ルイス・エンリケが求めるのはこの3人?
この6月末のバルサ系メディアは、絶賛開催中のムンディアルならびにルイス・スアレスの話題で持ちきりとなっています。どうやら選手側とバルサフロントの話はもうすでについていて、あとはリバポーとのクラブ間交渉を残すのみといった状況らしく。週末に言われていた、“フロントは今後の展開を見てから決断を下す”であるとか、“まずはスアレスによる心からの反省と公の謝罪あってから”のような件は、一部ではもうどこかへ消えていて何事もなかったかのようです。一度走り出したらもう誰も止められない王蟲のごとく。その他の固執ターゲットがクアドラードとマルキーニョスとなれば、正直不安になります。
中盤は補強ポイントから外す
6月30日付のSPORT紙は、こんな見出しで表紙を飾りました。“ルイス・エンリケが必要としているのはあと3人だけ”。その3人がたとえば、セントラル2人+(守備的、もしくはチャビ的)セントロカンピスタ1人、であるならまだ納得もいくかと思うのですが、“ルイス・スアレス、ファン・ギジェルモ・クアドラード、マルキーニョスを獲れれば補強完了”ですから、さすがに“飛ばし”ですよねと思いながらも、否定しきれない本当っぽさもあって、怖い今日この頃です。
同紙の言う物語はこうです。FCバルセロナは当初、アトレティコ・マドリーのスペイン代表セントロカンピスタ、コケ・レスレクシオンの獲得を目指していた。しかしコルチョネロクラブが扉を閉ざし、契約延長となったことで頓挫。目標をアーセナルのメスト・エジルに変更するも、この選択肢も、その後浮上したルイス・スアレス獲得熱により程なくして却下。中盤は補強対象から外し、あとはクアドラドとマルキーニョスが獲れればOKとする。
ウルグアイ人デランテロ獲得の可能性が浮上してからのメディアは、何はなくともスアレスを獲るのが吉、とのムード。これは一体なんでしょう。チームプラン失敗を多い隠さんがための、スアレス祭りですか。たしかに中盤はブスケツ、マスチェラーノ、イニエスタ、ラキティッチ、ラフィーニャ、セルジ・ロベルト、それに(一応)ソングもいて、カンテラーノたちが計算できれば数は足りている。しかし、すでに質・量ともにカバーされているというなら、それはむしろ前線でしょう。
4,000万+5,000万+7,000万ユーロ…
契約期間が残り1年となっているダニ・アルベスですので、来夏にFIFAの補強禁止処分が発動する可能性も考慮すると、右ラテラルを確保しておくのは分かります。しかしその筆頭候補がコロンビア代表の攻撃的“エストレーモ”であるファン・ギジェルモ・クアドラードとされる点も、期待より不安を大きくする要素となります。元々、左サイドが攻撃的なバルサゆえ、右には守備を重視したオプションを加える方がバランスは取れそうですが、アルベスよりもさらに攻撃的だというクアドラードはいかがなものか。賭けの要素、大。しかもフィオレンティーナの要求額は5,000万ユーロとも言われる選手です。
最優先補強ポジションであるセントラルでは、“ベテラン枠”であるジェレミー・マテューを除けば、唯一の候補として報じられているのがマルキーニョスとなります。パリ・サンジェルマンは当初から交渉に入ることも拒んでいて、ローラン・ブラン監督も「出す気はない」と扉を閉ざしているのですが、バルサフロントはそれは代役を確保するまでの時間稼ぎだと疑っているらしく、マルキーニョスにまだまだこだわっていく構えと。移籍金は4,000万ユーロ超えになるだろうと言われています。若き有望株とはいえ、控えセントラルに4,000万ユーロ以上という恐ろしき時代・・・。4,200万ユーロ出すなら、アイメリク・ラポルテの契約解除金を支払えます。それに広い世界、バルサに適合するセントラルが2、3人しかいないわけでもありますまい。
そしてこの夏の爆弾であるルイス・スアレスです。噛み付き騒動で世界中にセンセーションを起こしたデランテロ移籍に関し、案の定リバポーさんは強気の姿勢。なんだかんだで彼らは7,000万ユーロを求めるとされていて、バルサはアレクシス・サンチェスをオペレーションに含める、あるいはサンちゃんの他クラブへの売却益をスアレス交渉に回し資金を捻出することが既定路線になっているのが、どうにも気分を暗くさせます。素行云々は別にしても、完成品であるメガクラック(活躍しても2年ほど?)獲得に大金を投じてワッショイするのは、どうも好きになれません。24歳前後の、“これからメガクラック”ならまだしも。この3選手獲得のための費用、5,000万+4,000万+7,000万ユーロなら1億6,000万ユーロなり。
ここ数年はマドリーの方がいい具合に選手を獲れているのも悔しいところです。今夏はターゲットに的外れ感というか、希望を抱かせるチームってのを勘違いしているというか。ステーゲン、ラキティッチ、ブラボまでは納得できたのに、ここへきて迷走の様子。世間の目をルイス・スアレスに引き付けさせ、水面下の華麗な交渉によって実力あるセントラルをバシッと獲得!飛ばし記事に踊るアホウなファン諸君よ!という展開であればと願います。そして胡散臭い記事にまたも乗っかってしまいましたかなと反省。
ベレッティ370万ユーロ、シルビーニョ200万ユーロ、エジミルソン800万ユーロ、ジュリ600万ユーロ、デコ2,100万ユーロ、ラーション無料、エトー2,500万ユーロ、ジオ買取なんて奇跡的な夏もありましたなぁ。あの年は、明確な意図をもってチームが出来上がっていく期待感があった。テクニック系マッスルを増強するという2007年のトゥレ・ヤヤ(1,200万ユーロ)&アビダル(1,500万ユーロ)も良かったです。その再現は今夏はムリなんでしょうか。今のチームにいない、しなやかで鋼のような、そんな選手に加わってほしいなぁ。
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