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チャンピオンズと涙の別れ:ユベントス戦

二度目の逆転劇は起こらず、伊王者の堅守に完敗。

カンプノウの魔法も、イタリア王者ユベントスには効果を発揮しなかった。カンプノウで行われたチャンピオンズ1/4 finalブエルタは0-0のエンパテに終わり、PSG戦に続くレモンターダを目指したルーチョバルサの夢は実現することなく終了となりました。前日会見でのルイス・エンリケの言葉どおり、攻めに攻めたバルセロナでしたが、分厚いユーベの壁を個人突破中心で破るのは容易ではなく。わずかに作り出した隙間を突いてのシュートはことごとく枠を捉えず、意地の1点を奪うことも叶いませんでした。希望の光でカンプノウを沸かすこともできない完敗。エンリケ路線の終わりを告げる敗退といって差し支えないでしょう。

魔法を発動させるきっかけも与えられず

「もし1-0にすれば、2点目はカンプノウが決めるだろうし、3点目はひとりでに転がってくると確信している」と前日会見で言っていたルイス・エンリケ。これはなかなか良い台詞でしたが、ユベントスはまずそのカンプノウの魔法を発動させる1点目を決めさせてはくれませんでした。

逆転勝利に執念を燃やしたレオ・メッシネイマールがどれだけ白黒の壁に突破を試み、最初の関門を抜けることに成功しても、その後に即座に現れるまた別の壁。わずかな隙間を見付けてシュートを放とうとも、ぎりぎりまで阻止しようとするデフェンサ(キエッリーニ!)の寄せによってコースは限定され、枠内へと飛んだシュートはわずか1本ですから勝とうにも勝てません。カンプノウで奇跡が発現するきっかけすら与えない。老貴婦人の完全勝利でした。

後悔先に立たずですが、このイタリア王者を相手に大レモンターダが必要な状況にしてしまった、トリノでの残念なフットボルがつくづく勿体なく。今回カンプノウで見せたような気持ちの入ったプレーがユベントス・スタジアムでも出せていれば、少なくとも勝ち抜けに奇跡は必要としなかったでしょうから本当に悔やまれます。180分間のプランニングでも上回っていたのはユーベ。ああどうしてあんな3バックをルーチョはやってしまったか。

トリデンテがあまりにも強力だったが故に、バルサはバルサらしいフットボルを少しずつ失い、こういう単発的なフットボルしか出来ないチームとなっていました。ハートや気迫だけでユベントスに勝てるほどに、現実は甘くはなかったです。さらば、愛しきチャンピオンズ。また来季まで。

カンプノウとネイマールの涙

試合で特に印象に残ったのは二つ、チャンピオンズ敗退となるチームを温かく包み込んでいたカンプノウ(観客席全体をおおった壮観なる旗の舞い)と、試合終了後のネイマールの涙です。

カンプノウの声援については、試合終了後にピッチサイドインタビューに応じたジェラール・ピケが次のように語っています。「厳しい負けだけれど、今日のファンの歌は覚えておく価値があるね。チームが負けている時に、カンプノウがこんなふうになる光景を僕はほとんど見たことがない。とても誇らしく、そして感動してるよ」。たしかにあれは感動的な光景でした。

カンプノウに旗が舞ったのは、選手たちが出せるものを出したとクレが認めたからですし、自分があの場にいても同じように彼らを労ったことでしょう。が、これだけのクラックが揃ったチームが単騎突撃に勝機を見出すしかない状況はどうも悲しく。ファンの声援に満足して終わり、ではなにも解決せず、特にクラブはこれから適切な決断をしなければなりません。時間はかかりそうですが、再びバルサのDNAが溢れるスカッド作りをしていくしか、“完全復活”への道はないんじゃと思います。

ネイマールの涙は皆さんと同じで、この敗退の悔しさをバネに、彼がまた一段階段を上がると感じさせることで印象に残りました。涙の数だけ強くなれるといいますし、チャビプジョルもさんざん苦汁を舐めて、舐めるだけでなく飲んで、吐いてきたからこそ偉大な存在になれたということで、ネイセルジ・ロベルトや若い世代がこれを糧にしてくれることにより、数年後にはあれも意味を持ったと感じられるようになるでしょう。

でも日曜のクラシコにも負けるのはちょっと(だいぶ)イヤなので、根性出し尽くして大変だとは思いますが、エネルギーを再補充してどうにか白星を得られますように。

 

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