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そしてクーマンは続投し:なぜラポルタの考えは急転換したのか

解任確実と見られていたオランダ人監督への支持を、突然表明した会長
その要因は一つではなく、いくつかの事情が組み合わさったと考えられる

アトレティコ戦の結果がどうであろうと解任確定と報じられていたロナルド・クーマンの続投が、FCバルセロナ会長ジョアン・ラポルタの口から発表されました。よもやよもやの大どんでん返し。フットボールの世界は何があるやら分かりません。会長が強調した信頼は俄かに信じられないとして、当面は生き残ることが決まったオランダ人監督。その急転換の背後にあるものとは。

「クーマンを信頼している」

ロナルド・クーマン続投がジョアン・ラポルタから明かされたのは、アトレティコ・デ・マドリー戦を数時間後に控えた10月02日(土)午後のことです。
バルサ会長はこの日、アトレティコ幹部との昼食会のために訪れたマドリー市中心部のレストラン Taberna Capitán Alatriste で報道陣に取り囲まれると報じられているような試合後のクーマン解任はないと断言。監督を信頼していると述べています。

「クーマンと話をしたよ。彼は私に、負傷している選手たちが回復した時にチームは競っていけるようになると請け負ったんだ。私は彼を信用しているし、彼は監督として続けていくことになる。忍耐が必要だ」

「クーマンはすばらしいバルセロニスタであり、バルセロニズモのリファレンスだ。彼は非常に難しい社会・スポーツ環境の中でチームを引き受けた。希望を抱かせるプレーを私たちが再び見られることを、彼は確信している

「クーマンは私を説得する必要はなかったよ。熟考の後、私たちは彼を信頼するべきだと思っていた。私たちは今朝、その会話をしたんだ。彼からはチームへの自信が伝わってきた」

突然の、公の場での監督支持。いったい何があったんでしょうか。

2回の話し合い

その前日(金曜)、バルサ系メディアは揃ってクーマン解任は決定的だと報じていました。そう伝えたのは彼らには確信があったからです。
SPORTの説明によると、報道陣は木曜日、カンプノウ内ローマの間で催されたアルド・ロビラ賞授与式典に集まっていました。そこでのラポルタは前夜のベンフィカ戦におけるクマさんの決定(3セントラル、ガビとニコがベンチ)と敗北に非常に腹を立てていたそうで、その場に居合わせた記者たちは誰もが“アトレティコ戦がクーマンの最後の指揮になるとの結論に達したわけです。
さらに会長の側近たちは、10月17日に開催されるソシオ総会のためにバルサは新監督を手にするだろうと語っていたらしく・・・ そりゃあクーマンは最後だと報じられます(情報漏れまくり)。

しかし。各メディアがクーマン解任に向けた記事を用意していたであろう金曜夜、ラポルタクーマンに電話をかけ、今のチーム状況についてじっくりと話し合ったそうです。
解任を伝える電話、もしくはそれに近い電話だろうと思って出てみたら、そんな風でもない。これにはクマさんも戸惑ったことでしょう。そして翌朝(土曜)マドリー遠征に向かう前のシウタット・エスポルティーバで2人は会い、ここで続投を伝えられたか。
ラポルタから理事会メンバーにWhatAppアプリ経由で監督続投が伝えられたのはその後だとSPORTは書いています。

続投へと方向転換した理由は

ラポルタクーマンに関する考えを大きく転換させたことには、もちろんいくつもの要因があるでしょう。監督を信頼しているからだと言われても「そうなんですね!」とはうなづけません。

一番に思い浮かぶのは、クーマンを切ったところで後任に適した監督がいないことです。候補者として名前が挙がったテクニコたちは次々に扉を閉し、ラポルタには打つ手がなくなった。これは年末になれば少々状況が変わりますから、それまではクマさんに託して様子を見よう・・・と考えたかもしれません。

クーマンが繰り返し主張している、怪我人が戻ってくることでフットボールが改善される可能性も会長は考慮したでしょう。クーマンも言うように新監督が来てもスカッドは1月までは今のままで、根本的には変わらない。この時期に他リーグから一筋縄ではいかないバルサなるクラブを知らない人を連れてくるより、クーマンを支える方が実りがあるやもしれないですよね。

あとは、、クーマンであればラポルタを守る盾になってくれる。火の粉から身を守る傘になってくれる。理事会からの援助がなく、孤立無援の印象がついたウェンブリーの英雄を敬意なく切る会長、との評も避けられます。これはおまけでしょうけど。

17日、ソシオ総会

そしてそして、今月17日(2週間後)に控えているソシオ総会
FCバルセロナにおける最重要行事であるここに全神経を集中させ、準備を整えていくことをラポルタは望んだでしょう。欲しい監督を連れてくることができないのであれば、クーマンへの支持を表明して周辺を落ち着かせることがとりあえずは賢明との判断です。
首位マドリーが負けてくれたこと(ペリコよくやった)と、FIFAウィークが明ける頃にはアルバぺドリ、さらにデンベレが戻ってくるであろうこと、アンスの状態もさらに上がっているであろうことから、希望を持てる要素はある。しばらくは前を向いていけるでしょう。

もし、あまり考えたくはないですが、そのソシオ総会当日のバレンシア戦から始まるカンプノウ3連戦(20日のディナモ・デ・キエフ戦、24日のレアル・マドリー戦)でもしょっぱいフットボールが繰り広げられてしまった場合、ラポルタクーマンへの信頼は終了となるかもしれませんが、、これはやってみないと分からない。様子を見てみることにしましょう。

コメント

  1. トム より:

    代えたくても、後任がいなくては意味がないですしね。
    1年やってた経験があり、契約解除金に大金が必要な以上、クーマンで行くしかないとなるのも仕方ないでしょう。

    しかし、ピッチ上では様々な問題が見え隠れしています。
    記者に向かって、4バックだけではダメなのが分かっただろうと言ったようですが、これは明らかにラポルタに向けてのメッセージです。
    この試合ではアトレティコが2トップで来た以上、3バックで挑むべきでしたが、クーマンがそういう戦術上の駆け引きの話をしてるとは思えませんでした。
    つまり、ラポルタとの主導権争いという政治上の問題をピッチに持ち込んで戦術争いを捨て、とりあえず3バックにしとけばどんな相手にも対処できるんだと言いたいが為に、4バックにして選手を苦しめたという事になります。
    これはピッチ上の選手にとってはたまったもんじゃないでしょう。

    そして最大の問題である攻撃力の欠如は、全て選手がいないせいにしていますね。
    また戦術上役割がはっきりしていないニコが、バルサDFとアトレFWが同数な所に上下動を繰り返すルマルに付いて行けなかった事についても、懲罰のような交代をした上でニコの判断ミスとして非難を口にして、選手側の顰蹙を買っているようです。
    また優勝争いは無理と断言したクーマンに対しても、ピケは反発していましたね。
    ピケの「3時間やっても点取れない」発言も、かなりのフラストレーションを伺わせますし、それがどの方向に向くかといえば…。
    今や選手の代表と言っても良いピケに反発されたら、クーマンもどうにもならないでしょう。

    とりあえず経済上の問題と候補がいない問題が解決せず、クーマンは続投になりました。
    しかし最近の試合で、戦術上の明らかな問題を何も解決できず選手に責任をかぶせているクーマンに対し、選手側が反発しそうな雰囲気があります。
    とりあえずクーマン政権は延命されましたが、どうにも先は短い気がするので、後任候補探しは続けておくべきでしょうね。

    日本でちょろっと名前が上がった、リージョというのが割と良いんじゃないかとちょっと思ったんですが、無いか。

  2. makoto より:

    今のチームで一番大事なのは、きちんと幅をとることとしっかりボールをキープしてまわすこと、そして最後にサイドで勝負することです。中途半端なところで仕掛けてカウンター食らうのがここのところの流れなのは明らか
    ルークは組み立てに関与できないし、デパイ、コウチーニョは球離れが悪くて、チームがノッキングを起こす感じになる。見ている限りでは、リキが入るとブスケツやフレンキーからショートパスがが入ってリズムはよくなると思うし使わない理由は、クーマンが個人的に嫌いなだけなのではないかと思う
    自分なら、デパイは左サイドのアタッキングサードになるまでは無理な仕掛けをしないようにして、逆サイドは自分で勝負できるBチームの若手でもいいかも。
    ペドリとかリキのゼロトップで試合を作って終盤ルークはありでしょう