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怪我の多かった2012/13

 

原因をきちんと分析することが、来季につながる。

FCバルセロナが18日、”カルラス・プジョルが水曜日(19日)午前に右ヒザのベイカーのう腫摘出手術を受ける”との公式発表を行いました。これは、ヒザの裏側にある小袋が炎症を起こし、饅頭のように腫れるという病気で、治療には注射器による内容物の吸引する方法などがあるようですが、プジーの場合は摘出してしまう模様。回復には3-4週間が必要になるらしいので、プレシーズン開始には間に合いそうにありません。ちなみにこちら、カピタンがトップチームに昇格してから6回目の手術だそうです。

 

延べ51人が離脱したシーズン

今回のプジョルの症状は怪我というよりは病気でありますが、2012/13シーズンはティトチームが怪我あるいは病気に苦しんだ一年でした。およそ1ヶ月前のSPORT紙には今季のバルサ選手たちの怪我に関する記事が掲載されていたのですが、それによると主だったところでは、

■アルベス:3回負傷で計40日の離脱
■ピケ:1回負傷(足首の捻挫)で48日の離脱
■プジョル:6回負傷で計149日(当時)の離脱
■チャビ:4回負傷で計32日の離脱
■ビジャ:5回負傷で計34日の離脱
■アレクシス:2回負傷で計31日の離脱
■チアゴ:2回負傷で計106日の離脱
■アドリアーノ:7回負傷で計76日の離脱

といった具合。チーム合計では51回の怪我(+病気)が発生していて、そりゃあコンディションを整えるのが難しくもなります。何故このようなことになったのかを分析し、対処していかなければ、来シーズンも再び終盤でガス欠の憂き目に遭いそうです。

Xavi Torres(チャビ・トーレス)さんによるその記事では、グアルディオラ時代から基本ルーチンを変更していないバルサが、何故今季はこんなにコンディション調整に失敗したのかが分析されています。そこでまず彼が指摘しているのは、過去数シーズンによる疲労の蓄積です。

 

主力は5年間フル稼働

2012/13シーズンもまた、バルサはチャンピオンズと国王杯で準決勝まで進出し、出場できるほぼ全ての公式戦をプレーしています。このフル稼働状態は、14ものタイトルを獲得したペップ時代から数えて5年連続となり、その間にメッシ、チャビは300試合超え、アルベス、ブスケツ、イニエスタ、ピケらもそれに近い数のゲームに出場している。バルデス、ペドロ、プジョルの3人は200試合超えで、マスチェラーノ、セスク、ビジャ、アルバも年50試合あたりのペースです。あの怪我知らずだったメッシがついに負傷したことは、警告として捉える必要がありましょう。

ティト・ビラノバの起用法としましては、監督初年度で結果を出すため、中心メンバーにこだわったことで彼らに出番が集中したことが特徴に挙げられます。怪我人の発生でやむをえない状況以外は、ソングやモントーヤ、チアゴ、バルトラら控えメンバーはあまり起用されませんでした。

さらにバルサの選手たちは、各国の代表チームからも容赦なく^^お呼びがかかる。今季、招集を受けなかったのはアビダル、ピント、ジョナタンの3人だけで、イニエスタ(18日の離脱)、アレクシス(同6日と24日)、アルバ(同9日)、ペドロ(同15日)がFIFAウイルスにやられています。アルバはまた、昨年夏はユーロと五輪で休みなし。いくら若くとも疲れますわな。

 

始めと終わりに負傷者が重なる

チーム合計で延べ51人もの離脱者が発生した件は、ペップ時代にも毎年40人ほどの離脱者が出ている(※管理人調べ)ので、やや増加というところです。選手の体調を管理するスタッフは、パコ・セイルーロ、アウレリ・アルティミラ、エドゥ・ポンスしていて、基本システムに変化がないのをどう見るか。唯一退団したブエナベントゥラ博士不在の影響?チャビ・トーレスさんはチアゴ、プジョル、ビジャらが昨シーズンからの怪我を引きずった状態でシーズンを始め、アビダルもまた肝臓病と闘っていたことが大きなハンディキャップになったと見ています。

そして怪我の時期も不思議と集中していて、9月、11月、4月に各9人ずつが病室送りとなっているらしく。特に痛いのは春の負傷者多発で、メッシ、プジョル、マスチェ、ブスケツ抜きでチャンピオンズ準決勝はきついです。チームの要であるチャビも2月以降に筋肉トラブル連発でした。

ちなみに今シーズン、一度の怪我もなかったのはテージョとモントーヤの2人。拍手!鉄人マスチェラーノの負傷も、空中で衝突したアルバがヒザの上に落下・・・という不運なものでしたから、彼らに次ぐものと個人的には思います。ガナーズ時代は終盤にいつも怪我していたセスクは、12月の大腿二頭筋(25日KO)のみ。よく改善しています。あとはピント(背筋痛で7日)、ソング(左ヒザの違和感で12日)も1回だけなので立派なり。

 

トレーニングへの負傷者の影響

チャビ・トーレスさんによるこの分析で興味深かったのは、トレーニングに関するものです。シーズン終盤に最高のコンディションで臨むことが非常に重要なのは、今季のバイエルン戦でよく証明されています。バルサのフットボルが相手を圧倒するためには、攻守の速い切り替えが必要で、リズム良く相手のスペースへと動き、流れるパスで守備陣を翻弄しなければならない。ボールを奪われたら効率よく素早くライバルを取り囲まなければならない。元気な身体と鋭い集中力があってこそ、これぞバルサだというプレーが可能となります。

で、トーレスさん曰く、最強デフェンサであるプジョルを相手にするトレーニングの方が、メッシにとってはよりハード。イニエスタにとっては、ボールをまず失わないチャビにプレッシャーをかける練習の方が難易度が高い。同じことがバルサの各選手に当てはまるというわけです。

しかし今季はプジョルが怪我がちで、トレーニングでのメッシの難易度が減った・・・ てな現象が各所で起こり、かつ次の日曜も自分に出番がくると思っている選手たちは、そんな意識はなくとも徐々に汗をかく量が減っていく・・・ チーム内における要求度が下がったことで個人のパフォーマンスレベルが低下し、自ずとチームの出来にも影響が出た、との分析です。

つまり、怪我人が増えると毎日のトレーニングの質にも影響を及ぼす。さらには指揮官のビラノバが病気治療のために2ヶ月も不在となれば、レベルの維持はより難しくなりましょう。いつもは一度フォームの落ちる1月に、「ティトのために勝利を!」と張り切りすぎたかもしれません。

 

解決策はある?

では2年目となるティト・ビラノバ率いるテクニカルチームが、来季はどう諸問題を解決していくべきか。やはり基本のキは、怪我人を抱えることなくシーズンを開始することです。そして出場時間を調整・配分していくことも重要となるでしょう。トーレスさんは代表戦にも踏み込み、バルサ選手の招集の回数を減らしてもらうべき(特にスペイン代表)としています。連盟とある種の協定を結ぶことは可能だと。

そして選手補強も必要だけれど、半端な選手では効果はなく、レギュラーの座をガツガツ狙うだけのメンタリティと才能や適正を備えていなければならない。そういう選手がくることで自ずと競争力は上がりますし、レギュラーと控えの差も縮まりましょう。その点においては、チアゴ・シルバにこだわるティトの意図は正しいです。

まとめとしましては、ティト・ビラノバが健康に不安を抱えることなくロッカールームを一つにまとめ、2年目ということで宣言どおりに「今年と違うこと」をしつつ、コンパクトにしたチームで各人の出場時間を上手に調整し、シーズン終盤でガス欠にならないチーム運営をすることでしょうか。シーズン中盤あたりに手堅くいきすぎた采配を、もう少し大胆にしてもいいと思います。クレの不安を、いい意味で裏切ってくれれば!

 

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