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クライフ追悼セレモニー

偉大な天才の死を悼むバルセロニズモ。

巨星ヨハン・クライフの死がバルセロニズモに与えた衝撃は非常に大きなものでした。先週木曜日(13日)の訃報以降は、ちょうど代表戦ウィークだったこともあり、感覚としてはバルサ系メディアで報じられる記事の半分はクライフ関連といったところ。極東のクレなど足元にも及ばないほどに、現地のバルサ社会における御大の存在が巨大だったと伝わってきます。土曜日に迫ったマドリー戦でも、クライフ追悼のためのセレモニーが各種行われる予定となっています。

60,525人が御大に別れ

ヨハン・クライフの死を受け、FCバルセロナは3月26日(土)午前10時から29日(火)21時にかけての4日間、カンプノウの正面玄関内に追悼スペースを設けていました。

このメモリアルスペースにはカタルーニャ州首相カルラス・プッチダモン氏や元首相アルトゥル・マス氏、元バルセロナ市長ジョルディ・トリアス氏を始めとする主要政治家さんたちや、カタルーニャフットボル連盟会長アンドレウ・スビエス氏、レアル・マドリーのフロレンティノ・ペレス会長、エミリオ・ブトラゲーニョ氏、ホルヘ・バルダーノ氏、エスパニョールのコンスタンティン・ガルカ監督、元イタリア代表ジャンカルロ・アントニョーニといったフットボル界の著名人たちが訪れ、偉大なる御大の死を悼んでいます。バルサ関係では、参ずることの出来る有名人は大体訪れました。

また、VIPたちだけでなくソシオやファンも多数この追悼スペースを訪問。初日には15,158人、日曜日は16,116人、月曜日は13,348人、そして最終日は15,903人(合計60,525人)が追悼帳にメッセージを残すとともに、御大に花やフラッグ、チュッパチャプスなどをたむけました。クライフの偉大さを示す数字です。

ルイス・エンリケ「クライフが残した遺産は引き継がれていく」

バルサ選手たちでは、月曜日にバルセロナBジェラール・ロペス監督)とフベニールAガブリ監督)、フェメニノ(女子チーム。チャビ・ジョレンス監督)、バスケットボールチームホッケーチームが、火曜日にルーチョチームやその他カンテラチームが追悼スペースを訪れ、クライフへと祈りを捧げています。トレーニング終了後にこのスペースを訪れたトップチーム。カジュアルな装いながらも黒に身を包んだ選手たちが追悼帳に言葉を記し、黙祷を捧げた後、チームを代表してルイス・エンリケが次のようにクライフについて語りました。

「玄関のクライフの写真を見ると、心にグッとくるものがあります。彼は畏敬の念を抱かせる人物でしたし、彼の写真を見ると、そういう気持ちになるんです。クライフを語るのは、フットボルを語るのと同じです。まず第一に彼はフットボル史上最高の選手の一人であり、監督としては他とは違う方法でフットボルを見ていました。彼はスペクタクルなフットボルと結果、タイトルを両立させた監督でした」

「彼の死はフットボル界、なにより彼が所属していたチームやバルサにとって大きな喪失です。けれども彼は私たちにすばらしい遺産を残してくれましたし、その遺産はこれからも引き継がれていくことでしょう。彼の愛した攻撃的フットボルをこれからも私たちがコピーし、向上させていくことでしょう」

ジョルディ・クライフ「ヨハンは皆のもの」

4日間にわたって設けられたヨハン・クライフとの別れの場は、29日(火)、息子ジョルディ・クライフの記者会見とFCバルセロナの広報ジョゼップ・ビベスによる会見で締めくくられました。午後2時過ぎ、カンプノウ内にある記者会見室リカル・マシェンクスにクライフ家代表として姿を見せたジョルディが強調したのは、周囲への感謝の言葉でした。

「この大きな悲しみに際し、私は感謝の言葉を伝えたいと思っていました。皆さんの大きな愛情と敬意に接したことで、私の母、姉妹たち、そして全ての親族の名においての感謝を述べたいと思ったのです。父はごく内々なものとすることを望んでいましたが、私たち家族の考えは、ヨハンは私たちだけのものではなく、多少は皆さんのものでもあるというものでした。そういう理由から、私たちは当初考えていたよりも少しオープンになりました。全ては私の父を愛してくれた人々のためです」

「父と母に代わって、トラムリャス医師にも感謝の言葉を送ります。ドクターは私たち家族の友人であり、最後まですばらしい仕事をして下さった医療チームを選んでくれた人でもあります。思慮深く、またプロフェッショナルだったテクノン病院にもとても感謝しています。そして父の病気が明らかとなった日から(私たちのプライベートを)尊重してくれたマスコミのみなさんにも感謝します。99%のメディアは相応しい敬意を私たちに示してくれました。皆さんの愛情に家族は非常に感謝しています」

ジョルディがもう一つ強調したのは、バルサとの関係性です。「クラブの施設を利用できるようにし、家族に寄り添いながら、全ての行事を事前に私たちに確認し合意した上で進めたFCバルセロナに感謝します。クラブと私たちには通じ合う想いがあり、互いに敬意を持ち合っていました。この最後の数ヶ月間では、バルセロナとヨハン・クライフの抱擁もありました。父は多くのエネルギーと時間を財団と財団を必要としている子供たちに注いでいましたが、最後はクライフ財団バルサ財団そしてラ・カイシャ(銀行)社会事業部が合意に至った。これは父が人生で最後に交わしたサインだったわけですが、財団の存続を確約することから、特別な意味を持った署名でした。時間ぎりぎりの合意とはいえ父に大きな安らぎをもたらしましたし、これからは財団の子供たちのために、私たちが全力で働いていく所存です。彼はこの合意をとても誇らしげにしていました

そしてジョルディの感謝の言葉は最後まで尽きることはありませんでした。「世界中で行われました全ての追悼行為に感謝をします。これほどたくさんの場所や人々にとって父がインスピレーションを起こしたことは信じられませんし、彼がもういないと気付いたことは残念なことなのですが、私たち家族は人々のリアクションを非常に誇らしく思っています。特にバルサアヤックスオランダ代表に父は愛情を持っていましたので、そういった団体が同じ愛情を父へと示してくれるのを目撃するのは嬉しいことです」

クラシコでの追悼セレモニー内容

ということで長くなってきましたが、最後に土曜日のレアル・マドリー戦にて行われることになった追悼セレモニーについて取り上げておきます。この火曜日にはバルサ理事会による定例会議が行われてまして、以下の件が決定しました。

  • ■観戦に訪れたファンによって試合前、モザイクが描かれる。9万枚の用紙で描くメッセージは“Gràcies, Johan”(ありがとうヨハン。カタルーニャ語)。
  • バルサ選手たちの着用するユニフォームの胸にも“Gràcies, Johan”の文字。いつもは世界王者パッチが輝いている場所に付く。
  • ■両チームの選手たちと手をつないで入場する子供たちのTシャツにも“Gràcies, Johan”の文字。背中にはバルサ財団とクライフ財団のロゴ。
  • ■試合前に黙祷
  • ■パルコではFCバルセロナの8人の歴代存命会長が観戦する。アグスティ・モンタル、ラモン・カラスコ、ジョゼップ・ルイス・ヌニェス、ジョアン・ガスパール、エンリク・レイナ、ジョアン・ラポルタ、サンドロ・ロセイ、ジョゼップ・マリア・バルトメウ
  • ■スタジアムのスクリーンにてヨハン・クライフの記念ビデオを上映する。

クラブのジョゼップ・ビベス広報の説明によると、SPORT紙が報じていたような試合14分での特別な追悼行為は行われません。広報氏は言います。「もし14分にスタンドからなんらかの行為があるのなら、カンプノウで感情を表現することは自由です。これまでの歴史においてもそうでした。人々は大一番に臨むチームを応援するためにスタジアムを訪れるわけですが、クライフに敬意を表するためでもある。クラブはクラブとして敬意を表しますが、人々の行為は自由です」

また、ビベス広報によると、カンプノウにクライフの名を冠するかどうかなどはまだ未定だそうです。「その件についてはじっくりと考える時間が必要ですので、今回は話し合っていません。今は戦いの時ですし、今後時間をかけてそういった点を決定していく予定です」

 

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