クラブ以外のメディアに初登場し、様々な質問に応じたアビさん
多くの見出しを提供したが、同時に議論も呼んでいる
現在、FCバルセロナの強化技術部でボスを務めているのがエリック・アビダルです。夏まではペップ・セグラなる上司がいましたが、今は彼が強化部門の責任者。そんなアビさんのインタビューが11月17日(日)のバルセロナスポーツ各紙に掲載されてまして、クラブに関する諸テーマについて見解を語っています。彼がクラブ公式以外のメディアで語るのは、現職に就いてからの17ヶ月で初めてのことです。
また来夏もメロドラマなのか
現役時代は大好きだったアビダルなので、セクレタリオ・テクニコとしても期待はしているのですが、クラブスタッフである今はもう語る言葉も当然、理事会の主流派に添ったものになり・・・
見て落胆したコメントもあり、2019年夏にうんざりするほどの長編メロドラマが繰り広げられたネイマール復帰に可能性を残したことはそのひとつです。こちら、MDでのコメントになります。
「ネイマールはトップ選手であり、バルサ哲学を持ち、ハイレベルな成果をあげている。常に一つの選択肢になるだろう。私たちはスポーツレベルでの決断を下せるけれど、財務上の問題には可能なものもあれば、そうでないものもある。未来が答えを出すだろう。ナンバーワンの選択肢になるとは言わないにせよ、明らかな選択肢とはなり得る」
明らかな選択肢・・・ ナンバーワン選択肢でないだけ朗報か。にしても、またあんなPSGがどうとか、マドリーがどうとか、資金の工面がどうとか長々とするんですか。SPORT紙では「私たちはネイマール獲得を決して切り捨てない」と言ってます。
契約内容を見直してまでネイを呼び戻したい“聖なる牛たち”(チームの重鎮たち)の希望に気を遣うバルトメウの、その意図を汲んでの強化技術部長としての発言でしょうけど、現実問題として不可能でしょう。PSGが許すわけなく、資金もどうすんのかと。
デンベレやコウチーニョがドナドナされるのはもう確実とはいえ、どうしてもネイを欲しくてお金が必要ってことが知れ渡っている以上、売却交渉で足元を見られますわな。
バルベルデの続投は想像できない
ほかに議論を呼んでいるのは、エルネスト・バルベルデの去就に関する応答です。
来シーズンのバルサ監督は誰になりますか、とのMD紙の直球質問に対し、エリック・アビダルは「おそらくはエルネストだろう。彼には(オプション)契約があるからね。そこに疑問はない」と答えています。
一方で、同じ日のSPORTインタビューでは、「これが最後のシーズンになるのか、私は知らない。決断するのは彼だからね。私が知っているのは、私たちが少し前に話をしたことだよ。日々起こっていることを彼は知っているので、私たちは情報を共有している。決めるべき時に、彼が決めるだろう。以上だよ」とコメント。MDでの回答よりも曖昧さが多めです。
まあそうはいっても、バルベルデが2020/21シーズンもカンプノウのベンチで指揮をとっている姿は想像できません。申し訳ないけれど、夏にはもう賞味期限は過ぎている。彼のバルサからはわくわくを感じない。
トロフィーを手に有終の美を飾っての退団となるか、裏門からの退場となるかの違いくらいで、監督交代が来夏の大きなテーマになるでしょう。
もし念願のチャンピオンズ獲得となったら? それこそ一番良い形で退任できますが、他チームを圧倒するフットボールでないと欧州の頂点に立てないのがバルサですからね・・・
バルサ黄金期を支えた選手たちは軒並み三十路を越え、MSNトリデンテが猛威を振るってからは“本当のバルサ流”フットボールをせずに来てしまったこのチーム。
SPORT紙でアビダルは「去年より良いスカッド」と言ってまして、たしかにフレンキーやアルトゥールは優れた選手なんですが、基本軸となるチャビやイニエスタはもうおらず、今季できることと言えばそれっぽいフットボールくらいでしょう。無邪気に期待した時期もありましたが、失ったものを実感する今は正直あまり楽しい結末は期待できなくなりました。
エリック・アビダルは「とても少ない」 (MD) という候補者リストから人選を進めておく必要があります。
アンフィールドのあれは「事故」
以下は訳してはみたものの、本文で上手く使えなかったエリック・アビダルのコメント(SPORT)です。
■昨季のリバポーでの悪夢について
「ローマで起こったものと同じ状況を、私たちはリバポーでも経験した。一つの結果によってそのシーズンが悪かったと考えられることはあるからね。そしてそれの起こり方でも」
「そういった状況では、責任は監督にあると考えられるけれど、全面的な分析をするべきだ。監督がチームに貢献しているのは何か、その逆もそうだね。私たちは監督を支えていくし、彼に全情報を提供していくよ。毎日チームといるのは彼だけれど。結果が悪いことで監督を変えるクラブがあるけれど、もっと広い方法で見なければならない。もし監督が改善できると見ているのなら、信じなければね」
「チャンピオンズ敗退は選手と監督の共同責任だよ。あれはアクシデントだった。フットボールでは説明できないことがあるんだ」
「時間が経過するほどに、取るべき決断は増えていく。タレントのある選手たち、新加入、レベルに達したラ・マシア産選手、彼らに出場時間を与えなければならない。監督にとってそれはリスクとなり得るけれど、それも過程の一部であり、ロッカールームのマネージメントだ。不満を抱く選手もあるけれど、決断は下さなければならない」
イバン・ラキティッチが控えに回っている件などは、監督の意向というよりはクラブ上層部の要請に従っているだけでしょうけれど。アンス・ファティの起用もそんな感じがします。
理事会の思惑とは直接関係しない、セクレタリオ・テクニコとしての補強へのプロセス説明などは興味深い内容だったので、また機会があれば取り上げてみたいところです。
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