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“無観客試合は、なまぬるい決断”

クラブ以上の存在なら、カタルーニャに寄り添うべきだったと

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スペインからの独立の是非を問うたカタルーニャ州住民投票の影響で、観客を入れずに行われたFCバルセロナ対ラス・パルマス戦。その試合を延期するのか、クラブが決めたように無観客で実施するのかの選択は、部外者が考える以上に困難だったでしょう。誰もが納得する決断はなく、なんであれ火種は残る。ただし無観客試合は地元カタルーニャの人々にとっては自尊心において受け入れにくい決定だったようです。

“行うべきではなかった試合”

カタルーニャの事情も分かるけれども、試合をしないことでラ・リーガから勝点6を剥奪されるよりは、無観客でも試合をした方が良かっただろう。だからこの決断はやむを得ない。選手たちも試合を望んでたのであれば、尚のこと問題ない―。この日曜日のラス・パルマス戦は、部外者のバルセロニスタとしては、いやあ異例の試合だったねという程度の感想です。

しかし翌日のSPORT紙はストレートに「」という大見出しを付け、「決して開催するべきではなかった試合」とクラブ理事会の決断を厳しく批判しています。その理由はカタランとしての自尊心・誇り。国家警察・治安警察の暴力によって700人以上の負傷者が出ているのに、その決断はぬるすぎる、と試合翌日の同紙は怒りをあらわにしています。

クラブの理事たちには家族や友人たちはいないのか?この日曜日にカタルーニャ各地で起こったことを見なかったのか?このクラブの歴史を忘れたのかと。

板挟みのクラブ理事会

ラス・パルマス戦を行うか、それとも延期するか。バルサにはあらゆる方面からの圧力が掛けられていました。カタルーニャ政府、それにカタルーニャ国民会議(ANC)やOMNIUMなどの民間団体は延期をバルサに要求した一方、ロッカールームはプレーすることを希望。試合を延期すれば勝点6を剥奪するというラ・リーガの脅しが、選手たちには効いていたでしょう。

モッソス(カタルーニャ州警察)から警備上危険である、との報告書がくれば各方面を説得できたでしょうが、クラブが求めた書類は結局モッソスから届かず。州警察はむしろラス・パルマスや審判団に対し、試合開催は可能と請け負っていたようですから、クラブとしてはきっとこの野郎ってなものでしょう。選手たちは観客を入れてプレーすることを望んでいたとMD紙は述べています。

そこでクラブは折衷案として、観客を入れずに試合を行い、外に向けては国家警察による暴力を非難する声明文を発することで折り合いを付けることにしましたが、これが地元カタルーニャの人々には受けが悪かった。メディアでは「バルサのスローガン mes que un club (クラブ以上の存在)は死んだ」との意見も見られます。妻を優先して守るべきところで姑の顔も立て、信頼をなくした夫、みたいな感じ・・・? 間違っていたらすみません。

選手たちの希望が優先された

※実は同じく10月1日の20時30分から開催される予定だったナスティック・タラゴナ対バルサBは、安全が確保できないことから延期となっています。こちらはモッソスが警備に当たれないことから、試合の審判が両チームのウォームアップ中に延期を決めたのだとか。下手に州警察の警備があったことから、延期にできなかったバルサとの差よ。

また、試合を自己都合で延期するというのなら、ラス・パルマス戦はバルサの不戦敗とし、かつ勝点3を剥奪する。更に重い罰を与える可能性もあるぞ、とラ・リーガに脅されたことで、バルトメウ理事会が重視したのはカタルーニャの市民感情よりも選手たちの希望だった点は興味深いです。

スポーツと政治がごちゃ混ぜになっていることに問題があるにせよ、究極の選択を迫られたバルトはカタランの誇りより選手たちの意見の方を優先したわけでして。チームの成果が理事会の存続につながるゆえに、自分たちの身を守るためにそうしたと捉えられてもまあ仕方はないでしょう。結果、カルラス・ビラッルビ副会長とジョルディ・モネス理事が理事会を辞任するという、別の危機が生じはしましたが。

勝点を剥奪されようとも、国家警察によって平和的に振る舞っていた市民の血が多数流されたこの日に、試合をするなんてカタルーニャの誇りはどうした、というのが現地の人々の思いです。SPORT曰く、「バルサは世界へと価値と自尊心を示す機会を失った」。そういう思いを知ると、たしかに、後の結果など知ったことかと試合を延期するのがバルサらしかったか、とも。いずれにせよ、部外者があれこれ言うには難しすぎる問題なんですが・・・。

 

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