がバッチリ解決していないため(ラージョ戦はソング&バルトラ?)、より危なげのないモントーヤ起用の方が良さそうな気はします。

26日付のSPORT紙には、80年代にバルサでプレーし、その後はカタルーニャ選抜の監督を務めたほか、現在はTV解説で活躍するピチ・アソンソによる両右ラテラルの比較分析がありましたので、簡単に紹介してみましょう。

 

アルベス モントーヤ
戦術ディシプリン
6点。サイドを絶え間なく上下する、特異なキャラクター。対人守備はやや苦手。 8点。常にポジションを守り、守備的規律が高い。1対1の守りでもより堅実。
空中戦
7点。ジャンプ力はあるが、長身でもない彼のセールスポイントではない。 5点。ダニと身長は変わらず、得意分野ではない。改善の余地あり。
持久力
9点。敢えて言うことなし。体調さえよければ右サイドを全てカバー可能で、常にプレーに関与できる。 7点。持久力、走力あり。
コンビネーションプレー
8点。セスク入団前は”8番”としてプレーしており、メッシとの連係も抜群。テクニックに優れ、彼のおかげで3-4-3多様が可能となった。 6点。カンテラ育ちであり問題なし。テクニックが高くチームの連携に確実に参加できる。
攻撃参加
9点。彼はもう1人のアタッカー。アルベスのセンタリングとパスから多くのゴールが生まれてきた。 7点。守備により重点を置くが、モダンなラテラルであり、折を見ては攻撃に参加し、良いクロスを上げる。
シュート
8点。フリーキックやエリアへの侵入で数多く得点。特に長距離からのセットプレーで存在感。 6点。クラシコでのバー直撃弾は記憶に新しい。良いミドルシュートを持っているが、彼が重視しているポイントではない。

 

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