メンフィスのゴラッソで黒星から免れる。
全体を通して、アスレティックに押し込まれたバルセロナ。
負けそうだった試合を引き分けさせたメンフィスの価値ある一発。
ポストメッシ時代を始めたばかりのバルセロナに、サン・マメスでの試験はキツい。前半は特にアスレティックの圧力によって機能不全を起こし、防戦一方だったバルサ。後半は選手交代を機にリズムを取り戻し、メンフィスの豪快な一撃によってどうにか引き分けに持ち込んだ。初黒星を回避できたことが収穫だった試合。終了前にはデ・ヨングとメンフィスの決定機があったが、もし勝っていたら出来すぎだったとは思う。
試合のポイント
●試合は全体を通してアスレティック・クルブの狙い通りに進んだ。マルセリーノ監督は今回、空中戦よりもスピードと統制の取れた激しいプレッシングによってバルサを封じることを選択。これが当たり、特に前半はバルサにシュートすら打たせていない。序盤のクーマンチームは中盤の距離感がいまいちで、パスも不正確。6分に手にした決定機も、ブライスウェイトが吹かしてしまい活かせなかった。これは決まったと思ったのにな。
●その決定機以降、バルサは塩っぱいフットボールを繰り広げていく。アスレティックの仕掛けるリズムについていけず、失敗失敗失敗の連続。ネトとエリクの連携もいまひとつで、イニャキの突撃に四苦八苦していた。ネトからイニャキへの贈り物パスが生んだピンチは、フレンキーの懸命な戻りでどうにか凌ぐ。アスレティックにもう少し決定力があれば、早々にネットを揺らされていただろう。ネトはテル・ステーゲンが復帰目前につき、気負いすぎたか。30分にはピケが負傷交代で雲行きはより怪しくなった。
●しかしアスレティックに疲れが見えた前半終了前、バルサはセットプレーから得点に近づく。ゴール前の乱戦の中で、決まったアラウホのチレーナ。しかし直前のブライスウェイトのファールがあったとして主審はこの得点を認めず、試合は0-0のままハーフタイムを迎えている。
●後半に入ってもアスレティックの勢いは衰えず、イニャキはエリックを苦しめ続けた。ベレンゲルによるいきなりの超決定機は、アラウホが辛うじて滑り込み先制を阻止したが・・・ 奇跡的なクリアがそう何度も可能なわけじゃない。50分にはついにCKからイニゴ・マルティネスにヘッド弾を決められ、1点を追う立場となった。だが以後もバスクチームの攻勢は続き、2-0にならずに済んで良かったといえよう。1点で満足せず、トドメを刺しに来たアスレティックの勝つ気。
●ゲームが終盤に入ると、バルサはいくぶんペースを握れるようになっていった。最後の20分間はデ・ヨングの存在感が素晴らしく、途中出場セルジ・ロベルトが入ったことで中盤の距離感が改善された。これに加えてアスレティックの疲労も。75分、セルジ・ロベルトのパスを受けたメンフィスが豪快な一撃を放ち、若きGKアギレサバラを攻略する。バルサを黒星の危機から救い出したクラック。9番は85分にも決定機を手にしたが(フレンキーの絶妙パス)ここでのシュートは惜しくも枠を捉えていない。最後まで苦しんだ試合だった。
●試合のほぼ最後、ニコ・ウィリアムスの決定機をファールによって妨害したことでエリク・ガルシアが退場となる。自らの失敗が招いたピンチを、レッドカード覚悟で止めたセントラル。よくある言い回しではあるが、これも彼には良い学びとなるだろう。苦しみながらも守備にビルドアップにと立ち向っていたエリク。休む間もない夏だったので、ここで1試合休むのも悪くなかろう。
トピックス
●メンフィス、クラックの一撃:豪快なる左足シュートによって、バルサに勝点1をもたらしたメンフィス・デパイ。これぞクラックだというゴラッソで、何故クーマンが彼の獲得に固執したのかが分かる一発だった。ここだとの場面で迷いなくシュートする決断力とニアを射貫く精度。頼りになりそうで心強い。
●13回もCKを与えてしまっては、そのうちの1つを得点されても不思議ではない。
La Liga | Jornada 2 | |
21 de Agosto 2021 – sabado 22:00 h San Mames :10,595 |
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Athletic Club | FC Barcelona |
1 | 1 |
Goles | |
Iñigo Martínez (50) | |
Memphis (75) | |
Titular | |
Agirrezabala | 【5】Neto |
Lekue | |
Vivian | 【5】Eric García |
Iñigo Martínez | |
Balenziaga | 【5】Jordi Alba |
Berenguer | 【5】Busquets |
Dani García | 【8】De Jong |
Vencedor | |
Muniain | 【4】Griezmann |
Iñaki Williams | |
Sancet | 【8】Memphis |
Cambios | |
Vencedor |
Piqué |
Sancet |
Pedri |
Muniain |
Braithwaite |
Dani García |
Dest |
Berenguer |
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Entrenadores | |
Marcelino García | 【5】Ronald Koeman |
Arbitro | |
Juan Martínez Munuera (valenciano) | |
Tarjetas | |
Iñigo Martínez (20) | |
Eric (28) | |
Jordi Alba (76) | |
Eric (90+3TR) | |
名前の次の数字は評価点:平均点【5】 |
Estadisticas | ||||||
1a | 2a | Total | Total | 2a | 1a | |
0 | 1 | 1 |
Goles |
1 | 1 | 0 |
8 | 8 | 16 (7) |
Tiros (a puerta) |
9 (3) | 6 | 3 |
2 | 3 | 5 |
Ocasiones de Gol |
4 | 3 | 1 |
7 | 6 | 13 |
Corners |
2 | 2 | |
2 | 1 | 3 |
Fueras de juegos |
2 | 1 | 1 |
269 |
pases |
589 | ||||
37.5% | 28.0% | 32.8% | Posesion del Balon | 67.2% | 72.0% | 62.5% |
70 | 59 | 129 | perdidas de balon | 125 | 59 | 66 |
24 | 27 | 51 | recuperaciones de balon | 48 | 24 | 24 |
6 | 9 | 15 |
Faltas |
10 | 4 | 6 |
1 | 0 | 1 |
Tarjetas Amarillas |
2 | 1 | 1 |
0 | 0 | 0 |
Tarjetas Rojas |
1 | 1 | 0 |
Formación | |
テル・ステーゲン、デンベレ、アンス、ミンゲサ、アグエロが負傷中。ピアニッチ、ウンティティ、コウチーニョ、コリャドが監督判断で招集外。 アラウホ、リキ・プッチ、マナイ、ラングレ、セルジ・ロベルト、エメルソン・ローヤル、イニャキ・ペーニャ、デミル、ニコ、ガビ、バルデ、アルナウ・テナスがベンチスタート。 前節と同じ招集メンバー、同じ先発イレブン。メンフィスは左に流れる。グリーズマンは少し低い位置。前半の攻撃はほとんどが左サイドから展開された。 最初の交代はアクシデントによる。前半30分、ピケがふくらはぎを傷め、アラウホと交代。エリクが左へと移動した。 |
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Titular | Final |
2021年8月22日(日)、アスレティック・クルブ戦翌日のバルセロナスポーツ紙です。
MD「救出」
- ■救出
- → オランダ人がバルサの同点弾をマーク。インテンシティ高いアスレティックに苦しみ、盛り返したバルサ
- → ピケが負傷交代、エリクはレッドカード。そしてデミルがバルサでの公式戦デビューを飾る
SPORT「メンフィスが救う」
- ■メンフィスが救う
- → オランダ人アタッカーがその資質を示すゴラッソを決め、サンマメスでどうにか勝点1を守った
- → クーマンバルサは内容が良くなく、アスレティックの窒息プレッシングによって圧倒された
コメント
前節と全く同じ4-3-3。
しかしビルバオマルセリーニョ監督の4-4-2プレスは、熟成が進んでいました。
前節と同じように、ネトが軽くロングボールを蹴ってハイプレスを躱すかと思ったのですが、今回はじっくりボールを回す選択をしたバルサ。
しかし、ネトはテアシュテーゲンではなかった。
ハイプレスをかわす為にバックパスを多用する最後尾は、普段は手を使うGKが故に、それほどパスが上手くないのが普通です。
バルサのGKは特に足元が上手い選手が選ばれますし、ネトもそこそこだと思いますが、ビルバオのプレスの激しさの前にはそこそこでは足りなかった。
31分にピケが怪我でピッチを退くと共に、ネトは前線へのロングボールをようやく使い始めました。
それでもクーマンの指示なのかチームの意思なのか、後ろでのボール回しは捨てず、ピンチを連発してギリギリの守備をしながらも、ボールを回します。
前節でも書きましたが、確かにGKから前線へのロングパスを多用するのはバルサらしくなく、批判も出るでしょう。
しかし今は、ハイプレスをかわす為に、ロングパスからのデパイのポストプレーを使うべきだと思うんですよね。
相手が前線に人数を使ってきた時限定で、ロングボールを使うようにすれば、近年ずっと苦しんできた、前線からの鬼プレス対策にもなります。
今までのバルサはハイボールを競れるポストプレーヤーが、ハイボールにはそれほど強くないですが相手を背負えるスアレスくらいしかいませんでしたが、今はデパイにブライスも居るのですから、その武器は使うべきだと思います。
前線プレスの相手に対し、ロングボール競りからこぼれ球勝負前提の陣形で対処すれば、相手より優位に中盤を支配できるでしょう。
ポゼッションはそこからでも構わないのですが、バルサとしてのプライドがある限り、そこまで踏み切れないか。
ハイプレス相手に、ゴールライン付近からパスのみでじわじわ進んでいくという、こだわりを感じます。
でも、バルサで拘るべきポゼッションサッカーって、こんな低い位置からのボール保持を強制されるような物なのでしょうかね。
まあそれでも、流石バルサというパス回しで突破する事もありましたが、今のデパイ任せの攻撃陣では有効な攻撃が出づらい。
結果、シュート数とCK数で圧倒される、苦しい試合になりました。
テアが戻れば、俯瞰に近い視野で前線への味方へのピンポイントパスをがんがん通してくれるので、楽になるでしょう。
攻撃は苦しいですが、グリーズマンは相変わらずとしても、デパイは期待通りの活躍をしてくれそうです。
後はファティ、デンベレ、コウチ?辺りが戻って崩し役の一端を担い、デパイと連携してくれれば多少は楽になると思います。
この試合を見て、バルサはやはり前線からのプレスに苦しむぞ、という印象を持った監督は多いでしょう。
前線プレスを戦術とするチームは、積極的にやってくると思います。
一方で、引いて守ってカウンターという、バルサ相手のお決まりの布陣をしてくる下位チームも消える事はない。
どう切り替えて戦っていくべきか、クーマンの手腕に期待…せずに見ようと思います。
いつ何時でもサン・マメスは厳しいスタジアムですね。今回は負けていてもおかしくないスコアでした。
イニャキ・ウィリアムズの縦スピードはかなりの脅威で両セントラルがかなり苦しむ相手でした。 これでかなり苦戦するのですから、スピードのあるアタッカーには今後も手を焼きそうです…
Piqueの負傷は痛いですが(泣)、それでもAraujoがかなり頼れるのは嬉しいことです。 Ericも次節欠場なので、ここはLengretの出番ですかね?
今回はS.Robertoの投入は当たりだったと思います。中盤でのプレッシングが強化されてチームに勢いがつきました。 疲労気味のPedriはとりあえずEric共々しっかり休んで欲しいです。
攻撃面はMemphisの一撃で何とかなりましたが、もう1人くらい欲しいところ…
退団しないのであればCoutinhoの可能性もありますが、個人的にはこのゲームでデビューしたDemirがフィットしてくると嬉しいですね!!(願望ですが…)