より多くの出番を求めて、新天地での挑戦を選ぶか。
数週間前に違約金が1,800万ユーロだと広く報じられて以降、今後の動向が注目を集めているチアゴ・アルカンタラ。当初は残留を楽観視する向きも多かったのですが、ここへきてじわじわと、退団の可能性が濃厚ではないかとの見解が強まってきています。
18日付のSPORT紙の表紙はずばり、”チアゴは出て行きたがっている”。
成長し、かつ来年に控えたムンディアル・ブラジル大会にてラ・ロハのメンバーとして臨むためには出場時間が必要で、そのためにはバルサよりも継続して出番のあるチームへ行かなければならない、というのが移籍を求める理由のようです。
ティトの説得は実らず
バルサのカンテラで育ったチアゴにとって、一番の道はもちろんカンプノウでの成功でしょう。
ティト・ビラノバが自分を信頼していて、今季よりも出番が増えるのならば問題はない。ということでセントロカンピスタはU-21ユーロ(本日決勝戦)の合宿へと向かう前、指揮官と”さし”で話し合ったそうです。記事によると、面談はこんな感じとなっています。
チーム内でより重要な役割を与えられてこそ成長することが可能だと考えるチアゴは、その思いをティトへと伝えました。しかしながら、それに対するミスターの答えは選手の希望を満たすものではなかった。
ミスターが兄アルカンタラに伝えたのは、彼がバルサの未来を担う選手と期待しているけれど、現チームには彼よりも経験と実績に優れた選手がいることです。
つまりは現段階ではまだ、大一番においてはチャビやイニエスタが優先されるわけで、怪我人などの諸事情によってチャンスは回ってくるだろうけれども、今季よりも大きく出番が増えるわけでもないということになります。
けれどもチアゴは、自分は今もう一歩前へと進む時期にきていて、責任を引き受ける立場になりたいと考えている。そうすることで持てる才能を爆発させ、父の母国であり家族のルーツであるブラジル開催の2014年ムンディアルに出場する夢を果たしたいわけです。次がブラジルでなかったら、話も違ってたでしょうに。
そして都合良くといいますか、ちょうど今、自分の違約金は1,800万ユーロへと下がっていて、プレミアリーグのビッグクラブから甘い誘いの声が聞こえてきている。
どうやらユナイテッドやバイエルン・ミュンヘンは本気でチアゴを狙っているようですし、選手がOKを出せば、たった1,800万ユーロぽっちでバルサは逸材を失うことになってしまいます。同じU-21のイスコが2,100~3,000万だっていうのに!競合があるのに、オークションにも掛けられないこの残念さ。
無論、これからクラブによる説得があり、それによってチアゴがバルサ残留を選ぶかもしれませんし、そもそもメディアが報じている退団希望が作り話かもしれないのですが、以前からビッグな選手となることを目標としていた彼がすでに結論を出しているのであれば、翻意は難しいでしょう。
夢のために挑戦したい気持ちは理解できますし、残留を望まない選手は出て行くのが幸せだとして、問題はやはり違約金の件。スビサレッタからティトに”60%条項”が伝わっていなかったなら、勿体無さすぎるウッカリであります。ペップなら説得できたかも、、、と思うのも不毛でむなし。
セルジ・ロベルトにはチャンス到来
そんなこんなで、もしチアゴ・アルカンタラがカンプノウではないどこか別の場所を選んだ場合、来季トップチームでよりチャンスを得るのがセルジ・ロベルトです。
兄アルカンタラより1つ年下の21歳にして、すでにフィリアルで4年間プレー。契約によって来季は自動的にトップチーム所属となる若きキラキラ星なんですが、各メディアの報道によると、ティト・ビラノバは彼を戦力としてカウントすると決めたようで。チアゴの去就にかかわらずチームに残る模様のロベルトとはいえ、ライバルが減ったほうが出番が増えるのもまた確かです。
19歳で事実上トップチームの一員となっていたチアゴとは異なり、これまではさほどお呼びのかからなかったセルジ・ロベルトですが、彼もまた、バルサで成功する才能を持っていると将来を期待されてきた逸材の一人です。
下部カテゴリーのあらゆる監督たちが太鼓判を押してきた彼が、トップチームにさっさと上がれなかったのは、中盤のオーバーブッキングゆえ。他のクラブであればすでに、一軍のメンバーになっていたでしょう。
セルジ・ロベルトは左右のどちらでもこなせるインテリオールです。ちょこまかと動き回り、頭も良く、テクニックに優れ、お姉さんたちに「かわいい!」と愛されそうなルックスながら強いフィジカルも備えている。ゴールに絡んだプレーを得意とし、エリアへの飛び出しも武器の一つです。
そんなロベルトをティトは、他の誰にもない特徴を持った選手と見て戦力と判断しました。とはいえチアゴ同様、今はまだガマンの時期になりますが、カタルーニャ人であるロベルトはアルカンタラ兄弟よりもカンプノウでの成功にこだわると思います。
フィジカルなチーム対策にソング活用
また、こちらもチアゴの去就がどうあれ、来季はアレックス・ソングのインテリオールでのプレーが多く見られることにもなりそうです。
5日ほど前のMUNDO DEPORTIVO紙によりますと、テクニコはソングのバルサ初年度を高く評価していて、セルヒオ・ブスケツが君臨するピボーテだけではなく、かつてのケイタのような起用法も検討しているとか。つまりはフエラでのフィジカル勝負となった場合、ソングのマッスルパワーを有効活用するアイディアです。
これは期待できそうなので、トライしてほしい案であります。
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