かつては欧州を驚かせたバスクチーム。
2012/13シーズンのコパの組合せ抽選会が木曜日、RFEF(スペインフットボル連盟)本部にて行われ、決勝戦(5月18日)までのトーナメント表が完成しました。それによりますと、FCバルセロナが1/16ファイナルで対戦するのはデポルティーボ・アラベス。なんとも懐かしいところと当たったものです。
アラベスは今季、セグンダB(上から3つめのカテゴリ)でプレーをしています。現在はグループ2で6勝2敗、勝点18で首位を快走中。エリートカテゴリ復活を目指し、まずは順調な滑り出しというところでしょう。
今はそんなふうに、田舎町の小さなクラブとなっているアラベスですが、リーガのちょっと前を知るファンであれば、彼らが2000/01シーズンにUEFAカップの決勝戦をプレーしたことを覚えているんじゃないでしょうか。マネ監督に率いられたアラベスは、ローゼンボリ、インテル・ミラノ、ラージョ、カイザースラウテルンらを次々と撃破し、なんとヨーロッパ戦の決勝進出。壮絶な打ち合いの末に、オーウェン、ジェラード、ファウラー、バッベルらを擁したリバポーに5-4で敗れるわけです。
(ジョルディ・クライフの劇的同点弾で延長戦にもつれ込みながらも、デルフィ・ジェリのオウンゴールによるゴールデンゴール負け。リバポーファンからも盛大な拍手が送られる)
アラベスの喜び
コパの1/16ファイナルはプリメーラの上位クラブにとっては些細な通過点に過ぎませんが、ここまで勝ち上がってきたセグンダBのチームにとっては、プリメーラのクラブと対戦し、一発サプライズを起こす大チャンスとなります。なのでテレビ中継を見ながら、レアル・マドリーやバレンシアと当たったと知った各クラブの選手たちは「マヂかよ!?」と言いながらも嬉しそう。バルサとの対戦が決まったアラベスにも同様のことが言えます。
アラベスの会長アベリノ・キンコセスさんは、今回の抽選結果が「大満足」だと語っています。「世界最高のチームがここを訪れてプレーするというのは、良い知らせにあまり慣れていない私たちのファンにとって最高のニュースです。良い風が何一つ吹かないときも、ファンはクラブに忠実でいてくれた。私たちは監督やこの若いチームに拍手を送らねばなりません。彼らは今シーズンとても良いスタートを切り、その仕事が成果をもたらしているのです」
現在アラベスを率いているのは、ジョアン・ガスパーが会長を務めるサン・アンドレウで監督だったこともある、ナチョ・ゴンサレスさんです。彼もまた、旧知の仲であるティト・ビラノバ率いるバルサと対戦できる喜びをこう表しました。「私が思うところの世界最高のチームと、私たちが当たるのは良い知らせだよ。カンプノウのベンチに座るのが楽しみだし、アミーゴのティトとは抱擁を交わすのも楽しみだ。私たちはこの試合を楽しんでいくし、世界最高のチームに一泡吹かせられるか見てみたいと思う。ほとんど不可能だとしても、フットボルではどんなことも起こりえるんだ。メンディソローサが満員に埋まることを期待してるよ」
セルヒオ・アジャラ
ちなみに、アラベスには今、FCバルセロナのカンテラっ子であるセルヒオ・アジャラがレンタル移籍中です。レンタルといっても、無事バルセロナへと帰れる保証はない。なのでこれは彼にとって、バルサへと”生還”するためのアピールの場となるかもしれません。若きアジャラはバルサとの対戦について、こう抱負を語っています。「僕の力を示すチャンスだね。それにバルサに(8歳で)入団してから、カンプノウでプレーするのが夢だったんだ。バルサのユニフォームを着てプレーできるかと思っていたけど、アラベスでその夢が叶うとしても、それは誇らしいことだよ」
足首を痛めているというセントラルは、抽選をテレビで見ていたそうです。「チームメイトたちは遠征に出ているから、抽選の瞬間はあまり話せてないんだ。グランデとやりたかったし、何人かのツイートで分かるように、結果にはみんな満足してるよ」
アジャラが明かすところによりますと、アラベスとしてはバルサよりもレアル・マドリーを希望していたのだとか。その理由は、「バルサの方がたくさん走らされるだろうから」。「可能性は低いと分かっているけど、ファンのサポートを受けるカサでベストの結果を出せるようにしたい。メンディソローサはプリメーラのスタジアムなんだ。ここで最初に試合を見た日、僕はすっかり魅了されたよ。スタジアムが好いだけじゃなく、ファンの後押しもすごいんだ。彼ら(バルサ)も驚くことだろうと思う」
実はセルヒオ・アジャラはまだ、アラベスでの公式戦デビューを飾っていません。足首を痛めてしまったのがその理由です。しかし「もう痛みはないし、チーム練習にも参加してる。あとはフォームを上げていくだけなんだ」。さて今回のコパでのバルサ戦で、彼に出番はあるのか。スエルテ、アジャラ!
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